山口県下関市で開かれていた国際捕鯨委員会(IWC)の総会は最終日の24日、前日に否決された米国とロシアの先住民捕鯨をめぐり、妥協案をまとめることができないまま、閉会した。今後両国は、国際捕鯨取締条約に基づき異議申し立てをすることを含め、先住民捕鯨を続ける方策を探る。また、途上国が支払う分担金の軽減が決まった。来年以降、途上国の新加盟を狙った捕鯨容認、反捕鯨双方の多数派工作が激しくなりそうだ。
条約では、IWCの決定に対する加盟国の異議申し立ての権利があり、申し立てた国は決定にしばられない。今回の先住民捕鯨否決に対しても、米ロがこの権利を使うかどうかが注目される。ノルウェーはこの権利を使って、現在もIWCで一時停止している商業捕鯨を続けている。
これまでほぼ一律負担だったIWC運営のための分担金は、各国の経済力を反映して途上国分を先進国が負担する方式に改められた。日本は積極的に加盟を呼びかけており、加盟国が増える可能性がある。
日本が提出した、北西太平洋のイワシクジラと沿岸のミンククジラを各50頭追加する調査捕鯨計画に対して、反捕鯨国は自粛決議を提案していた。だが今回、時間切れで採決されなかった。自粛や中止を求める決議が採択されなかったのは、87年の調査捕鯨開始以来初めて。
今回の総会でも、捕鯨の管理制度は完成せず、反捕鯨側が提案した新たなサンクチュアリ(禁漁区)も否決された。森本稔・日本政府代表は「すぐに大きな変化はないが、日本支持の票が伸びてきた。今後も努力したい」と話した。IWC総会は来年ドイツ、再来年はイタリアで予定されている。(00:34)
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