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ニライカナイ 遥かなる根の国

作・岡田芽武 アフタヌーンコミック 全6巻  

 

バカ漫画ではないがあまりにオイシイので紹介。

「影技-シャドウスキル」で有名な作者の作品。

 

宇宙ステーション墜落事故に巻き込まれ唯一の肉親を失った新垣みかみ、

政府にも事実を隠蔽された彼女は「探求者」に真相の探求を依頼する。

日本語48音を武器として戦う音使い・探求者「皇 言霊スメラギ ホツマ」と

その助手にして古流殺人拳法の使い手の少女「柊 乱空ヒイラギ ランクウ

 

邪悪な神すら欲する神無き国、米国CIAのエージェントや

神々によって生きてきた日本、全てのカギを秘める沖縄などの思惑が行き交う中

人の心に宿り、襲い来る圧倒的な破壊力を持つ邪悪な存在「禍神」。

 

古代琉球王国での邪悪なる「神」を滅ぼした為、闘い続ける呪いを受けた王子と、

邪悪なる物を封印された日本ならざる地・楽土ニライカナイ。

 

そして物語は邪悪なる神と人間の尊厳を賭けた闘いへと進んでいく。

 

 

あ〜ダメだ!ストーリーの情報量と展開が凄過ぎて

簡潔に説明なんざ出来ん!

ファンやら興味を持った人はオフィシャルやらを見れ。

ここではオイシイポイントばかりを紹介して行こう。

 

ウチナーグチ!

沖縄語・沖縄古来の方言であるが、全ての原点は沖縄から始まっているので、

敵、味方、ナレーション等々セリフの半分くらいはウチナーグチ!

日本語であって日本語でない不思議な響きが病み付き。

標準語にウチナーグチルビが主なので意味が分からない事は無いが、

読みづらくともウチナールビを追ってしまう自分が居る。

タイトルも全てウチナーグチで、

「ガラサー」(鴉) 「ニグラルクンドゥ」(憤怒) 「マブイ」(魂)「カンヌバティ」(神罰)などの

完全に独特な単語は日常生活でも多用したい。

全然違う言葉のように見えるが、読んでいると実は極めて音便に特化した言葉だと分かる。

長文で文法を理解し、「涙そうそう」のウチナーグチVerをそらんじられるようになったら

友人には怪訝な顔をされ、一般人との溝が深まる事間違いナシ!(良いのか?)

 

言霊のパゥワ!

日本語48の言葉の力で人間はおろか、神や自然現象まで操り、

禍神すら48の音に分解して消滅させる音の力。

結界張ったり、記憶操作なんかお手の物。時には自分自身を物理的に透過させたり、

季節外れに桜を咲かせたり、神の召喚から歴史操作までなんでも出来るゼ!

 

 

神々vs人類

普通に神様が比喩でなく登場する。

敵である、人の心に宿るクトゥルフチックな凶悪強大な存在「禍神」にはじまり、

人類も土着の神々の力を借りて戦う。

スサノオやアマテラス、不動明王、太陽神などが物理的に顕現!

だが人の尊厳をかけて闘う人類も凄い。

空を仰ぐような巨体、ビームを放ち、モニター越しに見ただけで死ぬような凶悪存在に対し、

生身の体術だけで戦う主人公。

他にもビームを槍でなぎ払う父ちゃんや、符術使いのお兄さん。

P90の弾丸一発一発に悪霊を込めた珍ガンに、

事前に災害を起こしておき、その被害者の幽霊を物理兵器にする殺し屋などなど、

大仰にしてスットコな能力者が山盛り!

 

漢字遊び

言葉がテーマのひとつだけあって、以降の岡田作品にも見れる同じ音で2つの漢字を当てる表現が痺れる。

激神(震)降(攻)臨   剛(業)拳

言葉(光透波)    麗(霊)姿

神(真)罰   進(神)化

などなど、氏の大胆な構図と相まってイカし過ぎてる効果を生み出している。

 

小ネタ

氏独特の道を説くようなカッコイイ語りのフリをしたギャグがチラホラ。

真面目な風を装って下らないネタが多く小さな笑いも逃さない。

 

 

あまりに壮大かつオイシ過ぎる作品なので、やっぱり解説しきれない。

無理矢理とか尻すぼみとか言う人もいるかもしれないが、

ひたすら話をデカくした割には上手い事原点に帰結した感じで俺はキレイに完結してると思う。

氏のダイナミックでケレンに満ちた魅力を

最大限まで引き出していると思うので是非とも見て欲しい。

 

この作品やらNHKドラマ「ちゅらさん」などで沖縄がかなり注目されているが、

俺もかなり憧れのような物を感じている。行った事無いんだよ。

あぁ〜全てをうっちゃって沖縄に行きたいさぁ〜。

 

 

 

ところで同氏が描いている聖闘士☆星矢外伝、「聖闘士星矢ジェネレーションG」も

ニライカナイで培ったこの良いノリを活かしたまま本編で語られなかった部分を補っている快作である。

車田正美氏と岡田芽武氏、よくよく考えれば

「人類が秘めたブッ飛んだ破壊力」

「独自の効果を勝手に生み出す」

「濃い画風」等々

似てるっちゃ似てるかもな。

 

 

 

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