実のならない柿の木
泉獺 H16.11/22
ある人が庭に柿の木を植えておき、実を探しに来たが見つからなかった。そこで、園丁に言った。
「もう三年もの間、この柿の木に実を探しに来ているのに、見つけたためしがない。だから切り倒せ。なぜ、土地をふさがせておくのか。私は早く配当を得たいのに。」
園丁は答えた。
「旦那様、あと五年はこのままにしておいてください。桃栗三年柿八年といって、柿の実が成るのにそれだけ時間がかかるからです。」
「なんというロングタームだ! 八年もの間、ノーリターンなんて!
それなら切り倒して栗の木を植えておけ。柿の収穫は五年後だが、栗なら三年後に収穫できる。」
園丁は泣く泣く柿の木を切り倒して、栗の木を植えた。園丁はその柿の木を育ててきたので、愛着を持っていたからである。
(おわり)
元ネタ:ルカ福音書 12.6-9 「実のならないいちじくの木」のたとえ
【戻る】