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日経キャリアデベロップメントフォーラムに行ってきました。
−序−
 平成16年7月24日(土)、日経キャリアデベロップメントフォーラムに行ってきました。このフォーラムは、手許の広告によると、「キャリアアップを目指すビジネスパーソン(※1)に役立つプログラム」で、「このフォーラムに参加して、キャリア形成のヒントをつかんでください」とのこと。  ここで話された細かい内容については(有)ジャパンスワーサービスの方でレポートとしてまとめておきますので、今回ここに書くのは、そのレポートに書き切れないこと、および書くに値しないこと、あるいは書いちゃいけないことなどです。

 会場は大手町の日経新聞本社ビル8Fの日経ホールなんですが、大手町はオフィス街ということもあって土日は閑散としていて、飲食店も半分くらい閉まっています。土日祝日にこちらへ来るときは、メシはどこか別の所で済ませた方がいいでしょう。
 それから、ビルの入り口には警備員が陣取っていて、招待状を見せて中に入りました。日経ホールの入り口でも提示するわけですから、とどのつまりこれは2重のチェック。ひょっとしてテロ対策ってこと? あ、でも、警備員さんは招待状をちょっと見ただけで、すぐにエレベーターを指して「8Fへどうぞ」って言ってくれたから、警戒なんて緩いもんですな。(※2)

 さて、エレベーターで8階に行き、会場の受付で招待状を提出すると白い封筒を貰いました。中には広告がどっさり…。まあ、チェックが済んだら、裏が無地の奴はメモ用紙にしてやろう。
 他にも「ご自由にお取りください」というのがあって、一部手にとってみると、グロービス・マネジメント・スクールというビジネススクールの案内でした。東京・大阪・名古屋で説明会を開催しているので、MBAが欲しい方はHPより説明会に申し込んでみるのもいいでしょう。(※3)

−第1部−
 第1部は、石坂信也ゴルフダイジェスト・オンライン社長の基調講演「サクセス経営者の”私がキャリアを決断したとき”」です。一言で言うと、石坂氏の成功体験談です。
 「成功した者(企業・国)に学べ」とよく言われますが、問題は何を学び取るかで、例えば石坂社長の顔の長さを学び取ったってしょうがない。社員の採用方法が中途採用だけというのも会社によりけりです。(※4)
 まあ、講演の内容は先述したとおり(有)ジャパンスワーサービスの方にレポートとして載せておきますので、そちらを呼んでご自分でご判断のほどを。(※5)

−第2部−
 第2部はパネルディスカッションということで、日本企業(沖電気)、外資系(GEジャパン)、人材紹介会社(グロービス・マネジメント・バンク)から1人ずつ出てきて、服部光訓日経Bizキャリア編集長が司会ということで、キャリア採用についていろいろと語ってもらいました。
 んで、ぶっちゃけて言うとGEの方(瀬戸まゆ子氏)に反発を覚えました。横文字使いすぎ。コンプライアンス(※6)はかろうじてわかるとして、シックスシグマとかインテグリティーって何よ?
 そんなことを言うと「お前、そんなことも知らないの?」とツッコミを入れられてしまいかねませんが、実は反発を覚えたのはその点だけではなくて、GEの人材育成方法にあるのです。
 GEではGEバリューというやつで(筆者はよく知らない)、均質化したリーダーができていくとのこと。生物学的見地から言わしてもらうと、多様性を欠いていれば環境の変化に対してすべての個体が適応してゆけずに絶滅してしまう可能性がある。
 又、役回りのローテーションが早く(※7)、その弊害としてノウハウが蓄積しない、後任が育たないなどがあると御本人もおっしゃっていました。
 ちなみに、脱落者も当然ながら出てくるわけで、そういう人は斬り捨てる。う〜ん、そのようなことをあっさり言われると救いがないですね〜。
 それから最後に、司会者(服部光訓氏)があわただしくまとめに入りました。
「3人に共通して言えるのは、ミッション・パッション・アクション(※8)で自分の道を切り拓けということで、それがキャリアチェンジの3つの基本。」
 え? そうなの? と思う間もなくパネルディスカッションは終了。よっぽど時間がなかったのでしょう。(※9)

―第3部―
 第3部は小杉俊哉氏(※10)の講演「9つのコンピタンシーで自律キャリアを形成」です。
 小杉氏はこのフォーラムでは一番場慣れしていて、一番プレゼンテーションがうまくて、一番聴衆の心を掴んでいました(※11)。その点ではフォーラムのトリを務めるに相応しいと言えるでしょう。
 尚、小杉氏は最初、「レジュメを50枚くらい作ってきてしまいまして、時間通りに終わりません。いいですか?」と聴衆に問いかけ、講演の最後の方では後方の事務方の顔色をうかがって、「まだ(講演を続けても)大丈夫ですか?」と訊いてくる始末。
 なるほど、言いたいことが山ほどあるんですね。というわけで、山ほどある「言いたいこと」は(有)ジャパンスワーサービスのレポートに記載させていただきます。
 しかしそれじゃあつまらないので、話のついでに出てきたちょっといい話を一つ。

 ソリが合わない上司と争わない方法
(1)上司にはわからない専門用語を使う(※12)。
(2)他の事で自分を忙しくして、「今忙しいので」と言って逃げる。
  どうです? 役に立ちませんか?

おわりに
 フォーラムで貰ってきた資料の大半は、スポンサー企業の広告でした(※13)。しかしここで「ウザい」と口に出してはいけません(心では思っても)。というのは、こういう無料のイベントは、スポンサーあってのもの。スポンサーが宣伝しているおかげで我々は無料で勉強できるわけです。
 ですから、たとえ興味のない広告でも、ちゃんと持って帰って、その上で広告の裏をメモ用紙にしたりしましょう(笑)。

 ところで、このフォーラムの主題である「キャリア」についてですが、副題に「コア人材を目指すビジネスパーソンのキャリアチェンジ戦略を探る」とあるように、このフォーラムで扱ったキャリアというのは、「コア人材を目指すビジネスパーソン」にとってのキャリアなのです。
 ぶっちゃけて言うと、「コア人材を目指」していない人にとってはあんまり関係がないのです。例えばどういう人かといいますと、趣味に生きる人や、職人さん・技術屋さんなどです。どちらかというと営業系の人や、トップを目指す人向きであるといえるでしょう。
 私の場合は前者に近いのであんまり関係ないかもしれないと思うのですが、かと言ってこれに対して耳目を閉ざせば己の識見を狭めますし、折角拝聴してきたんだから、なにがしかを自分の血や肉にしてゆかねば勿体無い。というわけで、役に立てます。事実、先述した「ソリが合わない上司と争わない方法」などは今後自分の役に立つことでしょう。

 それではいずれまた、どこかのセミナーかフォーラムかシンポジウムでお会いしましょう。さようなら。

※1.ビジネスパーソンとは、ぶっちゃけて言うとビジネスマンのことですが、女性もいるぞということで、マンからパーソンに置換されたものと思われます。最近の風潮ですな。
※2.本当に警戒しているんなら、金属探知機を導入したり本人確認したりするはず。まあ、日経新聞がテロの標的になるというのはありそうにないですな。寧ろ産経新聞朝日新聞の方が可能性としては高いと思われる。
※3.まあ、私はMBA(経営者資格)なんて欲しくないですから、行く気は毛頭ありません。
※4.全ての企業にそんなことはできないだろう。
※5.私はあんまり学び取れないと思っている。抽象語が多くて、ともすればきれいごとを言っていると感じたから。
※6.コンプライアンス(compliance)とは、法令順守、の意。金儲けに奔走するあまり不正に手を出すのを戒める概念。
※7.2年で5年の経験をさせよう、とのこと。どひゃー、こりゃ大変だ。
※8.和訳すると、ミッション(mission):使命感、パッション(passion):情熱、アクション(action):行動
※9.手許の腕時計を見ると、確かに終了予定時刻でした。
※10.この人の肩書きがちょっと長いので、ここ注釈の欄に記述。コーポレート・ユニバーシティ・プラットフォーム社長兼慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス大学院政策・メディア研究科助教授。
※11.この人に対する拍手が一番大きかった。
※12.例えば、「金枝篇って帰納法で書かれてますよね」など。ただし、専門用語の習得が必要。
※13.筆者が集計したところ、グロービス・マネジメント・バンク×1、グローバル・タスクフォース×2、ゴルフダイジェスト・オンライン×3、日経BPエキスパート×3、日経Bizキャリア×1(ここまでが広告)、日経キャリアマガジンのコピー(資料)×2、プログラム×1と、広告の割合が76.9%でした。
著・泉獺(H16.8/3)
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