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DNRH-002 DVI搭載モデルのレビュー(2008/09/08作成)(2009/01/26更新)
2008/10/25(土)、売り切れを確認しました。




  怪しい小型PC、DNRH-002のレビューです。
  



  はじめに

  最近、秋葉系のサイトをネットサーフィン(死語)していたら、PentiumM静音PCが欲しかったころ(2004年)に伝説だった、無音PCの中古品があったので、
  2週間迷った挙句購入することとなりました。(http://iosys.co.jp/zaiko_list/item.php?GN=22739)(すでにリンク切れ)
  一般人には中古でHDDが1GBのゴミ同然の不可解なPCですが、私にとっては宝に見えました。
  ホントにPCオタク以外は購入しないほうがいいでしょう。動かすことすらできないで、鉄の置物になると思います。

  まずは基礎知識から〜

  CPUはDothanのCeleronM1.5GHzです。PentiumMでもなく、Core2Duoでもなく非力に見えますが、
  ファンレスPCというジャンルの中では最高峰のスペックであるでしょう。
  軽めにカスタマイズしたLinuxを動かすだけなら文句のつけようがありません。
  チップセットは855GMEっぽいです。サウスブリッジはICH4-Mで、SATAがないのがちょっと残念ですね。
  差さっているメモリはDDR1-400ですが、DDR1-333で動作してます。このメモリが特殊仕様の0.8inch高であるため、新品だと512MBで1万円します。
  HDDの代わりに装着されているSSDは1GBで低速なため、交換推奨です。超ボトルネックです。
  前面にPCMCIAポートがついていますので、何かしらの拡張も可能です。

  そして、このPCの最大の特徴が「無音」です。12V7A(84W)のAC電源もファンレスであるため、本当に無音です。
  さらにノートPCのように、消費電力が低いです。SSDの状態で20W-26Wくらいの消費電力です。
  この2点のメリットを生かし、Linux開発環境を構築したいと思って購入しました。

  初心者お断りの理由

  ・OSが付属していません。Windowsを買うと最低1万円します。OSがないPCは魂が抜けてる状態なので使い物になりません。
  ・SSDが1GBで低速なため、SSD交換には分解が必要です。マザーボードとケースがかなり固く組み合わさってるため、初心者にはきついです。
  ・2.5inchのIDE接続のHDDやSSDは入手性があまりよくありません。といいながらまだノートPCの半分はIDE接続ですね。
  ・内蔵CDドライブがありません。外付けUSB接続DVDドライブを買うか、USBブートメモリなどを利用する必要があります。
  ・中古品ですので、新品よりも寿命が短いことは覚悟しなければいけません。
  ・Windowsを使うなら5万円程度のノートPCを買ったほうが、画面もついててすぐに使えて良いです。
  こんなところでしょうか。

  このPCのCPU性能を示すベンチマーク結果です。数世代前のCPUですが、非力なりにがんばってます。
  なおベンチマーク中のPC全体の消費電力は最大34Wでした。
  



  次に〜快適に使うための注意点

  (1)快適に使うためには1GBのSSDは捨てて、新しいSSDを装着します。まず古いSSDのベンチマーク結果です。
  
  
  このベンチマーク結果は、2.5インチ44ピンIDE変換→USB2.0接続なので、参考記録ということでお願いします。
  とても常用するに至るレベルではありません。

  そこで、安価で一番安定している、2.5インチPATAのSSDを購入するのがオススメ。
  HDDでもいいのですが、無音のうまみが消えます。8GBもあればLinuxが入るので、一番安く信用性の高いSLCタイプのSSDを購入(12000円)。
  
  本体に似合わないすごい出費ですね。価格.comでは、相性問題が出てるとか口コミでありますが気にしない。
  SSDはどんどん安くて高速になってるので、欲しい時が買い時と思って購入してください。
  実測したところ、次の読み書き速度が出ているようです。最近の2.5インチHDDと同程度の速度です。
  測定はDNRH-002本体のIDEにSSDを直接接続し、Win2003Server評価版をインストールして行いました。
  
  SSDの購入に関しては、SLC、MLC、接続インターフェース、コントローラ、寿命というキーワードで勉強すれば間違った購入をしなくて済みます。

  HDDだと熱で故障するかもしれませんのでお勧めしません。値段で決めるなら、HDDだと120GBで5000円切ってるので、サーバ用途にするなら120GBで。
  250GBはディスク枚数が多いですし熱で故障する確率が高いと思いますし、137GBの壁も体験するかもしれないのでお勧めしません。

  (2)USBポートは大事です。背部に2ポートしかありません。CUIだけのLinuxだとUSBキーボードだけでいいのですが、
  GUIを使う際はマウスがあったほうが操作しやすいです。USB接続でフラッシュメモリやDVDドライブを取り付けるので、
  できる限りキーボードやマウスはPS/2接続のものを利用するとよいと思います。

  (3)PCMCIAスロットは拡張性が高いです。このスロットをいかに有効に使うかを考えることが快適PCライフのカギです。
  ・無線LANカード
  ・無線WANカード
  ・ストレージデバイス接続
  ・引っ張ってPCIスロット化
  など、使いたいものが使えます。お勧めは無線LANカードです。とりあえずLinuxがインストールできたら無線LANを使ってみます。
  と言いたいところですが、熱がこもるため安定性を考えて未使用にしたほうが良いとわかりました。

  (4)「無音」と書いてますが、ACアダプタが鳴きます。テレビなどから「ジー」と聞こえるあの音です。
  余裕があればACアダプタも交換したほうがよいかもしれません。



  実際に利用する際の注意点

  (1)熱い、とにかく熱い。縦置きを推奨します。
  HDDやSSD周辺が熱くなりすぎると、起動時にBIOSがHDD・SDDデバイスを認識しなくなります。要注意!!
  私は放熱シートをSSDに貼り、本体内部の空気へ熱を逃がす方法をとりました。

  (2)サウンドにノイズが乗ります。
  UbuntuでMP3を再生すると、「ホワイトノイズ」と電流の大きさが変化したとき「バリバリといった」音がします。クリアではありません。
  スピーカーならある程度誤魔化せますが、ヘッドホンやイヤホンで常用するのは難しいです。
  なおUSB-Audioを使うとノイズ入りません。まぁDA変換の場所と伝送方法が違うから当たり前ですね。
  Ubuntu環境または他Linuxディストリ環境で、オンボードサウンドにノイズが乗らないDNRH-002をお持ちの方がいらっしゃったら教えてください。

  (3)本体内部はノイズだらけです。
  ACアダプタは明らかに音を出して危ない感じですが、本体内部もノイズが多いみたいです。
  磁界を見たりコンデンサのチェックをしたほうが良いかもしれません。



  問題点

  (1)メモリ増設について
  512MBしかありません。メモリスロットが2個あるので、空きスロットに増設できますが0.8inchの高さのものは値段が高いです。
  消費電力を抑える意味で我慢するのもアリでしょう。
  なお、高さ3cm高までのメモリは使えるようです。しかし3.1cmになると使えなくなる不思議。よく設計されてますね。
  
  3cm高のメモリは普通に売ってますので、よく見て買えば問題ないです。

  (2)無音じゃないACアダプタ
  2次側はDC12V-7AってわかってるのでノートPC用で売っているのを使えば問題なさそうです。
  ただし、本体と接続するコネクタ部分の形状・太さなどはきっちり計測して購入すると良いでしょう。
  中心が+、外側が-です。芯なしのコネクタで、本体側に+と接する芯があります。
  ボルト数を合せ、プラスマイナスを合わせ、コネクタの芯の有無と径を合わせ、
  アンペア数が超えてればどれでも使えるんですが、火災の原因になるので計算は慎重に(算数ですけど)。
  私は60W(12V5A)のACアダプタを改造して接続して、完全無音にしました。



  あったら便利なもの・あったほうが良いもの

  (1)USB接続のDVD/CDブートのできるドライブ
  
  OSのインストールの際に必要です。LOOX Uや最近流行っているネットブックにはCDドライブがないため、
  USBの外付けDVD/CDドライブ(ポータブル型)で、BOOTできるデバイスを持っている方がいらっしゃると思います。
  DNRH-002のために、わざわざ外付けDVD/CDドライブ買うのはもったいないですから、新規購入はお勧めしません。
  「すでにある環境」の敷居が高いため、なかなか売り切れなかったのでしょうか。
  ネットワークインストール、USBメモリからのインストールができる技術があればいいのですが、難しいですよね。

  (2)Linuxを用意できる環境
  本の付録のCDなど手に入ればいいのですが、Linuxの基本はWEBからISOをダウンロードし、それをライティングして利用します。
  Windowsを入れるなら問題ないですが、「前準備」ができる環境がないとつらいです。

  (3)NAS
  
  どうしても熱を持つ本体と、コンデンサの経年劣化なども気を使わなければいけません。
  この本体に大切なデータを残すのは、私としては避けたいと思いました。
  そこで、データを保存するNASがあれば、比較的安全にデータを保存できるでしょう。
  Linuxならsmbを使って「mnt」にアタッチすればいいですし、
  Windowsならネットワークドライブとしてアタッチすれば、容易にデータ保存ができます。

  (4)LCD
  ディスプレイのことです。DNRH-002とネットブックやノートパソコンとの差は、画面が別途必要なことです。
  LinuxでtelnetやSSHのCUIで利用するなら別途画面は必要ありませんが、UbuntuのようにGUIを利用できる環境を構築するなら
  ディスプレイを準備する必要があります。できれば省電力だといいですね。

  (5)LAN環境・インターネット環境
  これがないと息が詰まった感じですね。無音・省電力情報端末として活用するにはネットワークが必須です。
  スタンドアローンで利用されるならいらないですが、今の時代はネットワークにつながってナンボですよね。



  よくある質問と答え(FAQ)

  (1)WindowsXPをインストールしたい
  可能です。ただし初期状態だと、nLiteで削っても1GB以下はまず無理です。
  2.5inchのHDDやSSDと、WindowsXP DSP版とセットで買えますので、どうしてもWindowsXPを使いたい方にはセット購入がオススメです。
  インストールの際はUSB外付けDVD/CDドライブが必要なので、その点は注意してください。

  (2)CeleronM370の処理能力はどのくらいなの?
  VIA C3 1GHzの3倍くらいでしょうか。Atom1.6GHzの1.3倍くらいでしょうか。
  Pentium4の2.4GHzと同等くらいじゃないでしょうか。意外とイケてます。

  (3)オンライン3Dゲームがしたい
  無理です。無音の軽い作業用のPCです。
  Windowsをインストールすればラグナロクオンラインくらいなら動きます。

  (4)WindowsVistaで使いたい
  i855GM/GMEレベルでは3D機能が4世代くらい前(DirectX7時代)なのでボロボロです。Vistaをインストールしないほうが幸せです。
  チップセットがそこそこ新しいAtomのほうがVista向きです。

  (5)1万8千円で中古PCならもっといいのがあるんじゃ?
  完全ファンレス+消費電力が小さいPCとしての価値です。ノートPCの部品を使っている、少し変わったPCです。
  なお、ファンレス無音PCを新品で組もうとするとベアボーンだけで4万円以上します。

  (6)よくわからないけど、買ったけどどうすればいい?
  パソコンは目的なしに買ってどうするものではありません。Linuxの勉強や開発用途がベストの使用方法だと思います。
  重たいので、窓から投げたりしてはいけません。また、PCリサイクル料金がかかるので、簡単に捨てられないので注意してください。

  (7)熱くならない?
  ある程度熱くなりますが、ケース全体がヒートシンクという画期的?な構造なのでなんとかなります。
  ただし、HDDやSSDは熱が篭ってダメージを受けやすい状態になっています。PCMCIAを使わないと意外と冷えます。
  HDDやSSDをケースに接触させるとすごく冷えますが、取り付けと取り外しが難しくなります。
  排熱をよく考えて、置く場所や室温に気を使うので、熱問題が嫌いな人は買わないほうが幸せだと思います。

  (8)消費電力は?
  初期状態で20〜26Wです(ワットチェッカー計測値)。メモリを増設してHDDにした場合は25〜35Wくらいでしょうか。
  HDDは2.5インチが低消費電力といっても、スピンアップ時は電力食います。
  なお、CPUは消費電力やOC耐性の個体差が大きいので注意してください。
  DNRH-001より省電力、高性能、省スペースです。



  CPU交換とWindowsでの利用方法(2009/01/26更新)

  (1)CPU交換
  i855GMEチップセットでは、400MHzのバスクロックのPentiumMとCeleronMのCPUをサポートしています。
  そこで、中途半端で最も普及してしまい価格の安いPentiumM 725(1.6GHz Dothan)に交換しました。(3500円程度)
  お金があれば1.8GHzが良いと思いますが、古いPCに投資するのはもったいないです。
  交換は簡単です。ヒートシンクを外し、CPUを持ち上げ、グリスをコアに塗ってまたヒートシンクをつけるだけです。
  コア欠けに注意すれば、元のCeleronM370もまだまだ使えます。
  注意として、533MHzのDothanは(たぶん)使えないので、間違えて購入しないようにしてください。
  また、マザーボードメーカーの公式サイトでは1.8GHzまでを推奨しているので、2GHzはやめたほうが良いかもしれません。
  PentiumMに置換したときのベンチマーク結果は次の通りです。
  
  CeleronM(Dothanコア)が優秀で、PentiumMにしても差がわずかであることは間違いないです。

  (2)Windows環境で利用できるダウンクロックソフト
  PentiumMだと、CrystalCPUIDというソフトウェアで、ダウンクロックが自分で設定できます。
  このダウンクロックでは「電圧」も調整できますのでPCの消費電力を自由に変更できます。
  ただし、オーバークロックはできません。だから私はお金があれば2.0GHzのコアが欲しかったのですが・・・
  CrystalCPUIDの設定は
  
  となります。実際に下がっているかどうかをワットチェッカーで調べたところ、システム全体で最小16Wとなりました。
  またORTHOSで負荷をかけたところ、システム全体で最大26Wの消費電力となりました。
  16Wにすることで発熱を軽減し、常時起動でも熱くなりすぎないようにできます。
  ただし、自己責任です。上の設定は私が買った石の安定最小値です。もっと低くできる石もありますし、
  低くするとOS再起動でHDDやSSDのデータが吹っ飛ぶかもしれません。


  CeleronMでクロック数と電圧下がったよ、という方は教えてください。電圧はほぼリアルタイムで
  
  のソフトウェアで見ることができます。なお、CPUコア電圧を0.77V程度まで下げると、CPU温度は室温くらいになります。

  (3)メモリ交換
  高さ3.0cmまでのメモリが使用できるため、比較的安い1GB×2にしました。
  なお、メモリ1枚当たりの消費電力は実測3Wでした。つまり、メモリ2枚で6W消費することになります。
  低消費電力で軽く楽しむなら1GBの1枚が良いと思います。(DualChannel対応のマザーボードじゃないし)
  なお、トータル2GBのメモリのうち1GBをRAMDiskにして、ページファイル置いて利用しています。(Windows2000はページファイル必須)
  
  DDR333でもHDDよりは圧倒的に速いので、便利に利用させてもらってます。



  まとめ

  高性能な無音PCは贅沢の極み。消費電力が少なくてエコなのにエゴ。



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