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創立66周年記念                                              2001.5.28

「新しい成果主義」って・・・・・その5

 社会的には注目を浴びながら社内では「こそこそ」と進められてきた「新しい成果主義」の全容がそれぞれの職場で明らかになってきました。明らかになるにつれ、その内容に対する疑問の声も高まっています。  ここでは、この疑問点を順次、論じていきたいと思います。

5.「SPIRIT」と労基法との関係

(1)これまでの「SPIRIT」と労基法との関係の議論
 このサイトで様々な「SPIRIT」に関する根拠をめぐる議論がなされてきています。今、ここで整理してみると次のようになります。労基法では労働者の賃金は労働時間の管理によって支払うように定めています。しかしその
例外事項として定めているのが「みなし労働時間」と言う考え方です。この「みなし労働時間」の適用には3パターンが労基法には記載してあります。1.事業場外労働2.専門型裁量労働制3.企画型裁量労働制。この間の議論で2、3の裁量労働はSPIRITに相当しないことが労基署への問い合わせ等で明確になっています。(投稿84参照) 1の事業場外労働はセールスマンのように外勤ばかり続く人への残業時間のみなしを取り決める制度なのでF2のような広範な職種の会社には当てはまらないでしょう。それに会社も「裁量労働制」と説明しているので1には当てはまらないと思われます。そうすると「SPIRIT」自体が怪しげな制度であることになります。でもこれまでは、一応、それぞれの成果の目標が明示され、成果としてそれが出来たか出来ないかで評価するという絶対評価の建前であったため、「裁量労働制」と錯覚する部分がありました。

(2) 「新しい成果主義」では裁量の余地は皆無
 ところが「新しい成果主義」での目標は、普通では到達困難な「SA」目標のみを立てろとしています。更に評価はその成果以外にプロセス、行動様式、全社目標への貢献といったパラメータが加えられ自身の
裁量とは無関係に「比較評価」されるというわけです。これでは「裁量労働制」と錯覚する余地もない!これでの賃金は「みなし労働時間」で支払うというのでは労基法の記載を無視した「確信犯」と言われても仕方がありません。ちなみに労基法には労働時間の管理に関する処置に違反した場合、その管理者に課せられる罰則が記載されていますし、それが計画的である場合、その責任は事業主にまで及ぶと記載されています。こういう法的処罰の事態にはならないように祈りたいのですが、本当に大丈夫なのでしょうか? (つづく)