無給社員
H14.5/22(WED) 著・泉獺
あるところに、ケチな社長がいた。その社長は、常々、
「世の中に、優秀で即戦力になって、しかも給料を貰わないで働いてくれる社員はいないものかなあ。」
と言っていた。
周囲の人間は、
(そんなバカな事があるか)
と、肚の中では社長をバカにしていた。
ところがある時、一人の若い男がやってきて、
「給料はいりませんから私を雇ってください。」
と言った。社長は喜んでこの男を社員に採用した。
こうして若い男は給料を1円たりとも貰わず、夜昼の区別なく優秀に働いたので、会社の業績はグングン伸びた。
ところが、会社の業績は伸びるのだが、それに反するかのように、会社の資産は減少していった。
不思議に思った社長は、出掛けるふりをしてオフィスに隠れ、見張ることにした。
すると給料を貰わない社員が、誰もいないのを見計らって、何やらパソコンで操作し始めた。
社長が何だろうと思ってよく見ると、なんと社員は、オンラインバンキングで会社の金をスイス銀行の隠し口座に振り込んでいたのだった。
驚いた社長は思わず「あっ」と言ってしまい、社員に気付かれた。
すると社員はものすごい力で社長を捕まえて、
「バレてしまってはしょうがない。木更津のガケから突き落として殺してやる。」
と言って、社長の車をトランクに押し込めて、木更津へと車を走らせた。
社長は恐ろしさでガタガタ震えていたが、車が信号待ちで停まっている隙にこじ開けて脱出した。
社員は、社長がいなくなったのに気付き、車を降りてものすごい形相で社長を追いかけた。
社長は逃げに逃げて、SMクラブに逃げ込み、SMの女王様から「聖水」を請い取って店の入り口に撒いた。
すると追いかけてきた社員は店の中に入る事が出来ず、罵りながらどこかへ立ち去った。こうして社長は助かった。
それ以来社長はSMクラブに通うようになった。
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