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稲田の歌

泉獺 H15.10/12
稲荷は歌う、稲荷を祭る者のために
その稲田の愛の歌を。
稲荷の氏子は、肥沃な平野に稲田を持っていた。
よく耕して石を除き、良い苗を植えた。
その真ん中に山田の案山子を立て、水路を掘り
良い稲が実るのを待った。
しかし実ったのはまずいくず米であった。
さあ、日本に住む人、大和の人よ、
どうしてこうなったのか考えてみよ。
お前たちが稲荷のためになすべきことで、
一番大切な感謝を忘れなかったというのか。
稲荷は謝礼を待ったのに、
なぜお祭りしないのか。
稲荷は予祝しようと思ったのに、
なぜお参りさえしないのか。
さあ、お前たちに告げよう。
稲荷がこの稲田をどうするのか。
葉を取り払い、落ちるに任せ
茎を枯らせて、朽ちるに任せ
稲荷はこれを放ったらかす。
穂は実らず、収穫を上げることもなく、
いずれ人手に渡って、もっとマシな人間が耕すようになる。
それまでは凶作よ続け、と稲荷は呪う。
他の神々も協力するよう、稲荷は頼む。
(おわり)

元ネタ:『旧約聖書』「イザヤ書」5.1-7「ぶどう畑の歌」
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