農産物の安全性が問題になっている中国で、野菜類の47.5%から猛
毒の有機リン系殺虫剤メタミドホスなど、中国政府の安全基準を超える残
留農薬が検出されたことが十日分かった。中国産野菜は日本国内で広く
流通しており、厚生労働省は情報収集を急ぐとともに、中国産の監視態
勢を強化する方針だ。
【北京10日=山本秀也】十日付の中国紙「中国青年報」によると、国家
品質検査総局が全国二十三都市を対象にサンプル調査したところ、国内
産野菜類の47.5%から安全基準を超える残留農薬が検出された。
猛毒の有機リン系殺虫剤メタミドホスなど、国連食糧農業機関(FAO)を
はじめ国際的に使用が禁止・制限されている農薬による汚染が確認され
た。過去二年間の調査では、夏から秋に出回る野菜、果物の農薬汚染が
より深刻だとしている。
中国本土で「問題菜」(香港では「毒菜」)と呼ばれるこれら汚染野菜や果
物では、呼吸困難などの急性中毒症状で死亡するケースが中国国内で
多数起きており、政府が調査と規制に乗り出していた。
メタミドホスなどの劇薬は、香港市場へ野菜を供給する広東省の一部で
今年五月に使用が最高で罰金五千元(約七万円)の罰則付きで禁止され
た。しかし農業省などの全国規則では劇薬の新規登録の規制のみにとど
まり、地域間の規制格差や中小農薬メーカーの乱立が汚染拡大の背景
にある。
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