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久米田康治先生の作品との出会い


自慢じゃないが、いままで「少年サンデー」を定価で買った事は無い。
つまり、久米田先生との出会いは「サンデー」ではなく「コミックス」だった。

そう、それは中学校2年生だった。
その頃、自分は絵のきれいな漫画にハマっていた。
(「MIND ASSASSIN」「王ドロボウJING」などのタイトルを出せば分かるだろうか?)
そんな頃、本屋に平積みされている漫画の表紙に目が止まった。

それが「行け!南国アイスホッケー部」の17巻である。
自分はその「月斗がヤシの実を抱えている表紙」を見て
「なんてきれいな絵だ!」と思った(かどうだか・・・)。

だがその時は買わなかった。はっきり言うとお金の余裕が無かったからである。

しかし3日後、どうしてもその表紙が忘れられず。
なけなしの金をはたいてその本を購入。
(当時、自分はタイに住んでいた。現地では郵送料がかかるので値段は日本の約2倍)

きっと、サンデーお得意のさわやかラブコメ風味のスポーツものだろうと思い、
家に帰り読み始めると、いきなり「そあら」が登場。
最初は「そあら」が人の名前とは分からず、方言のあいさつだと思っていた。
そうこうしているうちにメカ月斗が登場。
「おかしい?アイスホッケーは?ギャグ漫画なのか?」
これが、1話目を読み終えた後の感想である。

ところが読みつづけていくと何かおかしい。
今まで自分が聞いた事も無いような言葉がどんどん出てくる。
そして理解した。

そう「下ネタ漫画」だったのである!

そう、久米田先生との出会いは騙されるところから始まったのである!
表紙にまんまと騙されて下ネタ漫画を買わされたのである!
久米田先生の思うツボである。

ハッキリ言ってこの漫画を読んでかなりのショックを受けた。
当時の自分は、なにがなんでも「コロコロコミック派」を通していた時期であり、
下ネタに免疫がなかったので、その日は興奮して落ち着かなかった。
自分はこの本を読んで一種の罪悪感を覚えてしまった。

自分はすぐさま辞書を使い、この漫画に使われている単語を次々と調べていった。
そして理解していった。
そう、この漫画は自分を性に目覚めさせたのである。
この漫画は自分を少年から青年へと変えていったのである。

いまだかつて、ここまで一個人の人生を変えた漫画があっただろうか。
自分にこれほどの影響を与えたのは、当時では
「手塚治虫」「藤子・F・不二雄」「小林よしのり」「梅澤春人」「かずはじめ」
ぐらいである。

その後、自分はどうしてもその漫画をもっと読みたくなり、16巻を購入した。
その中にもまだ自分が踏み入れた事がない魅惑の世界が広がっていた。

ところがその後、自分は「この漫画が家にあってはいけないのだ!」と思い、
なんと売ってしまったのだ!

そう、そこで久米田先生との関係は切れ、
漫画は40バーツ(当時の日本円で160円)の紙切れへと変わってしまったのである。


※※※※※※


・・・それから半年、何事もなかったように生活をしていたが、
どうしても、あの漫画が忘れられなかった自分は悶々とした日々を暮らしていた。

そんな頃、運が悪いことに自分は本屋で19巻の表紙を見つけてしまった。

・・・・「もう二度と買うまい」と心に誓った自分だが、
そこで誘惑に負け、また久米田先生の世界に引き込まれてしまった。


・・・そこからはずるずると修羅の道を歩む事になる。


※※※※※※


久米田康治は犯罪者である。
彼は漫画を通じ、一人の純朴な少年を末梢してしまったのである。

その少年は、今では人前で軽い下ネタならOKになってしまった。

しかし、自分は後悔していない。
むしろこの漫画に出逢えた事を誇りに思う。
自分は死ぬまでこの漫画を本棚に入れて置くだろう。
自分に子供ができても、うまく隠しておこう。

 

自分はこの漫画を末永く愛す事をここに誓う。

 

ありがとう、久米田先生。

 

※※※※※※

 

今後の課題:もっと文章力をつけましょう、俺。

 

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