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481:天使は愚神を抱き眠る

作:◆R0w/LGL.9c

「わあぁぁぁ☆」

「水族館だよ!」

「でもいまいち寂れてるよ」

「盛り上げればいいや♪」

 ぴぴるぴるぴる♪ ぴぴるぴるぴる♪

 ぴぴるぴ━━━━━━━━━━━♪

皆さんこんにちは。またかよっ!って突っ込まれても知りません。僕は壁君やイド君とは別物ですから。
あ、今僕のこと水族館君とか思いました?思いましたでしょ?
残念。ブー。ボッシュート。
僕にはちゃんとかっこいい名前があります。

シームレスパイアス
〈愚神礼賛〉

よく『ぐしんれいそん』と間違われますが『ぐしんらいさん』です。
そう、僕はドクロちゃんの簡易魔法バットとして活躍中の愚神礼賛なのです!
で、強引に話を戻させていただきます。ここは水族館。長い、トンネルを抜けるとそこは水族館でしたってやつです。
実際はトンネルではなく地下道で、出た場所は倉庫だったのですが、まあいいか。
倉庫から続くドアに入るとそこは水族館だったわけです。
そう、F-1とD-1は海洋遊園地。その地下は水族館を組み合わせた海中レジャー施設なのです。
現在ここの照明がフルに使われて楽しい音楽は鳴り響き、魚ゴーランドはくるくる回ってます。
ドクロちゃんがやりました。
ドクロちゃんは天使の力を使い、この水族館の電気系統を復活させ、アトラクションを起動させてしまったのです!
その件の片棒を担いだ──いやお手伝いさせてもらった僕も鼻高々の結果です。
ここしばらくまともな魔法が使えなかったドクロちゃんでしたが、今回は結果に満足しています。
「よぉ───し、遊ぶぞ───!!」
ドクロちゃんは早速魚ゴーランドに向かいました。
メリーゴーランドの魚版、といったところでしょうか。
回り続けているお魚さんに、搭乗口からタイミングを計って飛び乗りました。成功。
ごっとんごっとんごっとんごっとん…………
「きゃっ……この振動は……」
どどどdドクロちゃんの表情が艶っぽくぅぅぅぅ!?
その振動に一体どのような意味が!
ドクロちゃんは腰を若干くねらせながら言を紡ぎます。
「は、激しいよぉ………」
ウォぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!
あっちゃん僕もう我慢できません!
心の中で真の持ち主軋識さんがアドバイスをくれます。
【考えるな感じろっちゃ!】
はい当てにならない。消えろ。
とりあえず僕に出来るのはドクロちゃんが新たな快感に目覚める前にこれから降ろすことです。
するりとドクロちゃんの掌から落ちます。ぼちゃん。
ゴーランド魚の泳ぐ水槽に落ちた僕を拾おうとドクロちゃんが身を乗り出します。

ごっちん☆

柱に頭を打ち付けました。そのまま落馬。……落魚? とにかく降ろすことには成功。
「いゃああああぁぁぁぁぁぁぁ!?」
ドクロちゃんは落馬後、さらに後続魚に轢かれました。ああああああそこまで考えてなかった……
なんとか安全地帯に這い出てきたドクロちゃんは頭の上に星と小鳥を散りばめて、要するにピヨリ状態です。
…降ろすのには成功したからいいか。僕も水槽からはじき出されます。
ピヨリから目覚めると彼女は僕を杖にして起き上がりました。目には闘志の炎が燃えてます! 中継はいります!

バッタードクロ、いま棘バットを引っさげ満員の球場に現れました!
マウンドに入ります。いやー怖いですよ解説のイドさん。何せ彼女は──イドさん? ああすいません貴方も被害者でした。
さあーバッター構えた! これは初球で来るでしょうねー外野はバックしていきます!
打ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
「服、乾かさなくっちゃ……」
ドクロちゃんは水を滴らせながら壁に貼ってある園内地図を見ます。
魚ゴーランドは、哀れ粉々に砕け散りました。原子分解とか意味消滅とかそういうレベルです。流れ出た水は排水溝へ。
一角がバイオレンスになったレジャー施設ですが、明るい音楽は絶えずに流れています。回りへの影響は無さそうです。
やおらドクロちゃんは休憩室を見つけ、中にある乾燥機に服を突っ込みましぶぁぁぁぁぁ!!
裸です! 全裸です! いやああああ僕の視覚情報かムラムラかどっちでもいいから消え去れぇぇぇぇ!
目の前でドクロちゃんの尻が左右に揺れてます。なんとエロくて丸い尻でしょうか!さらに───
-以下30行ほど削除-
軋識助けて! 僕はもう棘の先から金色のキラキラした液体(イメージ)がぴゅーぴゅー飛びそうです!
【さあて、零崎を始めるっちゃ】
ああ御免取り込み中だった?

ぴぴる ぴる ぴる ぴぴるぴ〜♪

「スクール水着ぃ♪」
ドクロちゃんは僕を振り回しスクール水着を召還しました。ああよかった。
乾燥機を回したままドクロちゃんは再びレジャー区画へ。
しかしまあこういう施設に来たら彼女はてっきり『一人じゃつまんない!』って怒り出すかと思ったんですが。
なかなかどうして、工夫されてて彼女一人でも飽きない設計になっていました。
例えば。
〈体験コーナー〉
これは添え置きの試作型機殻剣「阿武さん」を使って次々と襲ってくる炎の矢(フレア・アロー)とか火蜥蜴(サラマンダー)とかを切り倒していくゲーム。
ドクロちゃんは持ち前の反射神経を使ってハイスコアをたたき出しました。ああもちろん怪物や炎は幻……だと思います。
二、三匹僕で殴り倒していましたが。

〈映写コーナー〉
ここは映画館を縮小したようなところです。
流れてるビデオは「SSW入門」なにやらカジキマグロやサバを担いでドツキあいしている人たちが写されています。
ああドクロちゃんドクロちゃん目を輝かしてるよ! 相手は変態だよ!
その後近くの水槽に飛び込みカジキマグロを追いかけてました。

〈ゲームコーナー〉
ここはゲームコーナー。
見ての通り、まず大きな乗り物が目に付きます。
説明をドクロちゃんと見ます。
【海中戦闘機リヴァイアサン:シミュレーション】
ゲーセンによくあるバイクマシンみたいなものでしょうか。
躊躇い無くそれに乗り込み、操作しだしました。
魚雷と単分子カッターを駆使して新型潜水艦を見事撃墜したことだけを報告しときます。
「あれはなにかな!」
ドクロちゃんは今度は大きなモニターに飛びつきました。
あっち行ったりこっち行ったり……遊園地に連れて行かれるお父さんの気持ちが分かったような気がします……
「ん〜なになに……沈没船宝探しゲーム、沈没船の中には豪華財宝が……あ〜! エスカリボルグもあるかな!?」
どうやら島の北東にある船の中にあるお宝を探すアドベンチャーゲームのようです。
ドクロちゃんは近くにあるスイッチを見つけます。
「【右の赤いスイッチを押すと沈没船が遊園地まで来ます※故障中です!】……直せるかな?」

ぴぴる ぴる ぴる ぴぴるぴ〜♪

しーん。
ドクロちゃんが一秒間16連射しますがボタンは直ってる気配がありません。
むー!と僕を恨めしそうに見ます。だって僕魔法のバットじゃないですもん……
諦めずにドクロちゃんは僕を振ります。あんまり無理しないほうが…

ぴぴるぴ─────!

<ガシャっ!!>っとドクロちゃんはとうとうスイッチを殴り壊してしまいました。
粉々に為ったマシンが散乱します。
ぴぴる〜♪

部品が動き出しました! 魔法が通じたようです!
それぞれの部品が意志があるように組み合わさっていきます。さながら巻き戻しのように。
そしてついに部品が元のマシンに戻りました。ドクロちゃんはボタンに指をかけます。
かちり。
モニターに映っていたオンボロ船が光を取り戻しました。それは黒い煙をはきつつゆっくり動き出します。
「やったぁ!」
ドクロちゃんも大満足。僕も嬉しい限りです。しかし無理やり魔法使って大丈夫でしょうかドクロちゃん。
「よぉし、じゃあこのお船が来るまでここで遊ふぉあぁ?」
ドクロちゃんは急に頭を抱え壁に手を突きました。どうしたの?
「あれ? なんか、気分が……さっきの部屋まで、戻ろ……」
ドクロちゃんはよたよたした足取りで休憩室まで向かいます。顔色は蒼白になってます。ああ言わんこっちゃ無い!
部屋に入った途端近くのソファーに倒れこみました。息も荒く、見てられないほど弱気な表情です。

「はぁ……なんか、疲れたね」

「おかしいな…まだまだ、遊べるのに」

「桜君、なんだかとっても、     だよ」

「なんでだろ」

「おかしいよね」

「さく、ら……く」

ドクロちゃんは瞼を閉じました。
彼女の意識はそこで途切れ────。
休憩室には天使が一人。乾燥機は相変わらずからから彼女の服を乾燥させています。
からからからからと。
え? なんだって?
いや別に死んでませんよドクロちゃん。天使パワー使いすぎて疲れたのでしょう。今は僕を抱いて可愛い寝息を規則正しく繰り返してます。

いてっ石投げないでっ!

【E-1/地下休憩室/1日目・17:00頃】

【ドクロちゃん】
[状態]:睡眠中。天使パワー使いすぎて眠い。足は大体完治。
[装備]:愚神礼賛(シームレスパイアス)
[道具]:無し
[思考]:エスカリボルグを探さなきゃ! zzzz…

※16:00頃から遊園地地下のレジャー施設が起動しました。
 地下の音などは地上に漏れない設計になっています。
 遊園地内から何箇所か入り口があります。
 B-8の船が島の周囲を時計回りに遊園地に近づいてきます。20:00到着予定。

2006/01/31 修正スレ256-7

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