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作品No.52  現代ノベル

【作品紹介】いつかの戦時中。作戦終了後、激しかった戦火を思い出すレイ。レイが苦戦した相手とは!?

"ストーリー大賞出品"   タイトル『5人目』

                   『5人目』


「レイ、どうした。行くぞ」
「ああ、パークか、分かってる。お前らだけ先に行け」
「作戦終了したんだから早いとこ撤収しようぜ」
「ああ、そうだな‥‥‥」
五年前だったろうか忘れられない日々。その中でもあの日だけは、あの日の‥‥‥

 焼け焦げたアスファルト‥‥‥今にも崩れ落ちそうなビル‥‥‥穴だらけの廃車。そこに“レイ”はPSG1(※)を構えて敵の脳天をぶち抜いていた。
「‥‥‥ちょろいな‥‥‥次。」
 敵は弾痕からの敵の方向を察知するのだが、元々スナイパーは標的を撃破した後、その場をすぐに離れる。そうすれば、位置を知られる事もなく的確に次の的をしとめることができるのだ。
 俺達のチームの射程内に入ることもなく俺は敵を近寄らせないでいた。俺は銃を発砲する時、音を出さずに撃つ事ができる(念能力でだ)。俺はがいるのは少数チームの『ケブラー』(※)というチームにいる。2人がスナイパー。衛生兵、通信兵が2人ずつ。残りが前線だ。
 4人を俺が撃ち殺した後、『5人目』が現れた。俺が『5人目』銃を向け発砲したが、避けられた。レイが出す弾は音も出ない、『5人目』からは絶対に位置すら分からないのに。奴の背中に叩き込もうとしたが。あっさりと避けられた。
 『5人目』は、遮蔽物(しゃへいぶつ)を上手く利用し、俺のチームの仲間が次々と殺られていった。それも位置も分からないはずの俺の方に向かって進んでいって、だ。『5人目』前線の最後の1人をナイフで切り殺し、死体になった体を盾に仲間のスナイパーの銃弾を全て防いでいた。
 元々俺は2つの能力と2つの特技を持っている。その能力を駆使して俺は賭けに出た。
一つ目は銃から出る発砲音を消す事。もう1つは銃の速度を射程内でのみ自由に出来ること。これが俺の念能力
そして、特技が弾丸“2発をほぼ同時”(※)に発砲できる事ともう1つは‥‥‥
 すでに位置がばれているのなら、発砲音を消してもしょうがない。レイは立て続けに2発『5人目』に撃った。一発目はそのままの速度で、2発目は初速を遅く、俺の目視で『5人目』に着弾する前に速くする。
 ギリギリだっただろう。『5人目』の右上腕部に2発目が着弾した。これで、普通は撤退するはずである。肉体のどこかに損傷が見られた場合、それ以上の作戦は不可能になるはずなのだ。
 だが、『5人目』はセオリーどうりにはしなかった。残った左腕で銃を構え、こちらに向けて2発、発砲したのだ。こちらは壁越しになっている。の、筈だったのだが見当違いの方向から銃弾がレイの左肩を撃ち抜いた。レイは敵の援軍が来たのかと思った。『5人目』は壁より向こう。つまり、前方50メートル先にいるはずなのだから。
 あと数メートルで俺達の“テーブル”(※)に入る。そこは地雷地帯になっている為ここから先は俺のフィールドだろう。
 が、その通りにはならなかった。地雷が勝手に爆発していった。眉をひそめながら残った地雷の場所をみいやると、『5人目』がリボルバーで次々と地雷のある場所に打ち込んでいるのだ。唯一、奴を撃てるチャンスがあるとするならば、六発目(※)を撃ち終えたあと。こちらが姿を見せても2発同時に打ち込めば、絶対にヒットさせる自信があった。
 チャンスだ。出る。撃つ‥‥‥!?
 『5人目』は六発撃ったはずだ。なぜか七発目が出てきた。何とか七発目を寸前で避ける事ができた。不覚をとったがこれで確信ができた。奴も念能力者だ。

ここからは射程距離20m以内の至近距離での戦闘になる。俺にとっては不利になる距離だろう。だが、あそこに行けば、あるいは‥‥‥
 レイが何とか『5人目』の弾丸をかいくぐりビルの集まる地域まで逃げ込む事ができた。だが、相変わらず『5人目』との距離は20mを保ったままだ。
 しかしここが俺にとっての本当の駆け引きだ。さっきいた場所は視界が広く、狙撃するには絶好のポイントだが、いかんせん隠れる場所が少ない。だがここはビルの群れが視界を遮り、今にも落ちてきそうな瓦礫が危険なので、今ここでの場所の戦闘は危険極まりないのだ。1人でも瓦礫の被害に遭う可能性があるというのに、そこに一個小隊がくれば被害は計り知れない。全滅の虞もあるのだ。だが、今の状況では俺のフィールドになっている。敵は1人、味方は‥‥‥銃声が聞こえてこないので、みんな殺られてしまっただろう。だが、予測不可能と思われる瓦礫の被害。全てが俺の有利な環境となっている。
 18m‥‥‥16‥‥‥13‥‥‥いまだ!ベストポジション!最高の距離!
レイが今にも崩れそうなビルに向かい2発打ち込んだ。思惑どうり、銃弾がビルの上部にあたり、崩れ落ちた。瓦礫と化したビルは『5人目』に向かい、崩れ去っていった。その異常事態に気づいた『5人目』は瓦礫から身をかわすと3発こちらに向かって撃ち込んできた。
 これも計算の内。奴が撃った弾丸は致命傷になるようなモノではない。崩れて来ている瓦礫にもう二発。綺麗な線を描き、瓦礫にはじかれ‥‥‥いや、わざと弾き『5人目』に向かって放たれる。間違いなくヒットした。『5人目』の左肩甲骨あたりだろうか、そのまま『5人目』が撃ったままの姿勢でいたら間違いなく脳天にヒットしていたのに。奴は鋭い勘、洗練された動き、『5人目』は人間の動きをはるかに超越していた。
 だが、『5人目』の動きはさっきと違い、こちらの位置を探る様子をしていた。先ほどの奇襲でレイの位置がわかっていないようだ。しかし、敵意だけは満々で、まだ、撤退の様子を見せようとしなかった。
 結果は引き分け。
 先ほどの兆弾で“弾切れ”(※)。これ以上の戦闘は無理だったのだ。そうでなくても右膝、右鎖骨、左わき腹にもろ念弾を受け、身動きが取れる状態ではなかったので、弾丸があったとしても仕留めることができたかどうかと言ったところだ。次に遇ったとしても仕留める自信はなかった‥‥‥

 基地に戻ったレイとパークは雑談しながら(といってもパークが喋っているだけだが)バーのカウンターでコーヒーをすすっていた。
「おーい、どうしたんだよレイ。さっきからうかない顔してよ。」
「ん?‥‥‥いや、昔の事を思い出してな。あの『5人目』が忘れられなくて、ぜひとも仲間にしたいものだよ。」
「ああ、いつも口にしている話の奴か。一度お目にかかりたいもんだぜ。一流スナイパーのお前さんが言うならすごいんだろうからな。あ、そういえばこの前、俺のオヤジも似た様な昔話をしてたぜ。」
「それはいつの頃の話だ?」
「ん〜、たしか、五年前だとかどうとか‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥」
「ん?どうしたよ」
「いや、なんでもない。この世界は狭いなと思っただけだ。」
 レイは少しにがい顔をしてコーヒーをすすった。
「コーヒーそんなに苦いか?」
「そうだな、少し苦いよ。」





まず、気になる人もいるかもしれませんので、(※)について
PSG1(※)‥‥‥‥‥‥‥‥‥通称・H&K PSG1スナイパーライフル。セミオート式の狙撃銃では世界最高峰の性能(と値段)でしょう。自動式銃の難点である構造の複雑化による命中精度の低下を、精度の高い部品のみを使用することで補っている。つまり、すごい命中精度のライフルの事ダヨ☆
『ケブラー』(※)‥‥‥‥‥‥‥これは、防弾素材のケブラー線維からとっている、組織の名前。この組織はフィクションなので実際にこんな組織はあったりしない▼
“2発をほぼ同時”(※)‥‥‥‥PSG1はセミオートも可能なスナイパーライフルなので2発ほぼ同時に撃てるが、レイはその2発を全く同じ所に撃つことができる事を“2発をほぼ同時”と表現しているんだよ。□
“テーブル”(※)‥‥‥‥‥‥‥ここでのテーブルとは自分にとって非常に有利な地形を表している。
六発目(※)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥『5人目』が使用しているリボルバーは通称S&W M586 ディスティング・イッシュド・コンバット357マグナム 6インチ。と呼ばれるもので世の中で一番出回っている拳銃。5発式のリボルバーもあったりするが、ここで出てくるのは6発式のリボルバー。装弾数が6発しかない
“弾切れ”(※)‥‥‥‥‥‥‥‥‥レイが使用しているPSG1のマガジンは装弾数20発のもの。普段は弾切れになる前に全ての敵を葬り去っていたのだが、『5人目』が相手では20発でもたりなかったようだ◆

2005年2月03日(木) 02時44分59秒
原稿用紙: 11 枚
<UQ0A VHKs>

念吉(visit7) さんからのメッセージ

 え〜、取り敢えず、長い文とセリフの少なさに謝ります。ご免なさい。

 きっと、これを読んだ後は目がチカチカするでしょう。僕も書いててチカチカしましたw
この作品は、某小説を結構パクらせていただいたものです。だって好きなんだもん☆
元ネタが解っても僕を責めたりしないで下さい。そこは平に〜平に〜。よろしくお願いします。

 この作品で書いたものは、ほぼ1対1(タイマン)でしたからそれほど難しく考える事もなかったのですが、ホントの戦争は怖い。と、思います。実際行った事ないもので適当で申し訳ない。
 知り合いに目を通してもらってみると、「なにこれ、解りにくいよ」などと言われてしまい、正直イジケてました。

 回想シーンと現在、区別がつきにくいんだよなぁ。ちなみに、基地に戻ったレイとパークは〜〜から現在になるわけで、非常に解りにくいかと。きっと何度か読んでやっと解るかもしれない読解術が必要になる作品だろう。(ただ僕が、表現するのが下手なだけ)
 実際、行動的な描写がほとんどで、セリフなんて最初と最後のみだから文字で伝えるのは難しいかな、と、思ったんですがどうしても書きたかったので書かせていただいた作品です。
まぁ、不安な要素を出したらキリがないと言った感じで。悪いところがあればゼヒ、叩いて、叩いて、叩きのめしてやってください。(それでもやっぱりオブラートに包んでね☆)

■付加情報

叩き歓迎 キャラが不安 勝負作