稲荷は歌う、稲荷を祭る者のために その稲田の愛の歌を。 稲荷の氏子は、肥沃な平野に稲田を持っていた。 よく耕して石を除き、良い苗を植えた。 その真ん中に山田の案山子を立て、水路を掘り 良い稲が実るのを待った。 しかし実ったのはまずいくず米であった。 さあ、日本に住む人、大和の人よ、 どうしてこうなったのか考えてみよ。 お前たちが稲荷のためになすべきことで、 一番大切な感謝を忘れなかったというのか。 稲荷は謝礼を待ったのに、 なぜお祭りしないのか。 稲荷は予祝しようと思ったのに、 なぜお参りさえしないのか。 さあ、お前たちに告げよう。 稲荷がこの稲田をどうするのか。 葉を取り払い、落ちるに任せ 茎を枯らせて、朽ちるに任せ 稲荷はこれを放ったらかす。 穂は実らず、収穫を上げることもなく、 いずれ人手に渡って、もっとマシな人間が耕すようになる。 それまでは凶作よ続け、と稲荷は呪う。 他の神々も協力するよう、稲荷は頼む。 |