remove
powerd by nog twitter

首人間3

 あるところに、絶世の美人を妻にして、羨望の的になっている男がいた。ところがその妻は、日中はどうしても外出せず、いつも薄暗い家の隅にいる。余りに不思議なので、夫が妻をよく見ると、なんと妻の胴体はなく、ただ首ばかりがあった。これを見た夫は呆れて、いっそのこと妻を亡き者にしようと思い、ある日、嫌がる妻を持って川へ行き、橋を渡るふりをしてその首を川へ投げ捨ててしまった。すると首は流れて行ったが、今まで見えなかった胴体が次第に現われて、完全な美しい女体となった。夫はそれを見て非常に悔やみ、声を限りに呼んだが、その甲斐もなく妻は流れて行った。
(台湾ブヌン族郡蕃東埔社)(『生蕃傳説集』より)
(解説)異類婚姻譚だろうか。