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アンチゆとり教育

H17.2/8 著・泉獺
 ゆとり教育への反省の機運が高まって、学校の授業時間が大幅に増やされることになった。

 国語の専門家が言った。
「最近の若者はきちんとした日本語を話すことができず、活字離れも深刻化している。この問題を解決するためには、もっと国語の授業時間を増やすべきだ。」
 こうして国語の授業時間が増えた。

 数学の専門家が言った。
「子供の数学嫌いが深刻化して、数学的思考のできない子供が増えている。この問題を解決するためには、もっと数学の授業時間を増やすべきだ。」
 こうして数学の授業時間が増えた。

 理科の専門家が言った。
「技術立国ニッポンであり続けるためには、もっと理科の授業時間を増やすべきだ。」
 こうして理科の授業時間が増えた。

 英語の専門家が言った。
「これからは国際化の時代で、日本人はもっと英語を話せるようにならなければ。そのためには、もっと英語の授業時間を増やすべきだ。」
 こうして英語の授業時間が増えた。

 倫理の専門家が言った。
「近頃は大人も若者もモラルハザードを起こして、犯罪が増加している。この問題を解決するためには、もっと道徳の時間を増やすべきだ。」
 こうして道徳の授業時間が増えた。

 金融の専門家が言った。
「竹中平蔵大臣が『貯蓄から投資へ』と提唱しているように、これからは国民全員が投資をする時代であり、投資家教育が重要になる。そのためには、投資教育の授業時間を導入すべきだ。」
 こうして投資の授業時間が新設された。

 こうして授業時間が大幅に増やされ、子供たちは遊ぶ時間も寝る時間もなくなって、首を吊ったりバタバタ倒れて過労死しましたとさ。めでたしめでたし。
(おしまい)
(あとがき)
 こういう子供たちは幸せです。どんな問題も教育で解決しようとする大人たちの期待を、一身に背負っているのですから。おまけに、こんなロクデモナイ社会からさっさとオサラバできて、なんと幸せな人生を送ったことか!

(あとがき2)
 改めて読み直してみると、ヒドイこと書いているね。これを書いた奴はヒトデナシに違いない…って俺のことか。

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