■米韓 食文化批判で犬猿の仲に
「五月三十一日にソウルで行われる開幕セレモニーに『絶対に招待したくない人』ランキングが発表されたんです。第二位がビンラディンで第四位が韓国人の犬食批判を展開しているフランスの女優ブリジット・バルドーさんですよ。ビンラディンをもしのぐ一位はだれだと思います? アポロ・オーノ選手ですよ」
オーノ選手といっても、日本ではもうほとんど忘れ去られた名前だろう。米ソルトレークシティー五輪のスピードスケート・ショートトラック男子千五百メートルで優勝した米国人選手だ。一位でゴールした韓国の金東聖選手を後ろから抜こうとし大げさなジェスチャーで進路妨害をアピール、金選手を失格に追いやった。韓国中が「金メダルを米国に盗まれた」と激怒した。
以来、韓国で「オーノ」とは悪いことの代名詞だ。「オーノのようだ」は「ひきょうだ」。「オーノに遭う」は「計略に巻き込まれ失敗する」を意味する。
米側も負けていない。韓国の反発をあげつらって米NBCテレビの司会者レノ氏が「(金選手が)怒って犬をけとばし食ったかもしれない」とばかにした。このレノ氏が「招待したくないランキング」三位だ。
あの五輪から四カ月−。韓国は予選リーグで米国と同組となり、六月十日の第二戦で激突する。
別の世論調査でも韓国サポーターの反米感情ははっきり表れている。韓国テレビ、ラジオ局など各種メディアの調査では、「米国には何が何でも勝つべきか」との質問に対し「はい」と回答した人は93%に上った。一方、同組のポルトガル、ポーランドに対してはわずかに3%だ。
■日米が対戦なら「日本応援」54%
さらに、日米が戦った場合、米国を応援すると答えた人は5%、逆に日本に回る人は54%と信じがたい結果も出ている。日本にとってはうれしいような調査結果だが、現実は違うらしい。辺編集長は「これは決して対日意識が良くなったのではなく、対米感情がいかに悪いかを表している」と言い切る。
(中略)
■日中韓
日中韓三国がらみで見逃せないのが六月四日だ。
この日、三国は一次リーグの初戦を迎える。まず午後三時半から中国がコスタリカと戦う。その後、日本がベルギーと午後六時からゲームを始める。韓国はこの二ゲームが終了した午後八時半から強豪ポーランドと戦う。日中韓は直接戦うわけではないが、この日程は、選手にプレッシャーを与えている。もし初出場の中国と、まだ出場二回目の共催相手国日本が初戦を勝ってしまったら、韓国の選手やサポーターはどんな気持ちになるのか。「そんなこと考えたくもない」と辺編集長は顔をしかめる。
「韓国は、過去五回もW杯に出ている。サッカーの世界に限って言えば、自分たちは日本や中国と比べ“先進国”だと思い込んでいる。ところが、W杯本戦では一勝も挙げていないんです。だから二チームが勝った後の試合はすさまじいプレッシャーになる」
特に日本が一次リーグを突破して韓国が敗退したらどうなるのか。
辺編集長はややうわずった声でまくしたてる。
「そんなことは韓国人は誰一人考えたくない。そんな事態になったらサッカー関係者は日本語の表現を借りれば“切腹”でしょう。大統領選挙などにも重大な影響があるでしょう」
(以下略)
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