ネタバレ(陰謀編) −ヒラガ・ゲン9さん ネタバレ(陰謀編) 二三十分が過ぎただろうか。 女が画面から目を離した瞬間を僕は見逃さなかった。見上げた時のその笑顔。待ち合わせて待ち焦がれていた相手、ほんとうに信頼する相手を見る表情だ。 間違いない!視線の先は… 僕はその方向を見た。店の入り口。外の明るい光をバックに、やや影絵のように立っていて、大きく駆け寄るように歩き出したその姿。横目で奥さんの様子を見ると、いっそうの笑顔になっていた。いや、噴出しそうだ。僕はそれよりも驚いた。 ムサスィィィイイイ! "なにそれ。" "何って、ムサシだよ。" "でっかいわよ。目立っちゃうじゃない。私なんか疲れるのよ、このサイズでいるの。" …ビスケだぁぁあああ… "僕だって針なしだから2,3時間で元に戻っちゃうよ。" …ィィィイルミィィイイイイ… 驚きの僕などお構いなしに、向かい合ってすわった二人は会話をはじめた。 "内容でも確認しあってたの?" "対談のとこよ。ちょっとあの人、間違ってるのよね。" "巨大石さんに伝えといたら。" "教来石さんでしょ。しゃれにもならないわ。でもあの人危ないのよね。その隕石並よ。こないだも私がウサ子の名前でハン謎のBBSに書き込んだとき、サイトを立ち上げたときの賛同者の奥さんだと思ったとか何とか言っちゃって。ズバリじゃない、それって。" "そう言ってたよね。ちょっとやばかったな。でも教来石さんのサイト重要だからなぁ。" "そうね。訪問者が予想をいっぱい書いてくれるから、こっちはそうならないように書けちゃうもんね。教来石さんにうまく誘導お願いしてるし。" "間を縫うように、という感じだね。" "この前、やばかったわよね。こっちの考えてることそのまま予想している人がいて。ねふぇるとか言ってたかしら。" "原稿見られたかと思ったよ。君の書き込みで撹乱できたみたいだったね。" "あなたもしっかりネット見といてよ。パソコンほこりかぶってるんだから。和月さん並よ。ハン謎、アイデアいっぱいあるんだから。オリ念コーナーなんか宝庫じゃない。" "こっちが教えられちゃうもんな。" "ところでもうすぐ来るわよ、その教来石さん。呼んどいたの。" キョキョキョウルアイスィイイイ! "三者密談と言うわけか。" "休載の申し開きをうまく書いといてもらおうと思ったの。" "パワプロやってるわけじゃないのにな" "セーラームーン完全版の手伝いやってるって言えないものね。" セセスゥエールァァアーーー… 僕は危うく声を出すところだった。手で口を抑え、咳ばらいをしてごまかした。 それにしても…冨樫、教来石がグルだったとは。どうりで名前が似ている。トガシ、キョウライシ…似てないか。 教来石の正体がわかる。それも大収穫だ。もしかして女か。それとも漫画家仲間か。それとも格闘家、それともイルミ、ミルキ…いやもう大混乱。期待と予想が大膨張している。三人まとめて正体を暴いてやる。それは時間の問題だ。間違いない! つづく 次回休載します。 ヒラガ・ゲン9 |