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神社から商人を追い出す

泉獺 H16.1/7
 神社の例大祭が近づいてきたので、聖者は神社へ参って行かれた。そして、神社の境内で、フランクフルトやタコ焼きや鳩サブレを売っているものたちと、風俗店を構えて客引きをしているものたちを御覧になった。
 聖者は近くの工事現場から角材を持ってきて振りかざし、フランクフルトやタコ焼きをすべて境内から追い出し、風俗店のポン引きを叩きのめし、その店を壊し、鳩サブレを売るものたちに言われた。
「このような物はここから運び出せ。縁日ならばいざ知らず、ケの日に神域で商売をしてはならない。風俗店などもってのほかだ。」
 弟子たちは、「坊主丸儲け」という言葉を思い出した。
 商人たちは聖者に、
「あなたは、こんなことをするからには、どんな権限があるというのか。」
 と言った。
 聖者は答えて言われた。
「お前たちは社人に場所代を払って商売をし、これが一種の既得権益となっている。しかしそれは神様が認められたことではない。神の家を穢れた欲望と利権の場としてはならない。
 ところでわたしの権限について言っておく。この神社を壊してみよ。三日で立て直してみせる。」
 それで商人たちは、
「この神社は、神主の持ち逃げや賽銭泥棒で資金不足に陥り、建てるのに十三年もかかったのに、あなたは三日で立て直すのか。」
 と言った。

 それから数年後、共産主義過激派ゲリラが時限式発火装置を神社に仕掛けて、神社が全焼した。そのとき社人は聖者のことを思い出し、聖者の言ったとおり三日で再建させることにした。どうせできるわけがないとふんで、聖者に恥をかかせようと思ったのである。
 そこで聖者はインターネットの通信販売で小さなお社(やしろ)を注文して三日でそれを設置させた。そして自分は神社を三日で再建してのけたと言われた。たとえ小さくとも、神の家は神の家だからである。
(終わり)

元ネタ:「ヨハネ福音書」2.13-22 神殿から商人を追い出す
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