目は見えるのに見えなくなって。
耳も聞こえるのに聞こえなくなって。
頭の中が真っ白になって何も考えられなくなる。
ただ感じられるのは、甘い吐息と苦い口紅。
こぼれた唾液が始めを告げる。
「…ママに欲情するなんていけない子。本当はこういうの駄目なのよ?」
長い髪をかき上げながら、たしなめるようにその人は囁く。
自分は微塵もそんなコト感じていないくせに、ボクにはしっかり罪悪感を植えつける。
うん、分かってるよ。
息子がママを欲しがるなんて普通はありえない。
でも、ボク達は血の繋がっていない赤の他人だ。それに…。
「やよいママがイケナイんだよ!? いつも目の前で“誘惑”なんかするからっ」
我が家に5人の先生(ママ)が住むようになって数ヶ月。
その間、ボクは当然の如くママ達の色香にドキドキしていた。
特に目の前にいる三世院やよいは、ママ達の中でも抜きんでて美人な上に抜群のプロポーションを誇っている。
当然その豊満な胸やお尻が体に触れたり、時には下着姿を晒してくれる訳で、それがボクの格好のオカズになっていた。
そしてボクは他のママがいない隙を見計らって、とうとうやよいママを襲ってしまったんだ―――。
「あら、女性ばかりの生活環境って案外だらしないものよ? 部屋は汚いし、下着だけなんてしょっちゅうだし」
「ボクは男として見られてない?」
「フフフ、そうね……息子として見ていたから、年頃のオトコノコだっていう認識を忘れちゃってたかな」
やよいママの言葉は声音こそ優しげだが、その真意は挑発めいてボクを揺り動かす。
正直言って、無理矢理キスされたってのに、その余裕綽々な態度は無いんじゃないだろうか。
…いや、それを言うならボクもどうかしている。
ママを押し倒しておきながら、キス一つでもう固まっているんだから。
「…でも貴方が望むなら、されるがままにしてあげてもいいわよ?」
『貴方が望むなら』? 『してあげてもいい』?
やよいママは自分の立場が分かっているんだろうか。
本当ならここで涙なんか浮かべちゃって『お願い、もう許して…』なんて命乞いするところなのに…ッ!
腹が立つ。
ムカつく。
もう待ったなしでメチャメチャに犯してやる。
「………ッ!」
鼻息も荒く黒のタートルネックを引っ張り上げた。
その下からは、薄紫のブラジャーに包まれたLLサイズのバストと、どうやったらここまでと思う位よく括れたウェストが現れる。
その勢いで、レースの固まりみたいなソレにも手をかけるが上手く外れてくれない。
「あんっ。もうっ、せっかちね……」
やよいママが少し身体を浮かし後ろに手を回すと、ブラはいとも簡単に左右へ開いた。
目の前では、それはもう大きな胸がタプンタプン、とバウンドしている。
こめかみと股間を疼かせながら、ボクはその物体を両手で鷲掴みにする。
「ぅわ…」
思わず声を漏らす。
その触り心地も、弾力も、暖かさも、ビデオや雑誌では体感できないものばかりだ。
掴んでも掴みきれない。
揉んでも揉みきれない。
何もかも想像以上で、興奮だけが空回り。
「そんなのでいいの? ママのオッパイ、吸ってもいいのよ?」
マ・マ・の・オ・ッ・パ・イ。
頬にボォッと火が点るのを感じながらも、平静を装って乳首に口をつけた。
「ハムッ……ン…んくっ…」
口の中一杯にママの柔肌が入り込む。
それはまるで大きな肉まんを口に頬張っているような…ちょっと違う気がする。
とにかく、それほどにママの胸が持つ質量は凄まじく、口の中で舌を動かすのも一苦労という次第だ。
「あっ…んっ……ハァァ!」
それでも舌を懸命に動かすと、やがて周囲とは違った触感を持つ物体にたどり着く。
それまでプルンとした肌とは独立してプチュッとした突起物。
ボクはソレを本能レベルで知っている。
「…っ…ン……んん……ァっ、あぁぁぁ…」
軽く噛んで舌先を駆使してチューチューと吸い付く。
味はしなくても、やよいママの甘い匂いが口の中に広がる。
遠い昔―――記憶に残ってもいない昔に、コレを通してボクは安らぎを得ていた。
…なのに今は、こうする事でやよいママを貪っている。
その上、渇きはいつまで経っても満たされないから性質が悪い。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……」
胸を揉んでも満たされない。
乳房を噛んでも満たされない。
乳を吸っても満たされない。
満たされず、ただ求めるだけ。
「…ン……ハァ……どう、オッパイ美味しい?」
いつの間にかボクを抱きしめていたママが尋ねてくる。
ボクはどうとも言えず、ダンマリを決め込む。
さっきも思ったんだけど、やよいママって自分が襲われているという自覚があるんだろうか?
これじゃあ、まるで本当に―――。
「ンンッ……今度はソコが触りたいのね」
先ほどの考えを打ち消さんとばかりに、手をミニスカートの中へ突っ込む。
滑らかな太股を駆け上った先で、それとは別の滑らかさを持つものを探し当てる。
やよいママの穿いているパンティ。レース地の感触からすると、上のブラジャーとお揃いのやつだ。
「あっ………やぁぁぁん」
手は布地を伝って特定の場所へと動く。
縮れた毛。
熱い湿り気。
ミニスカートから生まれる三角地帯から無防備に見えていた禁断の聖域。
その場所に今、ボクの手は触れている。
「…………」
微妙に感じ取れる凹凸のラインに沿って指の腹で撫で上げる。
グンニョリとした、文字通り何かを秘めているような感触。
それが何なのかは言うまでもない。
「…ッ……ァッ……ハァ…ハァ……」
心なしかママの顔は赤く、声もさっきより艶っぽくなってきた。
「…やよいママ、感じてるの?」
「だって…ッ、貴方がそんなに触るから」
もしかしたら勝機を掴んだかもしれない。
そう思ってパンティの中に手を突っ込んだ。
薄布と柔肌と間にたちこめる蒸れた空気の奥では、アソコが異様な湿り気、いや潤みを帯びている。
茂みを掻き分け、ワレメの縁を人差し指でなぞると、やよいママの身体は目に見えて跳ねた。
「あっ……! 駄目よ、もっと…もっと触ってぇ…」
妖艶さを一っ飛びしたソレは、予想していた泣き顔とは違って嬉しそうだ。
…もっと、こう、しおらしいのを期待していただけに少し幻滅してしまう。
「アハッ…! ハァッ、ハァッ、ァぁん…そこッ、ソコもっと弄って……!」
ワレメの奥に潜り込んでクチャクチャ音を立てると、あからさまに声が大きくなる。
そこからクリトリスと思しきものを摘んでいると、おつゆがどんどん湧き出る。
その未知の体験は確かにボクの股間を熱くさせるけど、そこにボクの欲望を満たすものは存在しない。
だって…やよいママは本当に喜んでる。
息子だと思っていた人間がコンナコトしているのに、嬌声を上げている。
「んっ……くっ…フゥゥゥンっ、ンンッ…」
やよいママはスカートもパンティも脱ぎ捨ててボクの手を受け入れている。
それは最早レイプと呼ばれるような代物ではなく、お互いが合意の上でしている性行為。
ボクが手を動かさずとも、ママは自分でスポットを探し出し、慰めてしまう。
そのママの手がボクの分身に添えられるまで、さして時間はかからなかった。
「…グッ……くぅぅぅっ!」
「…あんッ……ハァァ……」
やよいママのアソコは、ズブズブと音を立ててモノを飲み込む。
その襞、その粘膜の存在を感じただけで即イキそうになる。
けれど、ボクはそこを欠片ほどのプライドを以って踏みとどまった。
ここまで来て、それは…それだけは、余りにも情けなさ過ぎるから。
「…ハァ、ハァ……ぁッ…やよい、ママぁ…!」
「大丈夫よっ、ママが、付いててあげるから…ッ!」
慎重に腰を動かして、ボクはやよいママを突いていた。
ママもボクが童貞である事を考慮してか、刺激を与えないようガッチリと腰を固定してくれている。
そのお陰で、ボクは自分が可能な範囲で快感を得る事が出来た。
「あっ…んッ、…ハァッ、ハァッ……あァん……っ!」
ボクを包み込んでいるママのアソコ。
熱いと言うよりは暖かく、気持ち良さよりも心地良さを与えてくれているソレは、まさに母親の膣内(なか)。
気が付けばボクは、壊れた機械のように何度も何度もママを求めていた。
首筋に手を回し、オッパイを吸いながら、腰だけはガンガンとママのお腹を打ちつける。
「やよいママ…ッ、やよいママぁ…!」
「イヤぁッ…ぁっ、ハァンっ…ハァッ、はぁぁぁっ!」
それでもやよいママはボクを抱きしめ、漏れ出るものの交換を拒まなかった。
激しくなった突きも、痛々しい噛み痕も全てその身で受け止めてくれている。
ボクはそれが申し訳なくて、愛しくて、全部何もかもぶちまけたかった。
生殺しな状況に苛立っていたこと。
認められなくて悔しかったこと。
そして何よりも、本当はママの事が好きだってコト。
…でもそれ以前の問題として、ボクは物理的にぶちまけてしまいそうだった。
「…っ、中に、出しちゃって……! ママが全部…受け止めてあげる……ッ」
背中と両足に感じる手足。
奪い取ると言わんばかりに締め付ける膣口。
けれど、それらはあくまでもきちんと動けるよう、痛くならないように絡みついていた。
ボクはそのお膳立てに感謝して、気を緩ませる。
つまりは、もう進めない所まで自分を押し込み、精を解き放った。
「うゥゥゥ……ッ!! ウッ………ハァ…」
「…アゥン! …ぁん、ハンっ……たくさん、入ってるッ…」
飛ぶような開放感と押しつぶされそうな重圧。
矛盾を内に感じながら、ボクは満たされてゆくのを感じる。
アリガトウ。ゴメンナサイ。
そして、矛盾を内に抱えボクはママの中で眠りについた。
【了】
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