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AviUtlデフォルトの2種類のNR(2004/03/01更新)
AviUtlにはデフォルトで「ノイズ除去フィルタ」と「ノイズ除去(時間軸)フィルタ」というフィルタを搭載しています。
これは、便利で高性能ですが、使い方を間違えるとぼやけたり残像が激しく出ます。
どういう基準で動作するのかを理解して、出力にどのように影響するのかを先読みできるように工夫してみてください。
なお、この2種類のフィルタは「KenKunNR」と呼ばれています。
AviUtlのデフォルトのノイズ除去フィルタで消せるノイズの特徴
1、薄いアナログノイズやデジタルノイズ、目で確認しにくいノイズ(薄いゴースト、ランダムノイズ、モスキートノイズなど)
2、ちらつき(微小範囲の映像の揺れ、ドット妨害除く)
AviUtlのデフォルトのノイズ除去フィルタの2次的効果
1、目立たないノイズなどが消える事によるファイルサイズの軽減
2、ノイズが消費するデータレート減少による、同一ビットレートでの画質の向上
AviUtlのデフォルトのノイズ除去フィルタで消せないノイズの特徴
1、大きな映像の揺れ(目立つビートノイズや電波障害など)
2、クロスカラーや色ズレや大きなゴーストなど
3、残像やインターレース除去失敗の縞や彫りの深いノイズ
これらを覚えておいてください。
ノイズ除去の効果を知るには、目で見えるような形式を用いるのが良いと思われます。
それを補助するツールは「ヒストグラム」「拡大ツール」です。
今回は「エッジ検出フィルタ」も使ってみたいと思います。
「ノイズ除去(時間軸)フィルタ」の性能を知るために、「フレーム差分フィルタ」も使ってみます。
まずは、AviUtlに動画を読み込みます。
キャプチャした動画、拾った動画などどんな動画でもいいです。
ノイズが少ないもの、多いものを「解析」してから判断するからです。
まずは、解析に使うツールの使い方から説明します。
「ヒストグラム」
色の分布を調べます。RGBの場合は左端が0で右端が255になっています。
上が赤(Red)で、真ん中が緑(Green)、下が青(Blue)でR-G-Bの順番になっています。
これはプレビュー画面全体の光の三原色成分を抽出したものです。
ヒストグラムは見ただけでは映像の種類や色はわかりません。
ただし、「映像の傾向」がわかります。上のヒストグラムを見ると「0〜255」までまんべんなく広がっています。
そういう意味で、ダイナミックレンジがとれた色の濃い映像であると予想できます。
映像の傾向をつかむ為のアイテムだと思っておいてください。
このヒストグラムの動きにより、わずかなノイズ除去による副作用の色変化を捉えることができます。
「拡大ツール」
1倍拡大では認識しづらいノイズなどを、拡大して調べます。
目視の補助ツールの中では最高ランクの性能を誇ります。
10倍拡大するとわかりづらいので、4倍、6倍、8倍を使います。ノイズ解析には、4倍がオススメです。
コレを見ながら、ノイズの有無とノイズ除去の効き具合とノイズ除去の副作用を確認して調整をしていきます。
なお、この上の映像にアナログノイズはありません。24bitビットマップソースのフルカラーPNGだからです。
「エッジ検出フィルタ」
ノンインターレース(インターレス解除)をしたあとの動画でノイズ計測のため使います。
エッジを際立たせて見せる事が出来ます。私の環境ではAviUtl0.99では誤作動するようなので、
AviUtl0.98を使います。設定は、
「8近傍」
を使います。値は
「-2」
だと良く見えます。
上のサンプルはソースがBitmapなので、ノイズレスです。
デジタルノイズのあるサンプルの場合だと次のようになります。
上のBitmapをDivX5.11で高圧縮したものです。ライン上にノイズが目立ちますね。
このように、ノイズを検知し除去の様子を見ることができるので非常に便利です。
ただし、複雑な映像だけのシーンだとノイズ認識が難しいと思いますので、CMなどのCGがあるところで、
実験や練習すると良いとわかりやすいと思います。
「フレーム差分フィルタ」
夏木様の情報により、ちゃんとした使い方がわかりました。ありがとうございます。
「前位置0、強調は好きな数字」にすることにより、「そのフレーム」のフィルタリングの効果が目に見えてわかります。
そのフレームのフィルタリング前の映像とフィルタリング後の映像を比べられるので便利です。
上の設定でフィルタの効きは確認をしてください。
このように、「フィルタリングで変化した量」を見ることが出来るようになります。
では、実際に「ノイズ除去フィルタ」を使って見てください。どんなソースでも良いです。
どのようなアルゴリズムで何が起こっているかがわかれば、数値入力で迷う事はなくなります。
一番簡単なものとして、「エッジ検出フィルタをONにした例」を取り上げます。
NRの効き目をどうしても見たいという人のために、このサイトには動画サンプルが用意されています。
一応リンクをしておきます →
ダウンロードサンプル(コーデック比較実験のところのDivX5.11と同じもの)
すでに実験を知っている、サンプルを持っている方はダウンロードの必要はありません。
上のエッフェル塔とオペラハウスのDivX5.11映像のサンプルでノイズ除去フィルタをONにすると、次のようになります。
効果が目に見えてわかると思います。映像のエッジ周りのデジタルノイズ(モスキートノイズ)が消えますよね?
エッジフィルタはこのように「アナログ、デジタルノイズ除去の様子を確認するため」に使います。
実際やってみると、簡単に理解できるはずですので、一度はやってみてください。
まだ不透明な部分が多いですが、AviUtlのノイズ除去フィルタの効能やアルゴリズムの一部が垣間見えた気がしませんか?
次に、ノイズ除去フィルタのスライドバーを利用して、数値を変化させてみましょう。
「強さ256、範囲2、しきい値256」にした時の例は下の絵ようになります。
元ある映像のエッジが太くなり、映像がおかしくなっているのがわかりますよね?
エッフェル塔やビッグベンなどの細かいエッジが消えていく様子がはっきりわかると思います。
これでは、折角640×480の高解像度があっても、高画質とは言えないと思います。
ついでに、エッジ検出フィルタ無しで拡大鏡を使ってこの状態を見てみましょう。
やっぱりボケボケですね。この値は使ってはいけないと思いませんか?(どうしても使いたかったらどうぞ、自由の世界ですので)
私はもちろん、このように強いノイズ除去は好みません。画質が向上したとは言えないからです。
これら3種のツールの説明は、全ての種類のノイズ除去フィルタに適応できます。
AviUtlのデフォルト以外のNRフィルタを使いたい場合、これらの補助ツールによりより適した設定が可能だと思います。
是非使いこなしてください。
補助ツールを使ってもどのくらいの設定が良いのかわからない人もいると思います。
画質に対する感じ方は人それぞれ&ソースによって違いますので、
設定の数値を示して実際に「この数値が全てに通用して良い」と示す事は不可能だと思っています。
一応基準を示しておきます。「絶対に正解」といった考え方ではないので、1つの「テクニック」として存在してるもので、
もっと上手な方法はいくらでもあると思ってください。ツールの使い方の基本はここまでにしておきます。
AviUtlの「ノイズ除去フィルタ」のテクニック
ポイント1、YCbCr全てに適応されるので、明るさや色が変わる
ヒストグラムより確認できるはずです。AviUtl0.99に標準搭載されている「YCbCrヒストグラム」を見てみましょう。
左側がノイズ除去前、右側がノイズ除去後のヒストグラムです。
Y(輝度)は丸くなっていますね。よく見ると、中央に寄っている事がわかります。
CbCr(色差成分)もわずかに変化しています。Cbの中央より左側は、ヒストグラムが丸くなっているのを確認できます。
Crの左側の背が高いところは、線が細くなって色が分散しているのがわかると思います。
映像は明るさと色が変化しているのを見ることが出来ます。つまり、「ノイズ除去」を強めにかけた場合は、
後で色調補正もしなくてはいけません。
ポイント2、ノイズを消しながらエッジを保つ場合の限界を知る
ノイズ除去をする場合、細部のエッジは潰れます。つまり、映像のエッジが残る状態で、ノイズと思われるエッジを
消すレベルの設定だと画質がアップするということです。映像のエッジがノイズより弱い場合は「ノイズ除去フィルタ」
の設定をいくら上手に行っても画質アップの為のノイズ除去は出来ないと思います。
他のフィルタで何とかなる場合もありますが、「ノイズは映像より弱い」ものしか消せないということを覚えておいてください。
ポイント3、出力のことまで考える、フィルタ順位を明確にする
AviUtlのノイズ除去フィルタは、上下方向の輝度や色も参照するので、インターレース動画で使うとフィールドを破壊する
恐れがあります(相当弱かったら大丈夫ですが)。また、クリップや拡大縮小フィルタより先になるか、後になるかで
効き目が変わってきます。自分の思ったとおりにするために、フィルタの順序を見直さなくてはいけません。
そして、重要なのが「どのcodecでどの程度のビットレートで圧縮するか」によって、設定を変える必要があります。
高ビットレートのMPEG2にするなら、弱めのほうが細部の表現が忠実に受け継がれ好ましいと思いますし、
低ビットレートのDivXにするなら、少し強めで高圧縮が効きやすい細部の潰れ気味のほうが好ましいと思います。
こういったことも考慮すると、良い結果を得られると思います。
ポイント4、「ノイズ除去フィルタ」は2D(x軸、y軸)で動作する
フレーム単位で動作します。つまり、そのフレーム内の情報を参照するので、他のフレームには影響を及ぼしません。
ただし、先ほども述べたようにフィールドには影響しますのでご注意ください。
「ノイズ除去(時間軸)フィルタ」のテクニック
基本は、「ノイズ除去フィルタ」と同じですが、今度は「フレーム間」で情報を参照しノイズ除去を行います。
ポイント1、残像がでるほど強くしない
強くすれば、動きがある場所のプレビューを見ると残像を確認できるはずです。
この状態は決して好ましいものではありません。いくら時間軸上で動くノイズが存在するから嫌だといっても、
残像が見えないよう強くしないことが肝心です。
ポイント2、フィルタの順番に注意する
フィルタの順番が悪かった場合、おかしな映像になる場合があります。
使うフィルタの順序は正確に行ってください。(古いAviUtlの場合は要注意)
ポイント3、ヒストグラム動画
ヒストグラムを立ち上げたままで、静止画に近いところをコマ送りさせます。
すると、静止画なのにヒストグラムが微小範囲で揺れるはずです。この揺れを抑えるのが
この時間軸フィルタ最大の目的です。ヒストグラムの揺れのチェックをしてみてください。
どうしてもわからない場合(ジャンパーの個人的な基準、実用価値無し)
ソースが十分綺麗な場合は「高圧縮(ファイルサイズを小さくする)」の時は
「ノイズ除去フィルタ」の設定は「強さ256、範囲1〜2、しきい値8〜12」
「ノイズ除去(時間軸)フィルタ」の設定は「強さ256、範囲2、しきい値16」
くらいが良いです。VTRなどではこの設定をしても悪さをしないはずです。
MPEG2キャプチャソースやDivXに圧縮したなどの、デジタル圧縮が加わっているけど綺麗なソースの場合は
「ノイズ除去フィルタ」の設定は「強さ256、範囲2、しきい値16〜24」
「ノイズ除去(時間軸)フィルタ」の設定は「強さ256、範囲2、しきい値16〜32」
くらいが良いと思われます。アニメだとこのくらい強いと好印象になると思います。
ソースがどうしても上の数値でも変化が少ない場合は、AviUtlのデフォルトのノイズ除去フィルタではなく、
もっと効果の高いフィルタに挑戦すると良いと思われます。
人の数字を気にしなくなれば、ノイズリダクション中級者だと思います。
私も昔は人の設定ばかり気にして「何を基準」にして良いかわかりませんでした。
画質を見る目と経験を養ってみてください。
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