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作品No.59  児童(メルヘン)

【作品紹介】王様と家来の絆をテーマにしようと思って書いてみた作品です。

"ストーリー大賞出品" 『王様と家来』

ある国に王様がいました。
王様は心優しい性格の持ち主でありましたが、その反面、すこしわがままな性格でもありました。
ある日王様は家来たちの前で言いました。
「私は最強の部下がほしい。常に私のことを守ってくれる強い部下を側近に置きたい。」
するとひとりの部下が言いました。
「それならば、私のような念能力者がよいでしょう。パンチ力も人一倍、打たれ強さも人一倍であります。しかも念能力者は普通の人と違い特別な力の持ち主であります。私の能力をお披露目いたしましょうか?」
そこで王様は言いました。
「うむ。念能力者か。この国ではそういないしなぁ。いいことを思いついたぞ。」
「なんでしょう?」家来が聞き返すと、王様は上機嫌で言いました。
「今から10日後、念能力者を集めて能力披露会を行なう。私はその能力を見て気に入ったものを側近として迎えることにしよう。私に忠誠を尽くすものなら、一般市民の参加も許可しよう。いろいろな能力者を見ることができる。楽しみだ。」
ザワザワ お城の内部はざわめきました。
そして早速次の日、チラシが国中に配られました。
内容は次の通りでした。

念能力者のみなさん。あなたの能力を披露して王様の側近になりませんか?
10日後能力披露会を行ないます。能力が王様に認められた人は王様の側近になれます。
[参加資格]
1、念能力者であること
2、王様に忠誠を誓うこと
[応募方法]
○△■▽◎◆・・・・まで応募用紙を提出せよ。
応募用紙は切り取って応募のこと。
--------------------------------------------------------------------------------
<応募用紙>
氏名
住所
年齢
参加理由
アピールポイント
etc・・・

応募者は殺到し、50名ほどの人が披露会に参加することになりました。
「まさか50名もこの国に念能力者がいるとは・・・」と家来の一人が言いました。
「たしかに驚いたねぇ・・・誰が側近に選ばれるのだろう。」また別の家来が言いました。
そしてついに能力披露会が開催される時間となりました。
もちろん最初に念能力披露を提案した部下も50名の中にいました。
そして彼が1番最初の発表者でした。彼はこの大会について王様に意見していました。
「王様、この大会で能力を披露した人を側近に選ぶのですよね?」
「ああ、そのつもりだが、どうかしたのか?」
「王様、念能力者の中には自分の能力を他人に見せたくないものもいます。現に私もその中の一人です。披露は別室で1人ずつ個別に行なってはどうでしょうか?選ばれた人と相性の良い能力者が逆恨みから暗殺を目論もうとすることも考えられないでしょうか?」
「うむ・・・なるほど・・・」
すると一人の家来が言いました。
「駄目です!」
間髪いれず王様は言いました。
「人に見られて誰かに負けてしまうような能力者は側近には選ばない。そんな能力者はいらない!」
と。結局この一言により厳重な警備の中、皆の前で披露会は行なわれることとなりました。
ついに披露会が始まりました。
一人目は最初に能力を披露するといった家来でした。
「私の能力!念の剣(オーラブレード)!」
オーラを剣の形に具現化する能力でした。
家来の能力は人に見せたくないと言うほどの能力ではありませんでした。
王様は内心落胆していました。自分で能力を見せると言っていたのにこの様かと・・・
続いてぞくぞくと能力の披露は行なわれました。
オーラを炎に変える者、鷲を操る者、拳で岩を砕く者、たくさんの能力者の披露は行なわれました。
しかし、王様の顔は能力の披露が進んでいくと共に曇ってゆきました。
そしてとうとうピンと来る能力者がいないまま、50人目を迎えました。
そしてそこで事件は起こりました。
「俺の能力、伸縮槍(エラスティック・スピアー)!!!」
具現化された槍はぐんぐんと伸びてゆき、王様に向かっていきました。
突然の出来事に能力者の誰もが動くことができませんでした。
その時、
「危ない!!!」
一人の家来が王様の前に立ちはだかりました。
グサッ
槍は家来に刺さり、消えました。
ほかの能力者はあわてて、槍使いを取り押さえました。
槍使いは刑務所に入れられました。
刺された家来は、以前に「駄目です!」と個別披露を反対した家来でした。
名をトリノといいました。
トリノは念能力者ではなかったため、意識不明の重体でした。急いで病院に運ばれ、緊急手術が行なわれ、なんとか命を取り留めました。
王様は思い出しました。大会が開かれることになったときのトリノとのやり取りを・・・
「王様、一般市民からも参加者を募るなんて危険です!」
「どうしたのだ?トリノ?」
「王様を狙っている者も国の中にはいるのですよ?危険です。大会は中止しましょう!」
「そんなに心配するな。私に忠誠を誓う者が数多く参加するのだ。守ってくれる者のほうが多いだろう。」
「しかし・・・」
「大丈夫だ。お前も側にいるのだろう?いざとなったら守ってくれよ。」
トリノはこの事態をすでに予測していました。そして王様を守りました。
王様はショックでした。自分が大会を開くといったばかりにトリノは大怪我を・・・
トリノがこんなに王様を心配するのには理由がありました。
トリノは幼くして両親を亡くしました。しかし、王様はトリノを家来にしてトリノの面倒を見てくれたのです。心優しい王様にトリノはいつも感謝していました。トリノはいつか王様に恩返ししたいといつも言っていました。

数日がたちました・・・
王様は重大な発表を行ないました。
「私は間違っていた。私に忠誠を尽くし守ってくれる、強い部下は念能力者などではなかった。私は念能力者を側近に置くことはやめる。これを法律に追加する。『念能力者は側近になることを禁ずる』側近はトリノしかいない。彼が退院したら温かく迎えるつもりだ。」
国民は感動した。王様万歳の声が国中にこだました。
念の剣(オーラブレード)の家来は格下げになりました。

またまた数日がたちました・・・
トリノは懸命なリハビリの甲斐あって、無事退院することができました。
トリノは怪我を完治させ無事城に戻ってきました。
トリノは寝込んでいたため王様の発表を聞いてはいませんでしたが、見舞いに来てくれた家来から側近就任の話は聞いていました。
そしてトリノが城に着くと同時に側近就任式が行なわれました。
王様は言いました。
「トリノ、ありがとう。よく戻ってきてくれた。是非私の側近となってくれ。」
トリノは言いました。
「王様、ありがたきお言葉。涙が出るほど嬉しいです。ところで王様に見てほしいものがあります。」
「なんだ?」王様はトリノを見ました。
「はあぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
トリノの周りをオーラが包み込んでいました。「練」を行なったのです。(トリノは「練」だと分かってやっているわけではありませんが・・・。)
「王様、私は念能力者になったのです。これでよりいっそう王様をお守りすることができます。」
トリノは何でも念による攻撃を喰らったことにより念能力者になってしまったようです。
しかし、この方法があることを国民は知るはずもありません。
王様は今まで見たことも無いような驚き方をして唖然としました。
「え・・・?念能力者・・・?」
「はい」
トリノは満面の笑みで答えました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
城内に沈黙が起こりました。そしてすぐにそれはざわめきへと変わりました。
「念能力者は側近にしないんだろ〜?」
揚げ足を取る者たち。
「トリノはトリノなんだからいいじゃないか!」
トリノを推す者たち。
意見はばらばらになり収束がつきそうにもありませんでした。
王様は決心し言いました。
「トリノ・・・法律は破れない。私が作ったものだから・・・国民に示しがつかないのだ。すまないが前と同じ役職で私を守っていってはくれないか?」
なんと情けない王様でしょう。法律を破れないとは・・・
トリノはほかの家来から王様の発表の内容を詳しく聞き、言いました。
「私は別にかまいません。王様の家来でいられればそれで良いのです。」
トリノの器の大きさ、王様へのまことの忠誠心に国民は皆感心しましたとさ。
めでたしめでたし。
2005年2月07日(月) 01時25分10秒
原稿用紙: 11 枚
<y.YQ Ogbc>

きっく(visit3) さんからのメッセージ

ストーリー大賞。話が思いつかず、出るのを諦めようと考えていました。
でもふとこの話が思いつきました。構想はお風呂に入っていたとき、10分くらいでできましたが、書くのが大変でした。時間がかなりかかり、文章も自分が書いたのとは思えないぐらい長いものになりました。
一応力作・・・です。
今はレポートが終わった後の達成感に似た感覚です。
ジャンル迷いました。最初は昔話みたく仕上げたかったので、違う気もしますが、児童にしました。要約するとそんな難しい話ではないので。
長すぎて飽きないかと心配ですが、是非読んでください。お願いします。

■付加情報

構成が不安 勝負作