作:◆a6GSuxAXWA
深夜。
潮騒の音が聞こえる岩場に、一人の赤い男が座り込んでいた。
「…………」
男――ヴァーミリオン・CD・ヘイズは、憂鬱だった。
いきなりこんな場所に呼び出されて殺し合いをしろと命じられた事も原因の一つではある。
相棒のハリーとも引き離され、I−ブレインも原因不明の不調で機能が低下。
義眼に隠した道具類まで、かなりの量を始末されている。
それも、原因の一つではある。
「……何でよりにもよって、トイレの消臭剤なんだ」
ちょこんと岩に乗っかった目の前の物体は、芳しい香りを放ち続けている。
ちなみに説明書によると、自然の香料から作り出した化学物質無添加の品、だそうだ。
――環境志向万歳だクソッタレ。
投げやりな思考が、脳裏を過ぎる。
と、ふと視界の端に、赤色。
あれは――
「……女?」
【H−5/海岸傍の岩場/一日目1:34】
【ヴァーミリオン・CD・ヘイズ】
[状態]:心身ともに健康だが、やや憂鬱気味。
[装備]:無し
[道具]:デイバッグ(支給品一式)
[思考]:情報探索
【哀川潤】
不明。恐らくは健康体であると思われる。