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277:紳士たるもの

作:◆wEO8WH7kR2

アメリアを埋葬した後、子爵はD−4エリアの崖下から続いている彼女の血の跡をたどっていった。

子爵は罪悪感を感じていた。結局、自分は彼女を助けることが出来なかった。
埋葬する段階になって初めて、彼女の名前を知らないということに気づいた。
このままでは、墓に名前を書き込むことすら出来ないないではないか。
自分と会う前に彼女の身に何が起きたのか、そこに何か手がかりがあるのかもしれない。
子爵は行動を起こした。
途中、どこかで銃声が聞こえた気がしたが、今の子爵にとっては些細なことだった。
今はこの血の跡をたどることに専念したかった。

C−4エリアの崖下で血の跡は途切れていた。
周辺の木々には衝撃の跡らしきものが残っている。
(ふむ。戦闘中に切りつけられてこの崖から落ちたということだろうか)
子爵は崖をしばらく『見上げ』た後、周りを探索し始めた。
すぐ近くから血に染まったデイパックが見つかった。
先ほどの死んだ彼女の荷物とみて間違いはないだろう。

※C−4エリアの高架近くの森に落ちていたアメリアのデイパックは子爵に回収されました

(彼女が何者かなのか、それを確認出来る物があれば良いのだが)
デイパックの中には支給品一式が入っていた。
当然ながら、どれもこの世界に来てから支給された物だ。
さすがに、ここから彼女が何者かを特定するのは無理だろう。
諦めかけたその時、子爵はふと支給品の一つである名簿に目を留めた。
彼女の名簿には以下のような印が書き込まれていた。

◎リナ・インバース
◎ゼルガディス
○物部景
△甲斐氷太
他に、海野千絵が大きく丸で囲われている

子爵はしばし考える。
この印は彼女の仲間か何かをさしているものと考えられる。
だが、前者の二人と後者の三人ではあきらかに名前の雰囲気が違う。
後者のほうは日本人の名前のようだ。

前者の二人は彼女がいた元の世界の仲間達
後者の三人はこの世界で知り合った仲間とその仲間達
そんなところだろう、子爵はそう判断した。

(よかろう!紳士たるもの、ここまで解ればとれる行動は一つだけである。
 このゲルハルト・フォン・バルシュタイン、
 責任を持って貴女の仲間たちに貴女の最後を伝え、形見の品を渡すことを約束しよう。
 これが貴女を助けることが出来なかった私のせめてものお詫びの気持ちである。
 安心して安らかに眠りたまえ。)

子爵は心の中で死んでいった少女に語りかけ、しばし黙とうをささげた。
そして、子爵は行動を開始した。

【C−4/崖下/一日目、10:00】

【ゲルハルト・フォン・バルシュタイン(子爵)】
 [状態]:健康状態 
 [装備]:なし
 [道具]:デイパック一式、 「教育シリーズ 日本の歴史DVD 全12巻セット」
      アメリアのデイパック(支給品一式)
 [思考]:アメリアの仲間達に彼女の最後を伝え、形見の品を渡す/祐巳がどうなったか気にしている
 [補足]:祐巳がアメリアを殺したことに気づいていません
     この時点で子爵はアメリアの名前を知りません

※アメリアはD−4エリアに埋葬されました。(ただし、墓に名前はありません)

2005/04/30 修正スレ73-74

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