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楽しい職場みんなのF2

2005.6.27

会社のことを考えている株主ばかりじゃぁーない
  株主、株主と申しますが、
  株主といっても会社のことを考えている株主ばかりじゃぁ
  ーない。これがわかってない御仁がいらっしゃるってーの
  が、世の中面白い。
 
  『おーい、あんたは株主だから会社の味方なんだよねぇ。
  ここのところ、あそこの不治屋の商いがさっぱりだってい
  うから、工具の一つでも買うてやったらどうだい?』
 
  なんてなことを経済のケの字も知らない馬鹿嫁が聞くって
  ーと、それを聞いた旦那がきっと馬鹿嫁を睨んで
 
  『てやんでぇ、べらぼうめぇ。会社にゃ解散価値っつーも
  んがあんのよ。株式時価総額が解散価値を明らかに下回っ
  たら株主として会社を解散したほうが得ってこともあるっ
  つーことよ。不治屋の株が下がるのを買い増して不治屋が
  店をたたんだ後の千両箱を頂戴するってーこともありなの
  よ。おめーの浅薄な思い込みなんざ豚の餌にでもしちめー
  な。』
 
  なんてなことをいきなり言うもんだから、馬鹿嫁も売り言
  葉に買い言葉ってーなことで、
 
  『なんだい、アンタ。いきなりあたいを馬鹿扱いかい?あ
  そこの不治屋が潰れるなんてことはアンタが生きてるうち
  にゃ絶対にありゃしないよ!アンタは何様なんだい』
 
  とキレちまった。キレるとともに、涙もぽろぽろ落ちてく
  る。旦那も旦那でこのところ良からぬ筋のお侍さんとつる
  んでいるので後ろめたいのか、
 
  『おいおい、泣くこたあねーだろー。おれもちいと言いす
  ぎた。なにね、薩摩藩の腕っこきのさんぴんと不治屋の悪
  評を流して株を下げようってな、いまつるんでるのよ。何
  だか薩摩藩がエゲレスだかとんちきだかからたんまり金子
  (きんす)をもらっててな、再来年までには不治屋の株を
  暴落させて買い叩こうとしてるらしいのよ。それでな、お
  れにもさる筋からお声がかかったっつーわけよ。これがう
  まくいけば、おまえにもおまえのおとっつぁんにも一生使
  い切れねーくれーの銭をやれるっつーもんよ』
 
  などと、薩摩のお侍さんから口止めされていた企てを全て
  洗いざらい話しちまった。
  
  株主、株主と申しますが、
  要は会社に金を貸している金貸しみたいなもんで、借りて
  る相手がカタギの間はいざ知らず、知らぬ間に闇金、相場
  師、お上、その筋、エゲレス、メリケンの異人さんに株主
  が化けていたなんてな話になってくると、もう、その会社
  はいけません。
 
  エゲレスの言葉で『びじねすすきーむ』と言うんですか、
  そんな怪しげで恐ろしげな儲けの企みの中で、木の葉のよ
  うに、ふわーりふわーりと漂うだけの会社になっちまうわ
  けでさぁ。
 
  幽霊よりも怨霊よりも怖い株主だけに、会社はかぶぬし、
  かぶなし、”株なし”でいきたいもんでございます。
 
  おあとがよろしいようでぇ・・・。
 
 
  ごういんぐ ぷらいべいとと いきたいが
  もう手遅れよ 憐れな不治屋