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ABYSS

 ハミングバードソフトのアドベンチャーゲームです。

 標準宇宙紀3001年。惑星間統合戦争が終結し、平和と繁栄を約束されたかに見えた銀河系・外宇宙<9惑星連合>に、宇宙犯罪シンジケートの魔の手が迫っていた。
 元連合宇宙軍少佐モズ・シバットは、シンジケートの基地を破壊する命令を受け、単身、深宇宙へと旅立つのだった。
 ようやく、ある惑星にシンジケートの基地を発見して潜入するシバットだったが、運悪く捕らえられ、記憶を消されて投獄されてしまう。はたしてシバットは任務を達成できるのだろうか?

 おなじみのAppleショップとともに、大阪に拠点を置くハミングバードソフト(株式会社エム・エー・シー コンピューター事業部)も、アドベンチャーゲームの老舗として名を馳せたメーカーの一つです。
 82年の設立以来、RPG作品である『ラプラスの魔』がヒットするまで、アドベンチャーゲームファンを唸らせる作品をリリースしてきました。
 海底人にさらわれた恋人を探す『THE PALMS』、謎の病気におかされた王女を救う『THE KNIGHT OF WONDERLAND』、そして宇宙を舞台にしたSFの『ABYSS』シリーズなど、日本のアドベンチャーゲーム黎明期、どうしても海外作品に見劣りがちだった和製作品の中、海外作品にも負けない秀作を制作していたメーカーです。

 『ABYSS』は元軍人の主人公、モズ・シバットが活躍するシリーズの一作目です。
 ストーリーとしては、シバットが捕らえられている基地から脱出し、未知の惑星をさまよいながらも、自分の宇宙艇までたどり着くというだけの単純なものですが、そこはやはりゲームだけあって、なかなか簡単には進ませてはもらえません。
 謎の怪物に襲われ、喉の乾きに苦しみ、さらにはシンジケートのエイリアンと戦うなどの困難が待ちうけ、そのたびにプレイヤーは頭を働かせて乗り越えていかなくてはなりません。

 本作で少し残念なのは、主人公であるシバットくんの顔が一度も登場しないことですね。ゲーム中に鏡を見る場面があるのに、あごまでしか見えません。
 しかし顔が見えないとはいえ、元少佐という肩書きといい、一人で敵基地へ乗りこむところといい、きっとカッチョイイ奴に決まってます。
 シバットくんは、殺されてしまうと天国に行ってしまいます。頭に天使の輪をつけ、真っ白い羽根を生やしたシバットくん。とてもしあわせそうで、それこそハミングしながらスキップをしているように見えるシバットくん。しかし、そうなっても宇宙服にヘルメット姿なので、やっぱり顔は見えなかったりするのです。

 難易度はやや高め。マップ自体は狭いので迷うこともないと思いますが、肝心のコマンド入力にいくつか難しいものがあります。理屈として考えれば納得できるものなのですが、それを発想すること自体が困難なコマンドは、常識にとらわれない考え方が要求されますね。
 さらに場面によってはコマンド入力の回数制限があり、難しさを増しています。もっとも、こちらの方はこまめにセーブをしていれば問題はありませんが。

 そういえば、当時の雑誌広告に書かれていた次の文句。
 「*隠しコマンド、裏ABYSS等のお問い合わせがありますが、当社は一切関知しません。」
 これを見て、一切関知しないと言っているわりに、煽(あお)る気まんまんに思えるのは私だけですか?

攻略テキストです。プレイできる環境がいまだにある方は、よろしければどうぞ。

88版。中身はすべて同じものです。
確認していませんが、他機種版でも応用可能だと思います。


abyss.txt   abyss.zip

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