remove
powerd by nog twitter

あべこべ話(1)

早口で一気呵成に言ってみよう。

 過去を質せば韓の軍勢、そらチョッパリが怒ったぞ。肚の中ではアイゴーアイゴー、頭の上ではウリナラマンセーと逃げまわるを、アイゴーチョッパリウェノム斬り、耳を切らるるやつもあり、鼻をそがるるやつもあり。されども怪我はなかりけり。

 こりゃたまらぬと軍勢ども、そこらあたりの肉片をひろって継ぐほどに、鼻のかけらを股ぐらに継ぐ。男筒のかけらを顔に継ぐ。股ぐらから鼻水を垂らすもあり、顔の先から腎水を垂らすものあり。

 追っかけまわってチョッパリが、三尺あまりの雪の結晶を、あたまのくるぶしで踏み抜いたっけ。これには何が良かろうか、ハテ肉骨粉の反省汁がよかろうと語りける。

 マンセーマンセー万々歳、世界の民族すべからく、称えぬ者こそなかりけれ。


元ネタ:『浮世風呂』前編巻の下に繰り入れられた、弁慶のあべこべ話(『平家』の裏芸)。
参考文献:野村純一『昔話の森』大修館書店

(C)IZUMI_Kawauso
【戻る】