かもっちさんの念妄想ストーリー
- 「何者だ?」
と、ポックルが男の背後から声をかけた。その手にはレインボウが構えられている
「ん、なぜ俺がお前を狙っていることがわかった?」
念で作られた弓で背後から狙われて居るというのに男はさして気にした様子もなく、淡々と喋る。
「お前の剥き出しの殺気が俺を狙っているのは100メートル先からでもわかったぜ」
自分に向けられた明らかな殺気に気がついたポックルは、絶で気配を消し男の背後に音もなく忍び寄ったのである
「ほう、駆け出しとはいえさすが幻獣ハンターってところか。なるほど、臆病なエメラルドラットを捕らえたというのも頷ける」
「それが狙いか」 ポックルが捕まえたエメラルドラットは、かなり臆病で敏感な生物で一キロ先の人間の足音にもびびって逃げる捕獲の難しい生物である。その毛並みの美しさから破格の金額で取引されるが、捕まえれるものはごくわずかなハンターだけである
「自分で捕まえるのは難しいが、あんたが捕らえたのを貰うなら楽で良いからな」
男が無造作に振り返ろうとする。
だがそれより早くポックルの念の矢が男に放たれた。
ぐちゅ
矢が男に刺さったように見えた。だがよく見れば矢が男に刺さるすんでのところで止まっている
「念の矢か面白いな、だが俺の念を貫くには少々力不足だったな」
男のオーラに刺さった矢がどろりと溶けた
だが男が能書きを垂れている間にポックルは男の懐にもぐりこみラッシュをかける
念をこめたパンチで殴る
殴る
殴る
だが、タールのような気持ち悪い感触がして、まるで相手にダメージがいってない
逆に殴れば殴るほど自分の力が奪われていく
「無駄だな、俺の念は柔らかに相手の攻撃を受け止め、そして念の力を吸収する」
男がにやりと笑みを浮かべる。まずいと感じたポックルが後ろに下がろうとする
ぐちゃぐちゃ
と足に絡みつく嫌な感触。どうやら男のねっとりしたオーラが足元に広がっていたようだ
「終わりだハンター、俺のオーラに取り込まれてミイラのようになって死ぬんだな」
男のオーラがどろどろとポックルの身体を這い上がっていく、同時に覆われた箇所に力がまったく入らなくなっていく。エネルギーの源たるオーラが奪われていってるのだ
だが、まだ下半身のみ、ポックルは最後の力を振り絞って緑色の矢を放つ
最速の橙色の矢と比べるとずいぶん遅く、普通の矢と変わらないぐらいの速度でその矢は放たれた。
目の前で構えられたら、この状況なら簡単に回避できるものだったが、男は特にかわそうともせずそのままオーラで受け止めた。
さっきの矢と同じく、矢はどろりと溶けて男に吸収される
「最後の攻撃にしては冴えない一撃だったな、さあもうおしまいだ」
男のねちゃねちゃとしたオーラはもうポックルの腕まで覆っていた。
「ああ、おしまいだな」
この状況で、ポックルは笑みを浮かべていた。
「何だ?その面は・・・うう、なんだ・・か、からだが、うごか・・」
ばたりと男が倒れた。
「残念だったな、緑の矢はオーラーを毒に変えた矢さ。って、聞いてないか」
泡を吹いて倒れた男を見下ろし、ポックルはふうと一息ついた
そこに、一匹のハチが手紙を携えて飛んできた。
内容はNGLを調査せよとのもので、自分たち以外にも五組のハンターたちが参加する大掛かりなものらしい
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