・為謙宗為〜謙翁さまについて
けんおう様として登場する禅師が、為謙宗為(いけんそうい ?-1414)である。 けんおう様は、外観和尚も頭を下げる偉い坊主で、子供をかわいがる、やさしい和尚として登場する。が、ほとんど登場機会はないが・・・ 実際の謙翁の存在感は、一休さんにとって、途轍もなくおおきなものだった。それこそ、謙翁死去のさいに1週間の断食(石山寺)ののちの入水自殺未遂にまでなるくらいだ。(…一休さんの入水自殺未遂の原因は他にもある。) 妙心寺開山の関山慧玄の法流を継ぐ、無因宗因(むいんそういん)の高弟で、関山派の法灯をつぐ清貧の禅者で、西金寺(さいこんじ)にすんだ。一休さんは、「年譜」によると、17歳から5年間師事したとある。 謙翁は、師の無因から、「左券」とよばれる悟りを証明する印可証明を譲られたが、謙遜してどうしても受けようとしなかった。その謙遜ぶりから「謙翁」と名をとったそうだ。一休さんは、印可証明をもらっていない謙翁から、印可状を渡せないことを詫びられるのだが、このことが一因となり、かそう禅師の印可状をも受けなかったし、印可状をすべて廃棄したのではないかとも思う。 (兄弟子「ようそう」らも拍車をかける禅宗のサロン化を嘆いていたため、いずれにしても印可はうけなかったように思うが。) けんおう様は、「宗純」の名付け親でもあり、アニメでの登場はわずかだが、じつにおおきな影響を与えた人物なのであった。 この、謙翁さまも、西金寺も鹿苑院僧録司の管理からははずれており、一休さんの意図が、足利の体制からの脱却にあったことは想像に難くない。 |