作:名も無き黒幕さん
「・・・・・・・・おい、そこのだれか。あんただ、そうあんただよ」
・・・・・・・・・・・・いよいよわたくしも頭がおかしくなってきたのでしょうか?
周りを見渡しても誰も居ないのに声が聞こえてくるのです。
確かに衝撃でした。わたくしとて、この年にしていくつもの修羅場を潜り抜けてきました。
それでも人がこれほどあまりにも簡単に死ぬとは・・・・・・・・
本当はここから抜け出したい、やめてしまいたい・・・・・・・そんな思いがあることは否定しませんとも
しかし!しかしです!
何もない場所から誰の声とも知れないおじさま声が聞こえるほどわたくしの心は弱くありません!
そう、
声が、
わたくしが、
何もないところからっ!!
「・・・・・・・どうしたんだ嬢ちゃん、突然叫んで?」
「・・・・・・・・・・はっ」
いけません、わたくしとしたことがはしたない・・・・・・まさか声に出して叫んでいたなんて
あれ?しかし・・・・・・・
「貴方はどうしてわたくしが女性だとお思いになったんですか?」
「いやどうやらあんたのすぐ近くに居るみたいなんだ。だから声でわかる。真っ暗で周りのことまではわからないがな。」
そう言われ改めてあたりを見回してもだれも・・・・・・・
「真っ暗・・・・・・・?」
もしやと思い、支給された簡素なバッグの紐を解き中を見回します
ええと・・・・・・水とよく分からない缶詰と、その他いろいろと、あとは、・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・ラジオ?
「ああ、嬢ちゃん。それだ、それが俺だ。」
・・・・・・・・・・
ラジオが・・・・・・・・わたくしに話しかけています・・・・・・・
でもまあ、最近では一般的なことでしょう。ラジオが話しかけてくるなんて。
きっと・・・・・・きっと
そう、
声が、
わたくしが、
古ぼけたラジオからっ!!
「・・・・・・・・・・・・・・・ああっ!!」
「おいっ、嬢ちゃん!!」
大変失礼いたしました
しかしどこか釈然としないままラジオのおじさまの話に耳を傾けます
・・・彼のお話によりますとかつて遠い昔にあった戦争(世界大戦ではないようですが)で戦死、それを機会にラジオに憑依なさったそうな
それから、あー、まあいろいろありまして、今のお仲間方と旅をしている途中に突然襲われ昏睡(霊でも昏睡することが
あるのですね)。そして袋詰めにされて今に至ると・・・・・・・
「にわかに信じがたいですね」
「即答だな」
ともかくです。よく考えればわたくしが関わってきた事件に比べればラジオが喋るなんておかしくもないこと
どうもここは彼の言うことを信じるしかないようですね
「ということはお仲間もこの街にいらっしゃるということですか?」
「おそらくな。」
・・・・・・・・ハービーさん、(おそらくこのハーヴェイという方でしょう)とキーリさん。名簿にも載っておりますね。
「・・・・・・・・・・・・・」
「気を落とすな。キーリはともかく、もう一人の奴は必ず役に立つ。この二人には会っておいて欲しい。」
確かに。一人で出歩くのは確かに危険の一言につきます。
少し話した程度ですが、このラジオさん(仮)は信頼に当たる方のようですからお仲間のお二人も信頼の置ける方なのでしょう
それに一応、あくまで一応ですが班長とも合流すべきでしょうね。
彼ほど下劣な人間をわたくしは知りませんが、その実力が確かなのは言うまでもありません
な、何を誤解していられるのですか!?
わたくしが彼にそれ以上の気持ちを持っているわけがございません!
あんなっ!
珍妙奇天烈なっ・・・・・・・!
「・・・・・・・・・・・・・・・・ああっ!!」
「いや・・・・・おれは何も言ってないぞ」
「・・・・・どうかお気になさらずに」
ともかく、行動の指針が決まりました。
ハーヴェイさん、キーリさん、そして室長と合流すること。
しかし、わたくしの武器はこれになるのでしょうか。喋る以外は何の役にも・・・・・・・・
「どうした?」
・・・・・・・ともかく議論を続けましょう
「・・・・・・・・・ところであんたの知人はどんなやつなんだ」
「地上最低に低俗な男です」
「そ、そうか・・・・・・・」
当然、こう答えさせていただきます。もともと答えなど一つなわけですし
・・・・・・・・・班長のことは、まあ生きてるでしょうあの人は。
・・・・・・何よりあの人が死んでいる姿なんて、見たくもございません
それより気をつけなければ・・・・・・・周りにどんな方が、
「・・・・・・・・まあ、それはともかくだ」
「何でしょう?」
「あんたの名前、教えてくれないか?」
【残り116人】
【Dの1/公民館/時間(1日目・1時25分)】
【光明寺茉衣子】
[状態]:健康
[装備]:ラジオの兵長
[道具]:通常の初期セット
[思考]:ハーヴェイ、キーリ、宮野を探し移動