2005.3.30 |
桜とバラのどちらになりたいですか |
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にお名前が掲載されている皆様へ
彼方は、桜とバラのどちらになりたいですか。
次の文章は、新渡戸稲造著「武士道」第15章からの抜粋で
す。
「大和魂はいたみやすい栽培植物ではなくて、野生植物―
自然生という意味での―である。大和魂は日本の国土に固
有のものである。その偶有性は他の国土の花々と共通のも
のもあろうが、その本質はどこまでも私たちの風土からの
原生・自然の植生である。しかし、桜が日本原産であるこ
とが、桜が私たちの愛好を求める唯一の理由ではない。そ
の美しさの洗練と優雅とは、他のどの花もできないほど、
私たちの美感に訴える。ヨーロッパ人がバラをほめたたえ
るのを、私たちは共にすることはできない。バラには、私
たちの花のもっている単純簡素が欠けている。ついではま
た、バラの甘美の下に隠れている刺、バラの生命にしがみ
つくしつこさ、まるで時期尚早に散るよりはむしろ、茎の
上に朽ちることを選び、死ぬのをひどく嫌い恐れるかの風
があること、バラのケバケバしい色彩とくどい香気―これ
らすべてが、私たちの花と大違いの特徴である。桜はその
美しさの下に、およそ刃物も毒もかくしておらず、自然の
呼応に応じて、いつなんどきでも世を去る覚悟ができてい
るし、その色彩は決して派手ではなく、そのあわい香りは
決して飽きがこない。」 |
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