十二宮の戦いは終わり、女神の聖闘士はひとつになった。
さあ、アルデバラン様の活躍はこれからだ!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
十二宮の戦いが終わり、星矢たち4人の青銅聖闘士は昏睡状態。
そんな時に海皇ポセイドンが復活。地上は再び危機に陥った。
ポセイドン側は女神を拉致するために刺客を差し向けた。
アイオリア、星矢たちが退けるものの、このままでは、いつまた女神の身に危険が及ぶかわからない。
その時、女神を守るために一人の男が立ち上がった!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
舞台は星矢たちが眠るグラード財団療養所。そこにやってきたのは。
「女神様、ご無沙汰いたしております」
女神 「あ・・・あなたは」
「牡牛座のアルデバラン、女神様を守護するために到着いたしました」
アルデバラン様、日本上陸です。
はい、このセリフ注目ですね。他のキャラは「女神」と呼び捨てですが、
アルデバラン様はちゃんと「女神様」と呼んでいます。礼儀をわきまえた男ですね。
にしてもアルデバラン様。この格好で病院まで来たのでしょうか?
まあ、グラード財団の療養所ですからね。その辺は目をつぶりましょう。
「この度の世界各地の惨事がポセイドンの仕業となれば事態は容易ではありません。
できれば聖域へお越しいただいたほうが安全なのですが・・・」
女神 「ありがとう。でも星矢たちがまだ生死の境をさまよっています。
私だけ聖域に閉じこもるわけには行きません。」
「わかりました、アイオリアたちとも相談した結果、そうおっしゃるだろうという事で、私が派遣されたのです。」
おお、素晴らしい。
黄金聖闘士が相談した結果、最も女神を守るのに相応しいと選ばれた男。
それがアルデバラン様です。
その力は、他の黄金聖闘士のお墨付きと言ったところでしょうか。
「どうか何もご心配なさらずに、星矢たちの看護をしてあげてください。」
女神 「ありがとうアルデバラン、よろしく頼みます。」
これで女神も安心して看護する事が出来ます。
にしても、女神が聖域に入ったほうが、黄金聖闘士に守られるという事で、
星矢たちも安心して治療に専念できると思うのですが。
そうすればアルデバラン様もわざわざ日本まで来る事なかったのに。
やっぱ、この小娘、他人に迷惑かけすぎです。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
その夜、すでに人々が寝静まった時刻。
アテナの守護をするために日本に来たはずのアルデバラン様は、
なぜか、青銅聖衣たちの守護をしていました。
しかも黄金聖衣を着たまま。蒸れないんですかね。
そんな中、アルデバラン様はある音に気付きます。
「なんだ、あの笛の音は?こんな夜中に一体誰が吹いているのだろう?
しかし・・・なんと美しい音色だろうか。こんな美しい笛の音は生まれて初めて聞く。
まるで聞くものの魂さえも奪い去ってしまうようだ・・・」
笛の音に聞き惚れるアルデバラン様。
琴の音を聴くような風流な耳を持ち合わせていない、どこかの冥界三巨頭とは大違いですね。
そんなアルデバラン様、暗闇の中に人影を見つけます。
「うっ!だ・・・誰だお前は」
ソレント 「ポセイドン七将軍、海魔女(セインレーン)のソレント。」
この人、笛を吹きながら自己紹介していますが、どうやってしゃべっているんでしょうか?
謎です。
で、ちゃんと自己紹介の出来る礼儀の正しい男かと思えば、初対面なのにとんでもないこと言いますよ、コイツ。
ソレント 「わたしの笛の音を聞いたものを必ず死ぬ。」
「なに?」
ふざけるにも程があります。
黄金聖闘士のアルデバラン様に向かって、抹殺宣言です。
こいつ、アルデバラン様の力を知らないんですかね。
こんな無礼千万な奴に容赦はいりません。血の海に沈めてやりましょう。
さあ、ページをめくれ!
ボッ!
ドシャッ!!
ゴロ ゴロ ゴロ
ソレント
「フッ、他愛のない。これが女神の究極の聖闘士といわれる黄金聖闘士か。
これでは彼らの実力もたかが知れている。
タウラスの首、このソレントが確かにもらったぞ!!」
何イッ!?
全国2500万のアルデバラン様のファンの皆様、大変です。
アルデバラン様、斬首です。
ソレントの手刀により、あっさり首を落とされてしまいました。
なんと敵が登場してから、わずか5コマという、あっけない敗戦。
卒倒しかけました。
しかし、管理人は、この死を受け止めなければなりません。
ありがとうアルデバラン様!
数々の素晴らしい活躍をありがとう!!
女神の聖闘士 牡牛座のアルデバラン<享年20歳> ここに眠る。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
管理人がアルデバラン様の死の悲しみに包まれる中、無情にもストーリーは進展していきます。
セイレーンのソレントは星矢たちの眠る集中治療室に立ち入ります。
ソレント 「機械を止めれば必然彼らの命も止まるというもの・・・さらばだ!」
ソレントは生命維持装置のスイッチに指を伸ばします。
青銅聖闘士ピンチ!
ドン!
ええっ!?
タウラスの黄金聖衣が仁王立ちをしています!?これは一体!?
「待て!そうたやすく、お前の思い通りにはさせんぞ、セイレーン!」
な、なんと黄金聖衣がしゃべっています!?何が起こったのですか!?
ソレント 「な・・・なにい!?バカな君の首はたった今落としたはず!?」
次の瞬間、我々は衝撃のシーンを目にする!
「フ・・・よく見ろ。お前の飛ばしたのはマスクだけ。
それさえも気付かぬとは海闘士の実力こそ、たかが知れてるというものだ。」
な、なんとタウラスの黄金聖衣から首が出てきました!?
しかも、その顔は・・・
アルデバラン様!
なんと、セイレーンに首を落とされる寸前、首をすくめ、手刀をかわしたとの事。
スゴイ!スゴイよ、アルデバラン様!!
デカイだけでなく、体も柔らかい。格闘家としては最高の体ですね。
ここで、実はアルデバラン様の素顔初公開なのですが、
もう、首が出てきたときのインパクトで、どうでもよくなりました(笑)。
そうです、黄金聖闘士は、たかだか手刀一振りでくたばるほどヤワではありません。
さあ、アルデバラン様!ソレントを叩きのめしてしまってください!
ソレント 「なるほど・・・しかし首を縮めて避けるとは、君はまるで牡牛というよりはカメのようだな。フッ。」
「なにい?」
ソレント
「いや、結構。だがそれでなくてはあまりにも情けなさ過ぎて聖闘士の名が泣くというもの。
さあ、もう一度私の死のメロディーを味わってみるか、タウラス。」
口の減らない男です。ブチのめしてやりましょう!
「バカめ!今度喰らうのはお前の方だ!!」
ソレント 「うっ!」
「グレートホーン!!」
アルデバラン様の怒り爆発!!
ソレントは、もろにグレートホーンを喰らい吹っ飛び、集中治療室の窓を割り、
無残にも廊下に叩きつけられます。
やりました、アルデバラン様!大逆転です!!
アルデバラン様は、ソレントの死体を確認するために廊下に出ます。
ところが。
「むっ!?セイレーンの姿が消えた!」
するとどこからか笛の音が。
「セ・・・セイレーン!」
な、なんとセイレーン、グレートホーンをまともに喰らいながらピンピンしています。これはどういうことだ!?
「お・・・お前グレートホーンを喰らって無傷とは・・・不死身か・・・」
ソレント
「いや、確かに黄金の野牛といわれるだけあって凄まじいパワーだ。
今のグレートホーンを最初に喰らったら私も息絶えていたろう。
だが、今の君は実力の100分の1も出てはいないのだよ。」
「な・・・なんだと!?」
ソレント 「君は私の笛の音を聞いた時、すでに五感はおろか小宇宙まで衰えているのだ。」
「な・・・なんと・・・そういえば首を飛ばされる寸前危うく気を失いかけたような気がしたが・・・
あの時、すでにこいつの笛の音の魔力にオレの小宇宙は犯されていたというのか・・・」
なんと言うことでしょう、アルデバラン様の力は100分の1も出ていなかったのです。
それでは、流石のアルデバラン様も参ります。
ソレント!武器なんぞ使わず、正々堂々戦えよ!
にしても、100分の1の力で、あのグレートホーンの威力。
仮にセイレーンが吹っ飛んだのが3mだとしたら、
普段のアルデバラン様なら、ソレントを軽く300m飛ばす力があると言うことです。
すげぇ怪力!
ソレント
「今度は首を飛ばすだけではないぞ、君の体の全てを宇宙の塵として飛ばしてやる。
さあ聴けタウラス、この死のメロディーを!
デッド・エンドシンフォニー!」
ソレントの必殺技が発動!
アルデバラン様、絶体絶命のピンチです。
その時、アルデバラン様は・・・。
「う・・・うう、こ・・・これは、なんと言う美しい笛の音だ。
まさしく地中海シシリアの海に住み航海する船人たちをその美しい歌声で誘い、貪り食ったという、
ギリシア神話のセイレーンそのものだ・・・」
なんと、こんな状態でも、笛の音に聴き入っています。
なんて芸術を愛する男なんでしょう、アルデバラン様。
「い・・・いかん、こいつの笛の音を聞いては!このメロディーを聞いたらやられる!!」
そうです、悠長に聞いている場合ではありません。
耳をふさいでください、アルデバラン様!
「な・・・なにい、バ・・・バカな・・・?耳を覆っているのに体がしびれてくるとは・・・」
ソレント
「無駄だよタウラス。耳を覆ったぐらいでこの笛の音の魔力から逃れる事はできん。
さあ、無闇に抗わずに陶酔の内に聞きたまえ。君の死はもはや確実なのだから。」
なんちゅー笛だ!
ぶっちゃけこいつ、笛がないとタダの雑魚だよな!
こんな武器に頼ってるだけの海闘士に負けられません。アルデバラン様、頑張ってください!
「う・・・うう、ま・・・まだ死ぬわけにはいかん・・・な・・・ならばやむをえん・・・」
フッ!
「ぐうう〜〜こ・・・これでお前の笛の音を聞かずともすむ。」
な・・・なんと、アルデバラン様、自ら両耳の鼓膜を破りました!
女神のために己の耳を犠牲にする事もいとわない・・・
これぞ、地上の正義を守る聖闘士の頂点に立つ男、黄金聖闘士の鑑です!
だがしかし。
ソレント 「おろかな・・・自ら鼓膜を突くとは・・・」
「な・・・なにい!?なんだこれは!!
バカな!!鼓膜を破っても笛の音が聞こえてくる!!」
ソレント 「このソレントの笛の音は耳をふさごうが鼓膜を破ろうがそんな事に関係なく君の頭脳に直接響くのだよ」
卑怯にも程があります。
言っとくけどソレント、アンタがすごいんじゃなくて、その笛がすごいんだからな!
勘違いするなよ。
にしても、アルデバラン様、「なにい?」とか「バカな!」とか驚きすぎですね。
でも驚いた後でも冷静に分析するからステキ(笑)。
ソレント 「さあ、君はもはや放っておいても死ぬ。あの坊やたちの息の根も止めて引き上げるとするか。」
あれ!?こいつ確か、女神の命を狙いに来たんじゃなかったっけ?
いつの間に、青銅聖闘士がターゲットになったんだ?
そんな疑問を無視するかのように、ソレントは再び青銅たちが眠る、集中治療室に向かいます。
にしても星矢、女神のピンチの時は小宇宙を感じ取って起き上がってきたのに、
なぜ、アルデバラン様のピンチの時にはこないんですか?
女神は死んだら困るけど、「アルデバランならいいや」って事ですか?
やっぱ、黄金聖闘士を馬鹿にしてますね、こいつら。
ところがソレントの前に立ちふさがる漢がいます、それは勿論、アルデバラン様!
「た・・・たとえオレが死んだとしても星矢たちの命は取らせん・・・」
ソレント 「なに?」
はい、ここからソレントの笛と共に物語もクライマックスです!
皆さんハンカチの用意を!
「星矢たちにはこれから女神を守ってもらわねばならない、長い闘いが待っているはずだ・・・
十二宮の闘いで知った・・・彼らこそ俺たち黄金聖闘士の後継者なのだからな・・・」
もうほとんど力の残っていないその体で必死に立ち上がり、両手を広げ立ちふさがるアルデバラン様。
ソレント
「・・・フッ、あの坊やたちが黄金聖闘士の後継者とな・・・
それもいいが、もはや君には女神どころか彼らを守る力さえ残ってはいないのだよ。
最初の言葉通り宇宙のチリと変えてやるぞ!
デッド・エンドシンフォニーの最高潮を味わえーッ!!」
「星矢!女神をたのむぞーッ!!」
デッド・エンドクライマックス――――!!
バアアアン!!
ソレントの最終奥義が炸裂。
アルデバラン様の肉体は、残念ながら、この世から消滅してしまいました。
弾き飛ばされた黄金聖衣は、元の牡牛の形に戻ります。
ソレント
「フッ、さすがは究極の黄金聖衣と言われるだけの事はある。
アルデバランの身は消し飛んでも、その聖衣は傷ひとつつかずに残ったか。」
勇猛に立ち尽くす牡牛座の聖衣。
まるでアルデバラン様の魂が乗り移ったように、ソレントの前に立ち尽くします。
アルデバラン様を仕留めたソレントは、青銅聖闘士の息を止めに向かいます。ところが。
ソレント
「うっ!な・・・なにい、この牡牛座の聖衣にアルデバランの小宇宙が未だに立ち込めて・・・
先に進めない・・・!!
アルデバラン、君は死してなお星矢たちを守るのか・・・」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
・・・というわけで、アルデバラン様は今度こそお亡くなりになられてしまいました。
しかし、女神と星矢たちを守るために、最後の最後まで闘い、
そして、死んでもなお、ソレントの前に立ちふさがった。
なんと素晴らしい聖闘士でしょう。
間違いなく、黄金聖闘士の中で最も地上の平和を守るという意識の強い男です。
ありがとうアルデバラン様!
数々の素晴らしい活躍をありがとう!!
女神の聖闘士 牡牛座のアルデバラン<享年20歳> ここに眠る。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇