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バブルの塔

泉獺 H16.10/30
 世界中にお金が大量に余り、世界がその金を株式投資に回していた。東の方の豊かな国の人々は、その株式ブームに乗って浮かれ騒いだ。
 彼らは、
「ハコモノを造り、それで大儲けしよう」
 と話し合った。川を地下に埋設して高速道路を、畑を潰してマンションを建てた。
 彼らは、
「さあ、天まで届く塔を建てて、有名になろう。そして、世界中にこのことを自慢してやろう。金の心配はいらない。銀行も自治体も政府も金を出したがっているのだから」
 と言った。
 神は降ってきて、人の子らが建てている、とんでもなく高い塔を見て、言われた。
「彼らは金持ちの民で、皆まともな金の使い方を知らないから、このようなことをし始めたのだ。これでは、彼らが何を企てても、彼らの間違いを正すことはできない。
 しかし心配はいらない。この塔の建設は手抜き工事で、もうじき壊れるのだから。自分が天罰を下すまでもない。尤も、自分にはそんな力はないが。」
 事実、塔は談合と下請けへの丸投げと悪徳業者の手抜きの産物で、ひどい欠陥だらけであった。
 そのため、台風と地震が襲いかかると、もろくも崩れ去った。こういうわけで、この塔はバブルの塔と呼ばれた。塔の倒壊ですべてが水泡(バブル)に帰したからである。又、その時代はバブル景気と呼ばれていたからでもある。
(おわり)

元ネタ:創世記11.1−9 バベルの塔
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