ぴぴたろーは、セキセイインコで、レインボーという種類らしい。
一万円で、オカメインコ(ひな)を買ったときに、ぴぴ(ひな)が、同じ段ボール箱のなかでゴソゴソ動いていたのがとってもかわいかったので、ペット屋にぴぴ太郎も欲しいと言うと、
1500円だけど、おまけで(タダで)くれた。
おまけで付いてきたぴぴが、オカメインコのしろチャンを親だと思い、寒い冬の間、しろチャンのお腹の下に潜り込んでなんとかすごした。
かくして冬を乗り切ったぴぴだったのだが、しろチャンは、風邪をひいて1ヶ月くらいして死んでしまった。
一万円のしろチャンが死んで、オマケのぴぴが生き残ってしまったのだ。
しかし、小学校6年冬〜社会人1年秋までの11年9ヶ月のあいだ、一緒にあそんだのは、
大切な時間だった。・・・・・
ピピは、よく逃げた。なかでも、
3大逃避行というものが思いで深い。
たべかけの(↑)メロンパン
つくえの本棚の古語辞典の上の5インチDiskがなつかしい。
最初に逃げたのは、私が中学生の頃だった。当時、ドラクエ2をしていたころだ。
部活に行くため、学校に行こうと玄関を出て、少しして肩がちょっと重いのに気がついた。
な・な・な・なんと〜! ぴぴが肩に乗っているではないか!ぴぴは飛び立った!。ぎゃ〜〜〜!
そこで、あわてた私は、伝家の宝刀をすかさず抜いた。
「ももたろさんのおはなしをするよ〜。むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが・・・」
ぴぴは、桃太郎さんのお話が大好きだったので、すぐに旋回してもどってきて、一件落着であった。
二度目は、母上の話だ。同じく中学生の時だったとおもう。岩国(錦帯橋で有名)にすんでいたとき、蜷川新右衛門またしても部活にいくところであった。母上の「ギャー!」という悲鳴!そう。ぴぴ太郎がベランダから飛んで逃げたのだ。ベランダとは反対の玄関から猛スピードで出て行く母上。母上はぴぴ太郎のもとへ直行。「裁判所前」バス停の裏の塀にぴぴ太郎を発見した!母上もそこで伝家の宝刀をすかさず抜いた。
「ももたろさんのおはなしをするよ〜。むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが・・・」
ぴぴは、桃太郎さんのお話が大好きだったので、すぐに母上の方にとまった。そのまま家までずーっと桃太郎の話をつづけつつ帰るのであった。
三度目は、究極であった。
やはりこれも同時期。ドラクエ2で、はやぶさの剣と、はかいのつるぎをくっつけて、「はかぶさのつるぎ」と仲間うちで呼ばれていたいわゆる裏技をしていたので時期としては思い出深い。
さて、そのドラクエ2をしていたとき、台風がちょうどきていた。台所で料理をしていた母上。ベランダにつながる窓(60cm×45cmくらい)をあけたままだった。突然!ぴぴ太郎はその窓から大空へ飛び立った!
台風で雨も降っている。ぴぴ太郎は野生の鳥ではない。かわいいセキセイインコなのだ。とてもあの強風の中を無事でいることはかなわないだろう。蜷川新右衛門はあきらめかけた。その時!またも母上は猛スピードで玄関をでていった。蜷川新右衛門も続いて出ていった。
5分くらい探しただろう。蜷川新右衛門は例の「裁判所前」バス停にいた。ふと上を見上げると、黄色い鳥がものすごい速さで飛んでいた!「ぴぴ太郎かも知れない!」
しかし、雨で強風のなか、ぴぴ太郎らしき鳥をあっという間に見失った。
母上に報告した。「黄色いぴぴ太郎らしき鳥が若宮神社の方へ逃げていった。」
その方向には、中室氏の家や、倉重健太郎氏の家など、ほかにも適切と思える目印はいっぱいあった。しかし、神によるぴぴ太郎との絆(きずな)のなせる業か。過去一度しか行ったことがなく、しかも普段は口の端にのせることのない「若宮神社」を指示したのだ!
かくして「若宮神社」にこそ逃げ込んだと思い込んだ母上は、「若宮神社」に直行!そこには、当時公文(くもん)が開かれており、公文塾から帰る小学生がいた。母上は問うた。「黄色いインコが飛んで来なかったか。」 その質問は、内容、聞く相手、タイミング、すべてが神の摂理にかなった、もっとも適切なものであった。
小学生は答えた。「インコが弱っていたので友達の○○君が持って帰ったよ。」
母は小学生に家を教えてもらい、茶菓子をもって訪ねた。
もう会えないと思っていた「ぴぴ太郎」は、ずぶぬれだった体を乾かしてもらった様子で、元気に桃太郎さんのお話をしていたのだ!まさに、奇跡的な復活劇であり、ぴぴ太郎との運命的な出会いを感じずにはいられなかった。一休さん最終回に比すべき感動をあたえてくれたのだった。
めでたし、めでたし!
天に召されるぴぴたろうの雄姿!<1998年作>
大学を無事卒業し、翌年、社会人1年目だった。
その日は勤労感謝の日で、突然母上から電話があった。小学校6年の時から住んでいたあのぴぴたろうが死んだというのだ!
もちろん、新右衛門の落胆は激しかった。ついこの前まで元気だったのに。ももたろさんのお話もちゃんと聞いてたのに。父上が寝ているとき、ガサッと音がしたらしく、見たらぴぴたろうが小屋の中に落ちて死んでいたそうだ。・・・・新右衛門は、その状況が信じられない。ぴぴたろうの埋葬も見ていないし、元気なぴぴたろうが死んだのが想像できないのだ。
おうちの庭にはぴぴ太郎のお墓があり、現在、ぴぴ太郎記念として「さくらんぼの木」がその上に植えてある。
ぴぴ太郎は永遠に新右衛門の相棒なのだ。