今から約10年前の話ですが、当時の副社長のgoサインを
得たプロジェクトが潰されるという大事件がありました。 潰されたプロジェクトは当時としては最新のソフトウェア技術(ゆえあって詳細はかけませんが)をミドルウェア製品やSEのシステム構築のために、ライブラリ化して提供するというものでした。このプロジェクトはそれまでのその部署のコア技術を提供することになるため、企画段階の出だしは比較的好調
で、当時の副社長から、goサインまでもらっていました。
ところが、プロジェクトを担当していた課長およびその
部下は、当時の部長から煙たがられていました。というのは、課長も部下も、いきあたりばったりで仕事の方針を決める当時の部長のやり方に批判的で、真っ向から部長に正
論をぶつけていたからです。何しろ、その部長の方針や
「戦略」はその場の状況や気分でコロコロコロコロとよく変わり、一貫性を持っていなかったからです。酷いときには、出荷前検査の製品に、機能設計まで後戻りするような方針変更を行い、製品出荷のための検査期間を2年近くまで引き延ばしたこともあったという話でした。
そのプロジェクトが副社長のgoサインをもらって、いざ推進という段になると、部長は、事業部長が事情をよくご存じないことを利用して、事業部長をだまし、プロジェク
ト潰しの工作をしかけてきました。事業部長は正しい事情
を知らないまま、部長と歩調を合わせて、せっかく副社長のgoサインまで取り付けたプロジェクトの取りやめを決めてしまいました。
副社長のgoサインまで貰ったプロジェクトを取りやめに
するのですから、当然、副社長に対し「部長自身による」
弁明が必要でした。しかし、その部長は弁明のレポート執筆をプロジェクトを担当する課長に強要しました。
こうしてそのプロジェクトは日の目を見ることなく取り潰しになり、プロジェクトを担当していた課長は関係会社に出向させられました。当時プロジェクトを担当していた部下はいずれも、当時の部長から煙たがられており、この事件の後に導入された目標管理評価の不適切な運用により低い実績評価を与えられつづけたため、誰一人として幹部社員に昇格したものは
いませんでした。
これらの問題を解決するには、一つには幹部社員昇格についてのルールを見直すこと、もうひとつは、幹部社員の
職務執行に対して監視と定期的な見直しの場をあたえるこ
とが必要と考えます。
幹部社員昇格にあたっては、人格と能力について客観的
に審査を行い、審査結果も公開するべきです。場合によっ
ては異議申し立てを受け付けることも行うべきでしょう。
また、幹部社員の職務執行については2年〜3年の任期を
設定し、任期満了時に360°評価を行って、今の職務を続行 する/続行しない(場合によっては幹部社員から降格)を判
定する制度を導入してはどうかと思います。(続く)