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ジャック/ラスベガス連続殺人

 シンキングラビットのアドベンチャーゲームです。

 ロサンゼルスの古ホテルで発見された男の死体。そのポケットには、ぼろぼろな野球帽が無造作に突っ込まれていた。ロス市警殺人課の刑事である主人公は捜査を進めるが、やがて第二の殺人事件に遭遇し、その死体の傍らには血痕のついた古びた人形が……。
 四つの街をめぐる連続殺人事件に隠された謎を解き明かす、ミステリーアドベンチャーゲーム。

 本作はソフトベンダー武尊から発売されました。
 コマンド入力型のアドベンチャーをリリースしてきたシンキングラビットが、コマンド選択に挑んだ作品。

 印象的には、なんとなくリバーヒルソフトのアドベンチャーを意識したような感じもする捜査モノのアドベンチャー。
 現在の連続殺人事件が、過去の忌まわしい出来事に結びついていくという、ミステリーの王道的なお話。犯人を推理するのではなく、複雑にからみあった糸を解きほぐして真相に迫るタイプなので、犯人逮捕のカタルシスを味わうというより、しみじみと物語を噛み締めるといった趣きのシナリオです。
 BGMの「スカボロ・フェア」なども、派手さをおさえた落ちついた雰囲気の物語を盛りあげるのに一役買っています。

 本作の最大の特徴は、なんといっても「JOKER」コマンドの存在でしょう。
 「見る」、「調べる」、「話す」といったおなじみのコマンドに混ざって、ひときわ目立つ「JOKER」の文字。これは、様々な場面でアイテムや情報を入手するために使う、切札的なコマンドです。
 なにかありそうな所で「JOKER」、秘密を隠していそうな人物に「JOKER」と、ガンガン使いたいところなのですが、切札だけに使用回数に制限があり、あまり無駄に使ってしまうと途中で行き詰まってしまいます。特に最後の最後で「JOKER」が足りないと、悲惨な結末が……。
 あ、「JOKER」コマンドを女性に使用すると、なんかいろいろとできますが、無駄な努力は決して実りませんのでご注意を。

 コマンド選択の利点は手軽にゲームが進められるという点にあると思いますが、逆にコマンドを総当りしさえすれば、簡単にクリアできてしまうという欠点もあります。
 本作は「JOKER」コマンドを導入することによって、そうした欠点を回数制限のあるコマンドという形でフォローし、ゲームに適度な緊張を与えることに成功しています。
 と言いたい所なのですが、プレイヤーもセーブしまくりぃのコマンド総当りぃので対抗するので、結局たいして変わらなかったりして。

 コマンド選択型としても難易度はやや高め。「JOKER」コマンドのせいもありますが、わりにハマる場面が多いのでこまめなセーブはかかせません。どこでハマっているのかわからない場合もあるので、いつでも戻れるように、街を移動した時などゲーム中のポイントとなる場所でのセーブデータも残しておくべきでしょう。
 さらに、登場人物たちは同じ台詞を何度も喋ってはくれないので、メッセージに注意しながらプレイしなくてはなりません。これもゲームを難しくしている要素ですかね。
 フラグ立て自体は難しいというほどではありません、序盤少し厳しめのところがあるくらいですか。

 本作が発売された1988年末といえば、日本のアドベンチャーゲームの一つの到達点とも言える『サイオブレード』や『スナッチャー』が発売され、ファンにとっては充実した年だったのですが、残念ながらその後アドベンチャー人気は低下の一方をたどって行きます。
 それを象徴する、というわけではありませんが、シンキングラビットのようなメーカーがアドベンチャーを作りつづけられなかったというのは大きいですね。
 今林社長の1989年の「今年の抱負」は、「リバーヒルを越える! 岡崎社長、見ておれよお!!」(コンプティーク1989年1月号)ということで、今後もアドベンチャーゲームの開発に力を入れていくとのことでしたが、期待された新作、『映画狂殺人事件』の発売は延びに延び、結局日の目を見ることはありませんでした。

 下のテキストは例によって最短ルートではありません。というわりに結構ストーリー的に重要なメッセージが聞ける部分を省いていたりするので(手抜き?)、テキストに書かれていないこともいろいろと実行して見ることをオススメします。あんまりいろいろやりすぎると、ハマることもありますケド。
 まぁ、はっきりいってテキストを見ながら入力していくだけでは、ストーリーが理解できないと思います。ということで、じっくりと味わいながらプレイしたい作品ですね。

攻略テキストです。プレイできる環境がいまだにある方は、よろしければどうぞ。

88版(X1t版って出てたっけ?)。中身はすべて同じものです。


jack.txt   jack.zip

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