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キングスナイト

それは未知の体験、ゴールドエクスペリエンス

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最近体験したゲームの中、特に僕に得がたい体験をもたらしてくれた物に、キングスナイトというタイトルが挙げられます。

 今では栄華の極みにあるスクウェアですが、そのスクウェアにも無茶していた時期があったのだなあ(今でもたまにしますが)と、しみじみした感慨を味あわせてくれた、愛すべきキングスナイト。等というたわ言はともかくとして、中身の話をしましょうか。

 バックグラウンドストーリーを(僕の想像ですが)簡潔に説明すると、姫君が魔王にかどわかされてしまったので、鉄仮面の騎士、魔術師の老人、緑色の怪獣そして泥棒の少年から成る四人のキングスナイト達が、まず合流するため旅立ち、合流を果たした後に力を合わせて魔王を討ちとり、姫君を救出する、というものであると考えられます。

 このゲーム、ジャンルとしては縦スクロール型アイテムパワーアップ地形有りの体力制シューティング、というくくりがあてはまるのでしょう。しかし、実際には、既存のゲームでは味わえない要素を多分に含んでいます。

 キングスナイト達の紡ぎ出す物語は、その死に様によって語られると言っても差し支えないでしょう。このあたりはかの名作「シレン」に相通ずるものが感じられます。望むと望まざるとにかかわらず、その死がもたらされる事も同様です。僕がこのページを訪れてくださった方々に伝えたいことは、死に行く運命にあった漢達の、闘いの挽歌なのです(意味不明)。

 看取ってください、感じてあげてください、志半ばに力尽きたキングスナイト達の魂の記憶を。

 キングスナイト達の行く先には、彼らの前に立ちはだかる険しい道程を象徴するがごとくに、丘や山、樹や建物(壊して良いのだろうか)といった障害物地形が存在します。この地形は破壊可能なのですが、調子に乗って壊しまくっていると、蛇のような敵が踊り出てきます。出てきますが、普通に出てくる敵を上回る程にわんさと出てきて、プレイヤーの進路をこれでもかと塞ぎます。「藪をつついて蛇を出す」とは、先人がキングスナイト達の苦難の道のりを予見して残した言葉ではないのか、などとたわけた考えも浮かんでくる程に。

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 大量に出てきてしまった普通の敵、薮蛇、障害物地形そして敵弾に対して、キングスナイト達はあまりにも無力です。というのも、体力制のアクションゲームやシューティングゲームにとっては当然のように存在する、被ダメージ時の無敵時間というものが彼らには与えられていません。異形の怪物どもの前では所詮人の力などこんなもの、という現実的な設定には製作者のこだわりが感じられますが、避けられないタイミングで3発も敵弾が来れば即死、という様を目の当たりにすれば、かの名作「デスクリムゾン」と共通するマインドを感じ取ったりして、勝手にマゾヒスティックな快感を覚えたりもします。

 これだけ聞けば、そういう敵などが固まって出てきた所を避けて通ればいいのでは、という御仁もおられることでしょう。しかし、そうすることが不可能となる状況がキングスナイト達には訪れるのです。勇猛果敢なるキングスナイト達に命の終わりを告げるもの、それは緊張感あふれる戦場には似合わぬ「落とし穴」のトラップ。これにはまってしまうと、1秒間程度動けなくなります。その間に異形の化物どもの放つ即死コンボが炸裂。「俺か?、俺が悪いのかー?!」 相手は色無し、恋無し、情け容赦無しが専売特許の異形の化物どもです。敵を憎んではならぬ、憎むは敵を恐れる自分の心。恨むなら、鍛錬を怠った自分を恨むべきというものです。では落とし穴も避ければいいのではないか、とお思いの御仁もおりましょうが、この落とし穴、傍によって始めて確認できる上に、普通通るだろうがよそこ!、という位置に突如出現するので、強制スクロールのこのゲームでは、何度も穴にはまる事によって身体で覚えるほか有効な手立ては思いつきません。初プレイのオニオンナイト達にとって、よく分らないうちに穴にはまって殺害されてしまう光景は刺激が強すぎます。「俺か?、俺が悪いのかー?!!」と叫んでしまったとしても仕方有りません。そっとしておいて上げましょう。キングスナイト達が迎える死に様というものは、まだまだこんなものではないのですから。

 強制スクロールならではの、地形と画面の下に挟まれ死亡、というフューチャーは、自分が悪いのではないか、と飲み込むことはできます。が、落とし穴にはまり、抜け出せないうちに画面下に挟まれるという憂き目に遭ったプレイヤーは、例外なく言い様のない悲しみに包まれることでしょう。 しかし、ここで音を上げるようでは、キングスナイトとしての本懐を遂げるにはカルマが低すぎる、と言わざるを得ないでしょう。

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フィールドにおける障害物には、破壊可能な地形、落とし穴、敵、敵弾の他にも、近づくと突如として出現する柱、というものがあります。この柱がキングスナイトの歩みに合わせて迷路状のマップを形成していくのですが、当然迷路なので袋小路を作ってしまうこともあります。早い段階で袋小路を見切って回避できればいいのですが、どうも敵の不退転戦鬼軍団は、キングスナイト達の実力をかなり高く評価しているようで、迷路が形成されていく始めの段階には、迷路部分の果ての方がどうなっているのか判別できません。この結果、戦歴の浅いキングスナイト達は、訳の分らぬまま袋小路と画面下のデッドラインに挟まれ戦死する憂き目にあうという、切ない最期を迎えることがどうしても多くなります。キングスナイト達が、最も無念な死に様と考えているものもこれで、僕もこの時ばかりは、この困難な道行きの原因を作った姫君を不遜にも御恨みもうしあげたものです。そう、まるで何度となくクッパ大王について行ってしまうピーチ姫(デイジー姫)を、いいかげん鬱陶しく思うイタリア人の水道配管工のように。

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 アイテムによって武装することも、キングスナイト達が任務を成し遂げるために必要とすることです。弾を飛ばし、薮蛇を捻り潰しながら障害物地形を破壊してゆくと、回復、腕力強化、踏破力増加などの効果をもつアイテムが姿を現します。それだけであればキングスナイト達の勝利は確実なものとなるのでしょうが、悪鬼の軍団は大地に戦術神風でも放ったのでしょうか、有用なアイテムをはるかに凌ぐ数の体力減退アイテムが掘り起こされてしまいます。その数といえば、障害物や敵以上に邪魔に感じられるほど。障害物が除去されたと思ったら、今度は頼みとなるはずのアイテムにまで邪魔されるキングスナイト達。今日の涙は、彼らのために流してあげましょう。

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 ステージ1から4を経て、集結したキングスナイト達。四人隊列を組んで魔王討伐へと向かうこととなります。なりますが、先頭で奮闘する騎士以外の三人にも、いわゆる当たり判定というものが神から平等に与えられています。ですが、体力ゲージは仲よく四人で共有しています。戦神の加護によって四人揃って魔王討伐に向かうことと相成ったりすれば、当たり判定が宇宙船艦ゴモラのように肥大してしまったキングスナイト一行は、それこそ病弱なくせに地底のお宝をせしめようなどと目論むスペランカーの主人公のように、瞬く間にknocking on the heaven's doorです。

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戦術鬼との激突死、敵弾によってもたらされた死、落し穴が呼び込んだ死、障害物と画面下に挟まれての死、落し穴と画面下の間で圧死(?)、袋小路と画面下のせいであえなく死(??)、アイテム獲得の結果迎えた死(???)、四人の力が一つとなっての死(????)。数え切れぬ英霊たちの魂の軌跡、それがキングスナイト達の物語。本日の務めは何ぞ! 肉弾幸なり! 己の肉を花と散らせてこそ、姫君の幸せがあろうというもの! ・・・柄にもなく熱くなってしまいましたが、僕が勝手に妄想したキングスナイト年代記は、これからもずっと僕の中で連綿と続いてゆくことだろうと思います。

近年の、高画質ムービー集となってしまったスクウェアのゲームに満足できない貴方、キングスナイトの世界でマゾヒスティックな快感に打ち震えてみませんか?

文責 【アルゴスで戦死】