remove
powerd by nog twitter

楽しい職場みんなのF2

2003.7.19

富士通方式の秘密は、制裁を与えることにあります
 「相対評価を使って総合生産性が向上するはずがない」の方への投稿に対して返事です。

 良い質問です。私は元富士通社員(丸の内センタービルという本社事務所勤務)で、現在は同業外資企業におります。両社は人事評価面で非常に対照的な構造であり、富士通は判断基準が不明確な相対評価、現在の勤務先は全社で一貫したシステムにて皆(情報漏えいを防ぐためにある程度の閲覧権限は必要ですが)が閲覧可能な数値にて評価が機械的に表される絶対評価です。このHPで上司や職場の不満を述べる方々が沢山おられ、富士通の経営状態が非常に悪いという話を目にされることも多いですが、富士通の本質的な欠点は「会社全体の目標を個人にブレイクダウンした形の数字で一意的に表現されない相対評価」、これだけです。なお、目標数値には人件費等のCostを含めた投資に対してどれだけ利益を出せたのかというROI的視点が不可欠です。この観点での評価方法が一般社員から社長にまで行き渡っていれば、LowestInvestmentにてHighestReturnを達成しようとする意欲が損なわれません。ただ、目標を達成できずに退職することになる社員は増大しますので、社員所得時は優秀な社員の取得が不可欠です。富士通方式が未だ存続できている秘密は、良い成果を挙げた社員に成果に比例した報酬を与えることではなく、悪い成果を挙げた社員に制裁を与えることにあります。相対評価の高い社員にはそれなりにインセンティブが与えられますが、微小です。従って、「高い成果を挙げよう」というスタンスではなく、「制裁から逃れよう」という、会社の利益とは異なる局所的なモチベーションが発生します。この制裁は給与面と同時に、心理的な圧迫等によっても行われていたと(私見)考えられます。会社の利益体質の良し悪しによって経営者がMarketSide(株主)の圧力により差し替えられる健全な企業の場合、上記の不健全な体質を変えるべく経営者は交代させられるのですが、富士通の場合は経営者が交代しなくても済む秘密があるようです。この問題を逆に調査すると良いかもしれません。