幼年誌研究〜コロコロ&ボンボン
コロコロコミック…小学館 毎月15日発売
コミックボンボン…講談社 毎月15日発売
コロコロ、ボンボンなんかの園児〜小学校中学年くらいまをターゲットにした雑誌を「幼年誌」などと言ったりするが、
自分はバカマンガを語る上で幼年誌は避けられない大きな要素を持っていると感じる。
今日はそこら辺を大きな視点、近い視点など様々な点から考えてみたい。
男子なら誰もがどっちかは読んでいた事があるだろうが、
まずは基本に戻ってどんな特徴があるのか考えてみる
コロコロコミック…ミニ四駆、ゾイド、ポケットモンスター、ハイパーヨーヨー、ベイブレードなど
少年達の間のブームをコンスタントに作る雑誌で、それは時に社会現象クラスにすらなる。
オモチャ会社とのタイアップを利用するのが上手く、マンガ、記事ともにオモチャを全面に押し出す誌風がウリ。
また古来より野球、サッカー、ドッヂボールなどスポーツ畑の開拓にも余念が無い。
友好メーカーは任天堂、タミヤ、バンダイ、トミーなどなど。
言葉は悪いが誌風は「食べ捨て」。
コミックボンボン…ガンダムを前面に押し出したガンダムファン育成雑誌。
その時やっているガンダム、SD、プラモネタなどガンダム一本柱で成り立たせている。
ガンダムは普遍的素材なのでネタに尽きる事は無いが、その他のサブ作品にあまり恵まれず、
ガンダム以外は基本的にマイナー路線をツッ走る傾向にある。
友好メーカーはバンダイ、タカラ、コナミ、任天堂など。
言葉は悪いが誌風は「食いつなぎ」
トイマンガに見る誌風
コロコロ…特徴でも言ったが、コンスタントなトイマンガのヒットはコロコロのお家芸である。
ミニ四駆、バーコードバトラー、ポケモン、ヨーヨー、ベイブレードなどは全てコロコロの企業戦略の賜物である。
そしてソレらのマンガは大概パターンが決まっていて、そのトイで遊ぶ主人公がライバルと戦っていき成長していく現代バトル物がメイン。
そして終盤はなぜかトイで世界征服を目論む悪の組織が出て来るのが定番である。
奴らは一体何を考えているのであろうか?
だが尻すぼみになりがちなこのスタイルであるが、マンガ単体として熱い作品は多く、
バーコードファイター、超速スピナー、デュエルマスターズなどは個人的に推したい所である。
ボンボン…こちらも先に言ったがガンダムがメインの柱である。
その時のガンダムマンガ、その時展開してるSDガンダムのシリーズ、そしてガンダムプラモのモデラーバトルのマンガなど、
ガンダムのみでも多数の作品が同時に存在したりする傾向にある。
特にSDはカード、プラモのみだったりするのでストーリーは重要な販促であり資料である。
また前述のモデラーマンガは「プラモ京四郎」を全ての始祖としガンプラブームを生み出したと言う強みがある。
そして、問題はソレ以外のトイマンガなのだが、コロコロと打って変わりこっちはあまりメインに押し出さない。
大概はどっち付かずのマンガになるが、タマにタイアップを良い意味で無視して暴走し面白くなる例も稀にある。
ゲームマンガに見る比較
コロコロ…コンスタントにあるポケモンの他、ソニー系のアクションのギャグマンガ化が多い。割と原作に忠実な方向性。
あとはロックマンがエグゼ以降はボンボンよりコロコロを舞台にする。
ボンボン…ロックマンが無印からXまではボンボンだった。中でも通好みの作家有賀ヒトシのロックマン短編は秀逸無比。
またゴエモンとは長い付き合いであり、イメージに反しマリオは古来よりコンスタントにボンボンであった。
そしてボンボンにしてはガンダムに告ぐヒットとなったメダロットの存在も忘れてはならない。
ゲームは基本的にボンボンに歩があるが、ボンボンのウリの原作無視が炸裂しやすいのもゲームジャンルは多い。
以前も紹介したが子供ベルセルクの「デビルチルドレン」、
エイケンを越える奇怪巨乳マンガ「ロボットポンコッツ」、
メカだけ気合入まくりで子供置き去りの「メダロッターりんたろう」なんかは好例だろう。
また一大ブームになったストUは両誌で連載していたがコロコロのギャグは橋口隆志(超速スピナー)で、
ボンボンの原作無視シリアス格闘が馬場康誌(リザードキング)ってのはどういう事だ?(笑)
ゲーマーマンガ比較
コロコロ…ゲーマーマンガの始祖、「ゲームセンターあらし」は実はコロコロ発なのである。
そしてそのインパクトを上回る珍作「ファミコンロッキー」を有するコロコロはかなり強力だ。
その他には「電脳ボーイ」などある
ボンボン…知名度こそ劣る物の、「ファミコン探偵団」、「ロックンゲームボーイ」を有する破壊力は侮れない。
また格闘ゲームメインで普通にスクリューパイルドライバー短縮コマンドを子供に教え込まんとする「ゲームウルフ隼人」や「ファミ拳リュウ」など
地味に破壊力がデカい物が多い。
その他ジャンルやオリジナルマンガの比較
コロコロ…コロコロはスポーツの取り入れも積極的。
代表的な物だとドッジ弾平などか。あとは地味にキッカーズもコロコロか? 個人的にはK−1ブームの時の「K−1ダイナマイト」は良作だった。
またオリジナルだったらレトロな者には熱血青春マンガ「あまいぞ!男吾」が印象的。
マンガ通には伝説的作品「電人ファウスト」や、トイ+アニメタイアップながらも逆にアニメのベースとなり、
アニメ派、トイ派と別の原作派まで生み出す程の快作「機獣新戦記ZOIDS」の上山兄弟を有する(ていた)のは強い。
ボンボン…他ジャンルについてはボンボンはコロコロなんかと被らないようにする為、よくマイナー路線に行き勝ちである。
料理、マジックなどなどその迷走ップリは逆に爽快。
しかし大ヒットはしない物の「oh!myコンブ」など当時を生きた少年に多大なインパクトを残す物は多い。
また完全オリジナルで好き勝手するのはボンボンのお家芸だろう。
明らかに低年齢層無視の「王ドロボウ ジン」が元々ボンボンでやっていたという事が自体が考えがたいw
幼年誌のコーナーで同人誌紹介コーナー作るってなんじゃい(笑)
また、オリジナルはギャグも秀逸。比較的近年になるが「おきらく忍者ハンゾー」「海の大陸NOA」なんかは
バカマンガフリークが見てもニヤリとさせられる一品。
コロコロよりも単行本の出荷率が少なかったり、時に出なかったりすると言う事情があり、よりマニア的かもしれない。
勝手な近年批評
コロコロ…最近個人的注目株はまずデュエルマスターズ。悪の組織2が出てダレそうになるも熱い展開は変わらず安心。
あとはまるでボンボンのマンガのごとくヒロインを撲殺しかけた「僕らの太陽」は改めて読み直したいかも。
今やってるゾイドモデラーマンガは正直微妙〜。
個人的には99年頃のデュエマス初期、超速スピナー、スーパービーダマン、K−1ダイナマイトが全部載ってた頃が最強過ぎ。
ボンボン…メダロットを失ってからの迷走ップリはガンダムの再燃で一段落したようで、今は程よくヌルい作品が育ってきている。
MMRの石垣ゆうきによるマジックマンガ「マジシャン探偵A」がメイン株。
幼年誌なのに人がバスバス死んで、かつ月刊誌なのに次回に話を引っ張るのはどうか?(笑)
またボンボン得意の料理マンガ「LaLaLaクッキンガー」は主人公がバトルスーツを着込みつつ(スーツにさして凄い効果は無い)
料理をするのだが、ここ数ヶ月テーマがトマトのみとは如何に!?
またトイは超絶不発に終わりそうな物のマンガの無法っぷりが気持ちいい「棋神伝バトルコマンダー」は注目。
将棋+ロボなトイ&バトルマンガなのだが、ロボ戦の各所に「やぐら」だの「〜構え」だの将棋用語が出て来るも、
ロボの長距離砲や合体必殺技でゴリ押すズルさが堪らない。
現状のボンボンは’00前後の「月刊少年アフタヌーン」的はカオシック感を取り戻しつつあるのでB級マニアはチェック。
結局のところ
比べてみるのが今回の主題であったが、何故自分がこれほど幼年誌に注目するのかというとその荒唐無稽さにある。
幼年誌マンガは常識も理屈も要らないのである。
勝負で負けたら死ぬ。
電車が谷へ落ちそうになったのを時速1000キロまで加速して飛び越えた。
主人公が熱血したのでトイでスタジアムを粉砕した。
主人公は見識を広めるため中学生ながら教師になった。
などなどギャグは面白ければよく、トイマンガはトイがカッコよく宣伝されつつ話が熱くなればいいだけで、
それ以外の要素は誰が死のうが生きようが関係なく、物理法則の無視も理由を必要としたりしないし、
現実社会が舞台だとしてもでも常識、法律などは全く無用、意味無く世界征服を目論んでもなんら問題ない。
この必要な要素のために普段障害となるものをアッサリ除去できるシンプルさ、
デュエルマスターズから引用すれば
「子供ながらの純粋さと残酷さ」のような物における独自の世界観とカタルシスが
幼年誌マンガの強さであり、俺を惹きつけて止まない物だと思う。
もし見てない諸兄がいるのならば、
恥ずかしがらず一度書店で手にとって見て欲しい。
そこにはあまりにアバンギャルドな世界があなたを待ち受けているはずだ。