時代や市場の変化に伴い、事業構造の再編・配転が避けられない。変化についていけない従業員は甘い、という一般論では片付けられない問題があります。それは、
(1)経営者が業績悪化に対する自らの責任を曖昧にし、「働かない従業員が悪い」と開き直り、痛みを分かち合っていないこと。
(2)3500億円の特別損失を出すほどの”余裕”があること。
(3)リストラ計画の詳細がタイムリーに公表されず、不安と憶測が蔓延していること。
(4)配転の手法が、断わると自己都合退職の強要やセクハラなど強圧的なこと。
(5)労働組合が事前に社員の意見を広く求め、職場での十分な論議をしなかったこと。 などです。
こんな状態で、「配転されたのは、いらないということ」などと覚ってしまうのは、あまりに自尊心がないのではないでしょうか。このまま、抗議もストライキもなしに進めば、どんな手法でリストラしても社員は黙って従ってくれる、と経営者の方が”甘い”考えになってしまうと思います。
さて、中小企業では、出向先も、割増退職金も、半年の職種転換教育もない、F2よりずっと厳しい状況でしょう。しかし、F2のような大企業が非道なリストラをやれば、中小企業は社員に対してもっとひどい手を使うのではありませんか。「あのF2でさえそうしたのだからうちはこれくらいやっても..」という声が聞こえてくるようようです。悪い手本を天下に示さないためにも、F2のリストラ手法に少しでもブレーキをかけたいと思います。 |