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楽しい職場みんなのF2

2005.12.15

一転して、原告のパソコンの開示は拒んだ
  こんにちわ。中原です。富士通四国システムズ損害賠
  償事件(平成16年(ワ)11732号)。今日、1
  2月14日、第七回弁論準備が行われました。
 
  ■今日の流れ
 
  私は体調不良のため、今回の弁論準備を欠席しまし
  た。今日の弁論準備ではほとんど議論がなく、数分程
  度で終わったそうです。次回期日は2006年2月1
  5日です。
 
  ■今の状況
 
  現在、裁判に進展はありません。なぜかというと、原
  告が労働基準監督署に申請している労災(休業補償給
  付)の結果が、まだ出ていないからです。結果次第で
  裁判の方向が大きく変わるため、原告・被告ともに労
  災の結果待ちという状態になっています。
 
  ■原告の主張(準備書面より抜粋)
 
  被告は、原告の症状に対して疑いを指摘している。ま
  た過剰労働と精神疾患を短絡的に結びつけることには
  同意しがたいと主張している。しかし、いずれも全く
  不当な主張である。
 
  これまで原告は、被告に対して、手持ち資料の開示を
  求め、被告も「正々堂々と第三者の判断を仰ぐ」とい
  う立場から、資料の開示は拒まない、としてきた。
 
  ところが、それまで資料開示に快く応じてきた被告は
  一転して、原告のパソコンの開示は拒んだ。その理由
  は、「労働時間」が争点となっている事件ではないか
  ら、という。
 
  確かに本件は、「残業手当請求事件」のように「労働
  時間」そのものは請求原因事実ではない。しかし「過
  剰労働によるストレスの発生」は、本件の請求原因事
  実(ないし重要な間接事実)である。
 
  それまで、快く、資料開示に応じてきた被告が、一転
  して、原告の使用してきたパソコンの開示に応じない
  のは開示すると「過剰労働→ストレス発生」が明らか
  になることを被告自身が知っているからに他ならな
  い。
 
  この点に反論があるならば、被告は、原告の使用して
  きたパソコンを開示すべきである。
 
  ■まとめ
 
  面白い展開になってきました。さて、被告は上記の主
  張にどう反応するのでしょうか。被告の動きが興味深
  いですね。
 
  以下は資料です。
  原告の準備書面です。
 
  -------- 資料 --------
 
  ■原告 準備書面
 
  平成17年10月14日付被告第6準備書面に対する
  反論
 
  第1 原告の症状について
 
  1.
  被告は、原告の症状に対して疑いを指摘している。そ
  してその根拠として次の4点を挙げる。@原告の症状
  は、いずれも原告が担当医に申し述べ、担当医がその
  ままを記述したものと思料される。これらの諸症状は
  原告の申告がすべてであり、これに依存している。A
  評価の対象となった症状は同一であり、それに対する
  対象の評価が、一方では「うつ状態」であり、他方で
  は「うつ病」となっている。両者を同一のものとする
  見解は理解できない。BICD−10の「F32」の
  項には、うつ病の固有の症状として、「自己評価と自
  信の低下」「罪責感と無価値感」「自傷あるいは自殺
  の観念や行為」が挙げられている。原告の発症後の
  並々ならぬ強い自己主張はこれらと結びつかない。C
  ××医師の前記労基署長への意見書(カルテ添付)の
  下書きと思われる記載では「重症のうつ病のエピソー
  ド F32.3」となっている。
 
  2.
  しかし、いずれも全く不当な主張である。
  @について
  うつ病(或いはうつ状態)の診断において、原告が嘘
  を言っているか、或いは、医師が無批判に鵜呑みにし
  ているかのようなひどい主張である。まじめに働いて
  きて(働かされてきて)病気になった原告がわざわざ
  症状の嘘をつく理由はないし、またそのような嘘が続
  くものではない。また、うつ病(うつ状態)の診断に
  他覚的検査のない事は医師なら誰れでも知っている事
  であり、それ故問診において患者の申告をそのまま無
  批判に受け入れるものでもない事も言うまでもない。
  被告の@の主張は、原告に対してのみならず、専門医
  に対しても侮辱するものと言わざるを得ない。
  Aについて
  「うつ状態」と「うつ病」が違う概念である事は論を
  またない。「うつ病」以外にも「うつ状態」が生ずる
  事はある。しかし、原告の場合は「うつ病」という病
  因によって「うつ状態」という症状が生じているので
  あるから、「病因」に注目するか、「症状」に注目す
  るかによって表現を変えたとしてもなんら不自然では
  ない。そもそも「うつ病」と「うつ状態」の「両者を
  同一のものとする」医師はいないであろう。それを
  「同一のものとする」と不当に読み違える事自体が不
  当である。加えて、「うつ病」にせよ、「うつ状態」
  にせよ、被告の安全配慮義務違反によって生じたもの
  である事から、どちらにせよ被告が責任を負うもので
  あって、にもかかわらず、このような表現の違いをこ
  とさらに指摘する事自体も不当である。
  Bについて
  被告は勝手に「原告の発症後の並々ならぬ強い自己主
  張」と決めつけているが、これは事実に反する。それ
  は原告が、いかに普段の症状がひどいか(それは「自
  己評価と自信の低下」「罪責感と無価値感」に悩まさ
  れている)を無視した主張である。原告が、原告代理
  人との打合せを行う時や、裁判所に来る時に、予め休
  息をとり、投薬の上体調を整えている事を被告は無視
  している。原告の「うつ病」が投薬によって、その症
  状のやわらいでいる事をもって「症状がない」と指摘
  してもなんら反論になっていない。
  Cについて
  下書きを批判の対象にすること自体不当である。
 
  第2 過剰労働と精神疾患について
 
  1.
  被告はここにおいても不当な主張をしている。即ち、
  「仮に、原告が『うつ状態』もしくは『うつ病』であ
  ったとしても、短絡的に過剰労働を結びつけることに
  は同意しがたい」(5頁)「しかし、過剰労働とうつ
  病の因果関係の必然性に踏み込んだ説明は見当たらな
  い。」(6頁)このように被告は「過剰労働」から
  「うつ病」への因果関係はないという。しかし、「過
  剰労働」が「ストレス」を生むことは明らかである。
  そして「ストレス」は「うつ病」の原因となる。この
  事は被告が提出した乙第5号証の文献自体「危険因
  子」として、「地域におけるストレッサーは、その強
  度や持続期間がさまざまであり、これらは精神健康の
  影響を与える要因の中で最も重大なものである」(下
  線引用者)とまで言い切っているのである。このよう
  に間に「ストレス」(或いはストレッサー)を介在す
  ることによって、むしろ、「最も重大な」危険因子と
  いえるのである。
 
  2.
  ところで、これまで原告は、被告に対して、手持ち資
  料の開示を求め、被告も「正々堂々と第三者の判断を
  仰ぐ」という立場から、資料の開示は拒まない、とし
  てきた。そして、現に原告は被告からいくつかの資料
  の開示を受けた。しかし、それらはいずれも、「プリ
  ントされた資料」であった事から、原告は「勤務中に
  原告が会社で使用していたパソコンそのものの開示」
  を求めた。即ち、これを開示してもらえば、「何時に
  原告がパソコンを使用していたか」がわかるのであ
  り、ひいては、「その時間、原告が働いていた」とい
  う、「原告の過剰労働」が明らかになるからである。
  ところが、それまで資料開示に快く応じてきた被告は
  一転して、そのパソコンの開示は拒んだ。その理由
  は、「労働時間」が争点となっている事件ではないか
  ら、という。確かに本件は、「残業手当請求事件」の
  ように「労働時間」そのものは請求原因事実ではな
  い。しかし「過剰労働によるストレスの発生」は、本
  件の請求原因事実(ないし重要な間接事実)である。
  それまで、快く、資料開示に応じてきた被告が、一転
  して、原告の使用してきたパソコンの開示に応じない
  のは開示すると「過剰労働→ストレス発生」が明らか
  になることを被告自身が知っているからに他ならな
  い。この点に反論があるならば、被告は、原告の使用
  してきたパソコンを開示すべきである。
 
  第3 被告の職場環境について
 
  1.
  原告が働いていた被告の職場環境について、被告は次
  のように不当な主張をしている。「被告の職場におけ
  る労働環境は、原告のみが例外というのではなく、他
  の従業員も類似の状況下にあった。しかし、発症した
  のは原告只一人であり、それ以前もそれ以降もない。
  発病率は原告を除けば『0』である。」これは明らか
  に事実に反している。「0」というのは、原告のよう
  に、裁判まで行ったのが「0」というにすぎず、現実
  には何人もの精神疾患が生じている。原告が知ってい
  るだけでも次の通りである。
  (以下5名 個人情報省略)
 
  2.
  このように、被告の職場は、逆に、精神疾患の多発し
  ている職場であったのである。
 
  以上