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作品No.53  ファンタジー

【作品紹介】少年時代のシュート。彼が見た物は…

"ストーリー大賞出品"  『シュートの怪談』

少年「なあシュート、旧校舎に幽霊が出るって本当らしいぞ」
髪の長い少年「そんなのどうせ嘘に決まってるさ」
少女「とか言いながらも、足震えてるわよ」

俺の名はシュート・マクホン。
夢はハンターになることだ。
…が、俺ってやつはつくづく弱気でチャンスに弱い…。

少年「よし、今日の夜、俺達三人で旧校舎に肝試しに行こうぜ ! 」
少女「いいわね ! シュートはどうする ? 」
シュート「い、行くさ…(ガタガタ)」
少年「よーし、決定 ! では、今夜集合だ ! 」

約束しちまった…。
なんでこう、俺ってやつは見栄を張るんだか…。

そして、ついに夜が来てしまった !

少年「あ、シュート、何か仮病でも使うかと思ったけど、ちゃんと来たな」
シュート「と、当然だ。俺はハンターを目指してるんだからな…(ブルブル)」
少女「じゃあ、行きましょう」

俺達は旧校舎へ入っていった。
入ってみた感想はみんな同じだった。

「「「とにかく薄気味悪い」」」

少年「…とりあえず、理科室に行ってみるか ? 」
少女「ええ、確か人体模型とかはもう片づけられてるはず…」
シュート「おう…」

その時だった…。

男「オラオラオラアァ ! ! 」
少女「きゃあーーー ! ! 」
少年「うわあーーー ! ! 」
シュート「○×△□×●◎ ! ! (声にならない声)」

俺達が驚いて身を退くと、そいつはそこに止まった。

男「驚かせて悪かったなコラ。ここにうちの犬が迷いこんだんだ。見なかったかコラ ? 」
少女「み、み、見ませんでした ! 」
少年「み、見なかった見なかった ! 」
シュート「∞Ωφ※Φ卍%+-÷ ! ! (またもや声にならない声)」
男「そうか。じゃあな、コラ」

そいつはそう言って再び走っていった。
…心臓が止まるかと思った…いや、魂が消し飛ぶかと思った…。

少女「ま、まさか今のが幽霊じゃないわよね ? 」
少年「あんな幽霊なんていないよ普通…」

二人ともゼーハーと荒い息づかいだ。

シュート「ど、どうするんだ ? これから…」

俺はようやく声を出せた。

少年「そうだな…図書室にでも行こうか」

そして俺達は図書室に着いた。

少女「本はまだあるのね…」
シュート「な、なんでだろうな…」

その時…。

ペラリ…
ペラリ…

本のページをめくるような音がする…。

少女「あ、あの本棚の向こう側よ…」
少年「…こ、ここは…未来のハンターの出番だ ! 行け、シュート ! 」
シュート「うわ、こら…」

少年が俺を突き飛ばす。
そして、俺が見たのは…。

犬「ワン ! 」
シュート「い、犬ぅ ! ! ? ? 」

そう、そこにいたのは紛れもない、犬だった。
犬が床に落ちた本を悪戯してめくっていたのだ。

少年「なんだよ、脅かすなよ犬公…」
少女「これって、さっきの人が探してた犬かしら ? 」
少年「首輪もついてるし…きっとそうだな」

俺達がホッとしたその時…

? ? ? 「…五月蠅い…」
少年「へ、変な声出すなよ…」
少女「あたしじゃないわよ ! 」
シュート「…女の声だったよな…」

そして俺達の目の前に現れたのは…。

? ? ? 「五月蠅い…」
シュート「お、女 ? 」

そう、それは女だった。
妙に体の輪郭が薄いことと、顔が青白いことと、七年前の制服を着ている(うちの学校では七年前に新校舎が建てられると同時に制服のデザインが変わっているのだ)事以外は、普通の女だ…。

女「五月蠅いの…嫌い…」
少女「えええええ、えーと、あ、あの…」
女「嫌いな物…消す…」
少年「にににに、逃げろおぉぉ ! ! 」
シュート「○×△…」
少女「声にならない声は出さなくていいから ! 」

俺達は逃げて逃げて逃げまくった。
そして、ようやく旧校舎から脱出できた。
そして犬は、幽霊を捕まえようと持っていたロープで校門に繋いでおいた。
これで飼い主に見つけられるだろう。
飼い主が生きていれば、だが…。
まあ、そう簡単に死ぬとは思えないし、大丈夫だろう。

そして、俺はUMAハンターになった。
見たことも聞いたこともない生物を探す幻獣ハンターもよかったが、俺は目撃例はあるが科学的に存在が証明されていない生物を探すUMAハンターにした。
UMAハンターとして自身がついたら、またあの旧校舎に行ってみようと思う。
謎の事故が続発し、取り壊し工事が何度も中止になって、今でも残っているらしいから…。



怪奇現象は作り話を除く殆どが、念能力と関係ある。
この場合は、学校で生徒が勉強したり運動したりして消費したオーラが長い間蓄積され、やがて人の形をとるに至ったと思われる。
オーラが独りでに人の形になることは珍しいが、こうしたオーラのたまり場で非念能力者には理解できない怪奇現象が発生することはよくある。
原因不明の事故で船舶や飛行機が行方不明になった魔の海域、バミューダ・トライアングルもその一つかもしれない。
2005年2月05日(土) 13時23分44秒
原稿用紙: 6 枚
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ろってぃー(visit1) さんからのメッセージ

ちょっと長かったてすかね ?
とにかく読んで下さってありがとうございます。
「クルタ族と旅団の戦い」とか、「ポックルが絶命する瞬間の話」とかいろいろ考えましたが、結局「シュートの少年時代の怪奇物」になりました。
こんな話でも感想いただければ幸いです。

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