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HUNTERXHUNTERの謎
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ストーリー独談

   その29    
アイコンマサドラへ
 ゴンとキルアがマサドラへ出発する前にしたことは、トレードショップでの地図の購入。行った場所の情報を自分で埋め込んでいくタイプの安いほう。RPGのマップを思わせる印象のこの地図、今いる場所がピコンピコンと点滅している。マップは作者の好むところか。このあとも旅団の居場所など、たびたび登場する。のちのキメラアント編でも、類似タイプのマップが描かれ、おもしろい。

 北へ向かおうとする二人の前に、ビスケがぶりっこキャラで登場する。仲間に入れてください、と懇願するが、キルアはあっさり、
 あーごめん。ムリ。
 二人は女の子には興味がない。

 アントキバにやや遅れてやってきていたのは、幻影旅団のメンバー。シャルナークとシズク、コルトピの三人だった。

 このゲームは仮想世界ではなく、現実世界のどこかで行われている・・・!!
 
 シャルナークはそう看破した。グリードアイランド編最大のトピックがこのシャルのセリフだった。仰天の読者も多かったはずだ。

 一方、先にGI入りした旅団のフィンクスとフェイタンは、キルアにトレースをかけたプレイヤーを難なく始末し、ゲームを楽しんでいる。別行動でマサドラへ向かおうとする。ゴンたちとの遭遇を予感させるような・・・

 山中で哀れな山賊に慈悲を分け与え、岩石地帯で数々のモンスターに遭遇するゴンとキルア。その山賊は後の重要アイテムの伏線になっていたのだが、ここではそんなかけらも見当たらない。モンスターに苦戦する中で、見かねたビスケが再登場し、二人に念の修行をしてあげると言う。実年齢57歳。
 ババアじゃん!!
 キルアの一声。

 三人は無事ではいられない。隙をうかがっていたのは殺人鬼ビノールト。だがビスケはこの殺人鬼を誘い込み、対決する。ビスケの正体に驚くビノールト。決闘はあっさりビスケの圧勝で終わる。

 ビスケは現実派だ。殺人鬼をゴンとキルアの訓練材料とした。二人の攻撃に倒れてしまう程度なら、ビノールトには死。殺人鬼に負けてしまうなら、その時点で二人は生きていないだろう。ビスケのそんな過酷な試練。だがゴンもキルアもこれを楽しむかのように戦いを始める。

 ふとビノールトの脳裏によみがえる過去。貧民街の一人の子供。通りかかった男女。落とした財布。善意が踏みにじられる残虐さ。

 まともに生きたかっただけだ!!

 ビノールトの切実な願い。だが現実は彼を殺人鬼にした。

 貧困はこの作品の大きなテーマだ。幻影旅団もそう、後のシリーズのジャイロもそう。そのような特殊さはこの日本では思いもよらない。厳しい悲惨な現実があり得ることを作者は懸命に訴えている。いつの時代にも不幸は存在するものだ。

 さて、才能あふれるゴンとキルアに圧倒され、ビノールトは観念する。しかしゴンはそんなビノールトにぺこりと頭を下げた。
 ビノールトさんありがとう!!おかげでオレ達すごく上達しました!!

 ビスケはその心に感心しながら、あやうくもあるんだわね、と見つめている。それは誰もがゴンに持つ印象。それだからこそゴンなのだろう。





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