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274 :華麗なる陰謀・1:2006/05/01(月) 17:20:47 ID:qraO2moP

 それはまるで、獲物を遠くから狙う肉食動物のようだった。
 物音や気配を消して、ゆっくりと、けれど確実に獲物に近付いていく。
 瞳は標的の動きを完全に見極め、その一挙手一投足を注意深く見守る。
 決して相手に自分の存在を気付かれぬように、慎重に接近を試みる。
 じりじりと二人の距離は縮まり、曖昧だったその輪郭がはっきりと確認出来るまでになった。
 さて。
 ここまできて、狼は足を止めた。
 後は事前に練り上げた策略を屈指して、この獲物を食すだけだ。
 容易く丸呑みをするような野蛮な食事は好まない。
 この狼はそれなりの美学を持っている。
 行き着く先は所詮は腹の中。
 けれど、それまでの過程が大切だ。
 頭の良い狼は、すでにいくつかの罠を仕掛けようとしている。
 その何通りもある作戦の中で、何を選べば、この羊を更に美味しく食べられるか。
 そして、どれだけ自分を満たす事が出来るのか。
 重要なのはそれだ。
 既に作戦は動いている。
 この羊が逃げない事を知っている。
 いや、この狼からは逃げられないと言った方が正しいだろう。
 何故なら此処は、自然界に於ける雄大な草原でも無ければ、御伽噺に出てくる森の中でも何でもない。
 鍵の掛かった密室だ。
 羊は既に狼の檻の内側にいる。
 時間はたっぷりとある。
 狼は口角を僅かに上げ、羊に一歩、近付いた。
 何も知らない憐れな子羊は、呑気に欠伸を一つしている。
 あまり長い時間、退屈させてはいけない。
 そろそろ作戦を実行させた方が良さそうだ。
 では。
 親愛なる、子羊さん。
 どうか何も抵抗せずに、この狼の腹を満たして下さいましね。

 
275 :華麗なる陰謀・2:2006/05/01(月) 17:21:41 ID:qraO2moP

「奈々穂さん」
 狼、もとい、銀河久遠は、部屋の主の背後に忍び寄り、唐突に声を掛けた。
 油断をしていたのだろう。いきなり名前を呼ばれた事に驚いた子羊は、小さく悲鳴を上げて後ろを振り返った。
「な、何だ、久遠か」
 憐れな子羊と称された金城奈々穂は、飛び出そうになる心臓を押さえながら、何とか平静を保とうとした。
 予想通りの反応を見せる奈々穂に気を良くした久遠は、思わず破顔する。
「気配を消して部屋に入るなと、再三注意しているだろう!」
「それを言うなら、奈々穂さんだってノックをせずに私の部屋に来るの、止めて戴けます?」
「お互い様だ」
「なら、別によろしいでしょう?」
 いつも通りの会話のやり取りに、二人の顔は笑顔に変わる。
 同室であり、同じ副会長と言う役職。
 けれど、その二人の性格は、面白いほど正反対だった。
 それはまるで静と動。
 時に反発もするけれど、それは互いを認め合っている証拠に他ならない。
 意見も考えも違う二人だが、だからこそ高め合っていけるのだ。
 こんな二人の関係があるからこそ、宮神学園は今日も平穏を保っていけるのだろう。
「それで、何か用か?」
 部屋のラグマットに胡坐を掻いて、何かの雑誌を手に持ちながら奈々穂が言った。
 恐らく奈々穂の趣味だろう。
 ファンシーグッズ集めと言う、外見とは裏腹な趣味を持つ奈々穂。
 部屋でする事と言えば、それらを愛でる事以外にないだろう。
 閉じられた雑誌の表紙を一瞥すると、小さな笑みが漏れた。
 そんな久遠の視線に感付いたのか、奈々穂は顔を赤らめて雑誌を後ろに隠した。
 背中を寄り掛からせていたのがベッドだったのもあって、雑誌はその下に姿を隠す形になった。
 まるで成人雑誌をベッドの下に隠す中学生のようだ、と久遠は思った。
 その事にはあえて突っ込みをせず、この部屋に来た目的に思いを巡らせた。
 さて、どうしたものかしら。
 事前に用意した作戦の中から、どれを選べばよりスムーズに目的を達せるだろうか。
 幸い、奈々穂には未だ警戒心の欠片も無い。
 完全に油断している今なら、順調に事を成せるだろう。
 しかし、ただ目的を達するだけだと面白くない。
 何か意外性のある手段を選んだ方が楽しいのではないのだろうか。
 奈々穂はただ、黙ったまま部屋の入り口に立つ久遠を見上げていた。
 久遠もまた、奈々穂を見つめた。
 見つめながら、先日の矩継琴葉との一件を思い出していた。
 そして、その甘い想い出から更に遡り、そもそもの発端を思い出していた。
 そう。
 全ての始まりである、あの一週間ほど前の日の事を…。

 
276 :華麗なる陰謀・3:2006/05/01(月) 17:22:32 ID:qraO2moP

 その日、久遠は隠密専用の会議室にいた。
 他のメンバーが集めた情報を纏め、その書類の整理をしていたところだった。
 このような雑務は、大概、隠密を総括する久遠が行っている。
 提出された報告書の誤字脱字のチェックや、その内容。会長に報告するか否かの判断をしながら、入念に書類を整理する。
 種類や日付に分けられたファイルにそれらを綴じながら作業を続けている時、一人の来訪者が顔を見せた。
「お疲れ様で〜す、久遠さん!」
「あら、聖奈さん」
 会長と隠密部に所属するメンバー以外の人間は、一切の立ち入りを禁じられている。
 その為、この部屋に来る事が出来る人間は限られている。
 琴葉や桜梅歩の二人は、あまりこの部屋に来る事がない。
 それ故に、ノックもせずに入室する者は、桂聖奈以外ありえないのだった。
「何かお手伝いする事ありますか〜?」
 相変わらず、のんびりとした穏やかな口調。
 久遠はその問いに首を横に振った。
「ありがとうございます。ですが、もうほとんど終わりましたわ」
 そう言って、最後の書類をファイルに綴じた。
「何か御用ですの?」
 最近は、特に大きな仕事は入っていない。その為に、聖奈は何か用事があって此処に来たのだと思い、そう訊ねた。
 久遠の言葉を聴いて、聖奈は笑顔で近付いた。
 その時、久遠は本能的に直感した。
 この笑顔は何かを企んでいる。
 その直感は正しかったのだろう、聖奈は久遠の隣りに歩み寄り、笑顔を崩さずに言った。
「久遠さん、私と勝負をしませんか?」
「は?」
 突然の聖奈の言葉に、久遠は少々間抜けな返事をしてしまった。
 普段から何を考えているの分からない先輩の思考は、いくら優秀な久遠でも理解不能だった。
「一体、何の勝負ですの?」
 それでも、冷静に聖奈と会話を続ける久遠。聖奈の突拍子のない言動など、既に慣れきっているのだった。
 どうせ何か面白い事でも思いついて、それを実行したいが為の発言だろう。
 今までの経験上、それらは大抵些細なものだった。
 しかも、一度提案されると、イエスと言うまで付き纏われるのだ。
 ならば、ほとぼりがさめるまで付き合えばいい。もちろん、内容にもよるが。
 どうせ次に何か別の楽しいものを発見するまで辛抱だ。
 そんな冷たい事を思いながら、久遠は聖奈の話を待った。
 すると、聖奈はこれ以上ないというほどの微笑みを見せながら、口を開いた。
「私と久遠さん、どちらが先に生徒会のメンバーを落とせるか、勝負しませんか〜?」
 聖奈の言葉に、久遠が絶句したのは、言うまでもない。
 
277 :華麗なる陰謀・4:2006/05/01(月) 17:23:31 ID:qraO2moP

 
 誰だよ、この先輩をここまで自由に野放しにしているのは。
 会長か?会長なのか?
 おいおい大丈夫かよ、神宮司。
 さらりと酷い言葉を心の中で呟きながら、久遠はどうしたものかと考えていた。
 まさか聖奈がそこまでおかしな発言をするとは微塵も思っていなかった久遠は、少なからず動揺した。
 一体、何を考えているのだろう。
「……えっと…せ、聖奈さん?」
 何かの言い間違いである事を願いながら、もう一度質問をした。
「何の勝負、でしたっけ…?」
「ですから、私と久遠さん、どちらが先に生徒会のメンバーを落とせるか、勝負しませんか〜?」
「………」
 どうやら聞き違いではないらしい。久遠は頭を抱えた。
「生徒会のメンバーだったら、どなたからでも結構ですから♪」
 苦悩する久遠を置き去りにして、聖奈は話を進めていた。
 いや、その勝負を受けるとか言ってないし。
「一応、期限は一ヶ月以内って事でいいですか?」
 いや、だから、やるなんて一言も言ってないし。
「それまでに落とせた人数で勝敗を決めましょう」
 あのー、桂さん?
「取り敢えず、明日から始めましょうかぁ」
 この先輩、どこまで自由なんだよ!
「せ、聖奈さん?あの、私はまだ何も…」
「もちろん、賞品がありま〜す!」
「……賞品?」
 怒りを必死に抑え、努めて冷静に振舞おうとした久遠は、『賞品』と言う言葉に思わず反応する。
 勝負と言うには、それなりに物を賭ける必要がある。
 聖奈が賞品と口にするという事は、その勝負を受けて勝てば、何かを貰えるという事だ。
 それを聴くまで、久遠は勝負を断るつもりでいた。しかし、返事をするのは賞品の内容を聞いてからでも遅くは無い。
 ましてや相手は聖奈だ。きっと魅力的な褒賞を用意しているだろう。
 久遠は期待に僅かに胸を膨らませて、聖奈の言葉を待っていた。
 そして、聖奈から賞品の内容を聞かされると、久遠は躊躇無く「その勝負、受けて立ちますわ!」と返事をした。
「女に二言はありませんわね?」
「もちろんで〜す♪」
「…ふふふ…本気でやらせて戴きますわよ、聖奈さん」
「あら〜、私も簡単に負けるつもりはありませんよ〜?」
 かくして、二人の少女の対決の火蓋はこうして切られたのであった…。

278 :華麗なる陰謀・5:2006/05/01(月) 17:24:24 ID:qraO2moP

 勝負の始まりの三日後、久遠は琴葉を落とした。
 紅茶にブランデーを大量に入れ、酔ったところを美味しく召し上がったのだった。
 アルコールの匂いでばれてしまわぬように、匂い消しの薬を混入した。
 何の匂いもしないと逆に不審に思われるだろうと考え、自分の分の紅茶も用意した。もちろん、何も入っていない純粋なものだった。
 久遠は、琴葉が自分を慕っている事を知っていた。
 けれど、琴葉は素直に好きとは言わないだろう。琴葉にとっての一番は任務だからだ。
 そう思った久遠は、先に既成事実を作れば琴葉も頷くしかないだろうと考えた。
 そして見事にその作戦は成功し、まずは一人目をカウントした。
 もちろん、久遠も琴葉に思いをよせていた。
 だからこそ、一番目の相手に琴葉を選んだのだった。
 聖奈に食われる前に自分のものにする必要があったのだ。
 そして恋人の座もゲットした事で、勝負が終わった後も琴葉との愛を深める事が出来るというものだ。
 しかし、それはそれ。これはこれ、だ。
 今は勝負の真っ最中。魅力的な賞品を得る為に、他のメンバーにも愛を振り撒かなければいけない。
 だから、これは浮気じゃありませんわよ。
 そう心で誓いながら、久遠は二人目の獲物の元に近付いた。
 何も言わずに距離を縮める久遠に、訝しげな視線を送る奈々穂。
「どうした、久遠?」
 手を伸ばせば獲物を捕まえる距離で立ち止まる。
 相手は色恋沙汰に関しては酷く鈍感な人間だ。そして琴葉と同じように自分の使命に忠実な人間でもある。
 ここで変化球を投げても通じなさそうだ。
 ならば、直球で勝負した方が良いだろう。
 そう思い立った久遠は、ゆっくりと奈々穂の隣りに跪いた。
 奈々穂はテーブルに置いていたマグカップを手に取りながら、久遠を見つめている。
「…奈々穂さん」
「何だ?」
 カップの中のココアを飲みながら、奈々穂は久遠の言葉を待った。
「私とエッチをして下さらない?」
「――ぶっ!!!?」
 久遠の言葉の衝撃を受け、奈々穂は危うく口にしたココアを噴出しそうになるのを必死に堪えた。
 その瞬間を目の前で目撃した久遠もまた、その面白さに噴出しそうになった。
「なっ、な、なな、なっ!?」
「あら、奈々穂さんったら。口許が汚れてしまいましたわよ?」
 真っ赤な顔をする奈々穂の口許に、ポケットから取り出したハンカチでそっと拭った。
 …ちょっと直球過ぎたかしら…。
「な、お、お前、ちょ、何を…?」
 余程混乱しているのだろう。舌が上手く回っていない。
 動揺する奈々穂を可愛いと思いながら、久遠は笑顔で言った。
「えぇ、ですから、私とエッチをして下さらない?」

 
279 :華麗なる陰謀・6:2006/05/01(月) 17:25:14 ID:qraO2moP

「バ、バカかっ、お前はっ!そ、そう言う事は、だなぁ…そ、その…」
 純情な奈々穂でも、久遠の言葉の意味を理解するには充分な年齢だった。
 経験こそないが、高校生なら多少の興味があるのも事実。
 性的な知識や情報は、自分の周囲には溢れていた。
 しかし。
「つ、つまり、そう、言うのは、す、好きな、相手とするものであって…」
 やはり一筋縄では行かないようだ。
 もっとも、ここで簡単にオッケーするような人間であれば、逆に久遠のほうが拒否するだろう。
 そして、奈々穂がそんな人間でない事くらい、久遠は熟知している。
「だからな、その、も、もっと自分の身体を大事にしなさいっ!」
 らしくない敬語が飛び出てきて、久遠は内心笑っていた。
 なんだか大人に諭される援助交際をしている女子高生のような気分を味わった。
 けれど、そんな奈々穂の対応は想定の範囲内だ。
「では…私が奈々穂さんの事を好きだと言ったら…?」
「…へ?」
 鳩が豆鉄砲を喰らったような表情。
 言葉の意味を理解した途端、赤みがかった顔が更に赤くなった。
「あ、え?あ、いや、ちょ…はぁ?」
 最早何を言いたいのかさえ分からない。
 このままでは埒が明かない。久遠は少し前のめりになって奈々穂の顔を正面に捉えた。
 目の前に突然現れた久遠の端正な顔に、奈々穂の心が更に乱された。
「うわぁっ!?」
「…そんなに驚かれるとショックですわよ」
 久遠は瞳を閉じて、そのまま少しずつ奈々穂の顔に近付いていく。
 やがて、その紅い口唇同士が触れるか触れないかの距離になった時、奈々穂は慌てて久遠の肩を掴んだ。
「うぁ、ちょ、ちょっと待ってくれ!」
 肩を掴んだまま、久遠を遠ざける奈々穂。
 後少しだったのに、と内心舌打ちをしながら、久遠は奈々穂を見つめた。
「待て、久遠!その、いきなりはないだろう?」
「あら、なら事前に申告すればよろしいのですわね?」
「はい?」
「キスしますわよ」
 言いながら近付くと、更に強く押し返された。
「いや、だからちょっと待てぇっ!!」
 どうやら想像以上にこの獲物は簡単に罠に陥ってはくれないらしい。
 黙って受け入れてくれれば、少しは楽なのに。
 そう思った時、別の考えが脳裏に浮かんだ。
 これだ。これしかない。
 久遠は作戦を変更した。
 食べられないなら、食べられてしまえばいいのではないか、と。

 
280 :華麗なる陰謀・7:2006/05/01(月) 17:26:05 ID:qraO2moP

「奈々穂さんは、私の事がお嫌い?」
「い、いや、そうじゃない!そうじゃないけど…」
「なら、他に好きな人がいるのですの?」
「あ、いや、別にそう言う訳でも…」
「なら何故ですの?」
「…く、久遠、お前の気持ちは良く分かった。だ、だけどな、やっぱり、そのぉ、いきなりは…」
「そうですか…分かりましたわ」
「え?」
 予想に反して素直に頷く久遠に再び面を喰らう。
 何なんだ、今日は。
 この数分の間に、奈々穂はとんでもない疲労感を感じていた。
 しかし、奈々穂は自分の言った事に久遠が納得してくれたのだと思い、安堵の溜め息を吐いた。
「そ、そうか。分かってくれたか」
「えぇ」
 物事には順序と言うものがある。
 例えば、両想いの相手がいて、その人といきなり事に及ぶのは間違っている。
 奈々穂は特別久遠に気があると言う訳でもないが、やはり大切な親友だ。
 この想いが友情から愛情に変化していたとしても、奈々穂は同じ事をするだろう。
 そんな自分の気持ちが伝わったのかと、奈々穂は本気で思っていた。
「奈々穂さんの仰りたい事は分かりましたわ…。ですが」
 そう言って、久遠は両肩に置かれたままの奈々穂の手に自分のを添えた。
「私の気持ちはどうなるんですの?」
「うっ!?」
 久遠は上目遣いに奈々穂を見つめた。
 潤んだ瞳に、僅かに紅潮する頬。
 普段は憎たらしいと思う下級生の見た事も無い表情に、安定を取り戻しかけた心拍数が再び上昇をし始める。
「だ、だからっ、その、く、久遠、さん?」
「…こんなに奈々穂さんの事を想っていますのに…」
 久遠は奈々穂の左手を取って、自分の心臓の真上に押し付けた。
「――っ!!!?」
 制服越しに伝わる柔らかな感触。そして、その鼓動の速さ。
 掌に久遠の体温を感じて、奈々穂はその手を払う事が出来なかった。
「く、久遠…」
「奈々穂さん…」
 動きの激しくなる心臓の鼓動が、鼓膜を振動させた。
 絡み合う視線に引き寄せられるように距離を失くして行く二人。
 その距離がゼロになる寸前で、奈々穂は勢い良く顔を反らした。

 
281 :華麗なる陰謀・8:2006/05/01(月) 17:26:52 ID:qraO2moP

「く、久遠!落ち着け!」
 自分は至って冷静なのだが、言ってる本人の方が落ち着いたらどうだ。
 思ってても言わないが、少しずつ風向きが良くなっている事を実感する久遠。
 陥落まで、後少し。
「やっぱり、他に好きな人がいるのですわね…」
「だ、だからそうじゃなくて…」
 どう説明すればいいのか悩み、奈々穂は頭を掻いた。
 左手はまだ、久遠の左胸に触れたままだった。
「だから、その…。あぁーっ!!分かるか、そんなの!!」
 思考回路が煙を上げ、奈々穂は逆上するように大声を上げた。
「大体、私にはそんな経験だってないのに、分かるはずないだろうっ!!」
「あら、それなら私にお任せ下さいな」
「…へ?」
 名案、とばかりに久遠は満面の笑みを浮かべた。
 奈々穂はこの日、何度目かの間抜けな返事を返した。
「経験がないのなら、私が手取り、足取り、腰取り、教えて差し上げますわ」
「…は?…何…腰?」
 奈々穂が言った『経験』は、恋愛と言う意味だった。
 しかし、それが久遠に間違って伝わってしまったと理解するのに、奈々穂にはもう少しの時間が必要だった。
 久遠は奈々穂の左手を掴むと、そのまま自分の方に引き寄せる。
 すると、突然バランスを崩され、二人の身体は床に倒れこむ形になった。
 傍から見れば、まるで奈々穂が久遠を押し倒しているとも見える体勢。
 奈々穂の顔色は、遂に茹蛸のようになった。
 そんな奈々穂を愛しげに見つめ、両手で奈々穂の頬を挟んだ。
 姿勢を崩さないように両手を床に付けた為に、奈々穂はもう逃げられなかった。
「怖がる事はありませんわ。私に全て任せて下さい、奈々穂さん」
 頬に添えた手に力を籠めて、自分の方に引き寄せる。
 今度こそ口付けられると思ったが、久遠の口唇は奈々穂のそれを通過した。
 しかし、奈々穂は直ぐに久遠のその柔らかな口唇の感触を感じた。
 それは口唇とも頬とも言えない曖昧な場所。
 口唇に限りなく近いその肌に、久遠は優しく口付けた。
 久遠は口唇を僅かに尖らせ、吸い、小さな音を立ててそっと離れた。
「…く…」
 キスとも呼べないその行為は、確実に奈々穂を煽っている。
「ファーストキスは、好きな人の為に取って置いて下さいましね」
 悪戯な微笑みを浮かべ、同じ場所にもう一度触れた。
 今度は離れる時に、そっと舌でなぞった。
 そして今度は反対側に口唇を寄せた。
 何度も繰り返される行為を、奈々穂は目を固く閉じて受け入れていた。

 

282 :華麗なる陰謀・9:2006/05/01(月) 17:27:58 ID:qraO2moP


 柔らかな口唇が、奈々穂の触覚を刺激する度に、身体が熱くなるのが分かる。
 その熱と共に湧き上がる感情の名前はまだ分からない。
 ただ、その感情に少しずつ身体と思考が蝕まれているのだけは理解できた。
 久遠は口唇を滑らせて、奈々穂の頤に触れる。
 濡れた舌を出し、肌をなぞるようにゆっくりと下降し、首筋を舐めると、奈々穂の身体が微かに震えた。
「気持ちいいかしら、奈々穂さん?」
「そ、そんなの…分からん…」
 年下の少女にからかわれているようで、奈々穂は少し癪に障る。
 久遠は一つ笑みを溢し、奈々穂の右手を掴んだ。
 そして先程と同じように胸に押し付ける。
「っ!?」
 久遠の行動にも驚いたが、それ以上に奈々穂は戸惑っていた。
 同じような体勢で、同じような感触。なのに気持ちだけが違っていた。
 先程触れた時よりも、心臓が暴れているのは、久遠の身体を組み敷いているからなのだろうか。
 極力久遠に体重をかけないように、左腕で身体を支えた。
「奈々穂さん…触っていただけます?」
「え?」
 もう触っているのだが。奈々穂は思わずきょとん、とした。
 そんな奈々穂の考えが分かったのか、久遠は自ら制服のリボンを解いた。
 片手は奈々穂の手を掴んだまま、もう一方の手で器用にボタンを外していく。
 やがてブレザーが左右に開帳し、その下にあるベストとシャツを引き上げると、白いお腹が見えた。
 衣擦れの音が大きくなり、服が胸の上まで捲られると、奈々穂の視線は否でも応でも豊かな膨らみに縛られてしまう。
 重力に潰されていると言っても、年上である奈々穂よりも大きいだろう。
 久遠がフロントホックを外すと、形の良い二つの果実が姿を見せた。
 白く綺麗な乳房に目を奪われる。
 一つしが違わないのに、外国人の血が混じるとこうも発育に差が出るのかと、奈々穂は半ば見当違いの事を思った。
 その嫉妬にも似た悔しさが、奈々穂の手を動かした。
 震える指が、その柔肌に触れる。
「ん…」
 外気と奈々穂の指の冷たさに、久遠の身体がピクン、と震えた。
「あ、ご、ごめんっ!」
「ふふ…大丈夫ですわよ、奈々穂さん。そのまま…」
 恐る恐る乳房に触れる手が、その感触に慣れてきたのか、少しずつ大胆になっていく。
 指が、掌が吸い付くような弾力。心地良い体温。速くなる鼓動。
 それらが奈々穂を更に駆り立てる。
「く、久遠…」
 優しく揉むと、久遠は僅かに身を捩った。
 その反応が快感からくるものかは分からないが、ここまできたのなら、久遠に気持ち良くなって貰いたい、と奈々穂は決意した。
 自慰行為こそした事がないが、本や噂で取り入れていた知識を総動員させて、何とか快感を与えようと指を動かした。


283 :華麗なる陰謀・10:2006/05/01(月) 17:29:15 ID:qraO2moP


 奈々穂は久遠の乳房の感触を楽しむように揉み立てながら、人差し指でその山の頂を弾いた。
「んっ…」
 可愛らしい桜色の乳輪を指で優しくなぞると、久遠が熱っぽい吐息を漏らした。
 色素の薄い肌が、少しずつ紅く染まっていくのが分かる。
 奈々穂が乳房の中心を指で嬲ると、その乳輪が膨らみを増した。
 更に掌を使って乳房全体を揉むようにすると、たわわに稔った乳房が、奈々穂の手の中で少しずつ育っていく。
「ん…ぁ…」
 徐々に張り詰めていく肌を感じながら、奈々穂は動きを止めない。
 硬くなっていく乳首が、以前よりもやや大粒になったと感じるほど、その存在を主張している。
 勃起した乳首を人差し指と親指で挟み、軽く摘まむ。
 そのまま接触する指の腹を擦るようにすると、久遠の背が微かに反れた。
「あっ…」
 その時、奈々穂が耳にしたのは、久遠の口からはっきりと漏れた嬌声だった。
 自分の与える刺激が、久遠を確実に感じさせていると内心悦びを覚えた。
「…ぁ…奈々穂さ…ん…もっと…強く…」
「え?あ、こ、こうか?」
 久遠が発した言葉に戸惑いながら、奈々穂は僅かに力を入れて、乳房を掴んだ。
 ぐにゃり、と指が純白の丘に沈み、肉の形が淫らにあれこれと変わっていく。
「あっ…ん…なな、ほさ…ぁ…そ、こ…」
「ん?ここか?ここがいいのか?」
 まるで変態親父みたいなセリフだが、奈々穂は至って大真面目だった。
「んぁ…はぁ…奈々穂さん…こっちも…」
 そう言って、もう片方の乳房に触れるように促す。
 しかし、奈々穂の左手は自らの身体を支えるので精一杯だった。
 一瞬の躊躇いが生まれたが、直ぐに気を取り直し、奈々穂は顔を右の乳房に近づけた。
 小高く盛り上がる胸の中心を、口唇でそっと触れた。
「んっ…」
 口唇で触れたまま、先程、久遠にされた事を思い出しながら、奈々穂は乳首を優しく吸い上げた。
「あっ…ふ…」
 久遠は奈々穂の頭を無意識に撫でたその時、ぬるっと温かな感触に右の乳首が包まれた。
「んっ…んっ」
 ちゅっ、ちゅっ、と音を立てながら、奈々穂は口に含んだ久遠の乳首を、飴玉でも舐めるように優しく転がした。
「あっ…なな…ほ、さっ…ふ、ぅ…あ、そこ…」
 口を使って啄ばみ、吸い、そうして休み無く刺激を与えていく。
 磁器を思わせるような白い裸体が火照り、もどかしい快感が積み重なっていく。
 久遠は無意識の内に太腿を擦り合わせていた事に気付いた。
 一度意識をしてしまうと、それが気になって仕方が無い。
 下着が濡れている感触さえも感じた。
 下半身が疼くのを感じて、堪らず久遠は奈々穂を呼んだ。


284 :華麗なる陰謀・11:2006/05/01(月) 17:30:06 ID:qraO2moP

「奈々穂さん…あの…こっちも、触って戴けますかしら…?」
 乳房を嬲っていた手を、スカートの中に導いていく。
「え、あ、え?」
 久遠の乳房に夢中になっていた為か、言葉を半分聞き取れなかった。
 上半身を起き上がらせて、久遠は足を自ら開いた。
 スカートの裾がそれに伴って捲り上げ、白い下着が奈々穂の目に映る。
「わ、バカ!そんなに足を開いたら、パ、パンツが見えるだろう!?」
「…奈々穂さん?」
 冗談なのか、本気なのか。
 今の今まで、性行為と呼べる行為に没頭していたのは何処の誰だろう。
 久遠は呆れながら、その純情さに敬意を表したい気持ちになった。
 けれど、今はそんな場合ではない。
 もどかしさに震える身体を鎮めるには、更なる行為に進み、より強い快楽を得なければならない。
 スカートに手を差し入れて、腰の辺りで結ばれている紐を解いた。
 薄い生地がはらりと肌蹴る。
 左の腰に結ばれたままのリボンは解かずに、腰を浮かせて下着を脱ぎ取ろうとした。
 秘所を生地が擦れた時、ぬるりとした粘着質の液体に触れた。
「っ…」
 微かに湿った下着に嫌悪感を感じた久遠。
 お気に入りの下着を汚す前に脱げば良かった。
 完全には剥ぎ取らず、足首の辺りに引っ掛けたままにした。
 久遠の行動を一部始終眺めていただけの奈々穂は、段々と、自分達がこれからする事を予想していた。
「…さて…奈々穂さん」
 スカートの裾を掴み、その中が見れるように捲ると、奈々穂は咄嗟に視線を反らした。
「ま、待て、久遠!そ、その、心の準備をさせてくれっ!」
「…今更、何を仰いますの?散々、私の胸を弄んだくせに…」
「ご、誤解を招くような言い方をするなぁっ!わ、分かった!分かったからスカートを捲るんじゃなぁいっ!」
 二、三度深呼吸をしてから、奈々穂は久遠の中心に目を向けた。
 制服の生地に隠されているその場所に、ゆっくりと近付いていく。
 奈々穂はこれ以上無い程、緊張していた。
 無理も無い。自分自身でさえも見れない場所を、ましてや他人のものを目にするとは、数時間前まで想像すらしなかっただろう。
 すべすべの太腿を撫でながら、中途半端に捲り上がったスカートを掴んだ。
 掴んだ生地を、腰の方へと引き上げる。
 そして、遂に奈々穂の瞳は久遠の秘所を映した。
 色素の薄い陰毛。髪の色よりも若干濃く見えるのは、奈々穂の影を被っているからだろうか。
 視線を更に下に向けると、女性器のスリットが目に映った。
 その異形な形を眺めていた奈々穂はふと、寿司のネタの赤貝を思い出した。
 一筋の線。その中心は妖しく光っていた。

 

285 :華麗なる陰謀・12:2006/05/01(月) 17:30:55 ID:qraO2moP

 太腿を撫でていた手を、少しずつ中心に向かわせる。
 足の付け根を軽く揉むと、久遠が小さな悲鳴を上げた。
 僅かに窪んでいる場所に沿って指を這わせる。
「…ん…」
 親指が、優しく秘所に触れる。
 柔らかく、熱いその場所は、確かに湿り気を帯びていた。
 繊細なひだの折り重なった中心に、透明な雫が溢れていた。
「…すご…」
 その卑猥な光景を目の当たりにした奈々穂は、思わず咽喉を鳴らした。
 あまりにまじまじと急所を見られている事に、久遠は軽い羞恥を感じた。
 親指をそのスリットにあてがい、肉を持ち上げるように上下に動かした。
「あぁっ!」
 痺れるような快感を感じて、久遠は大きく喘いだ。
 上下に擦りあげる親指は次第に濡れて、ストロークをより潤滑にさせる。
「んっ、あ、っ…んっ」
 やがて親指の先が息衝く膣口に滑ると、今まで一番強い快感に襲われ、久遠の腰が揺れた。
「んぁあっ!」
 久遠の嬌声と、膣の滑る感触に驚いた奈々穂は、慌てて指を抜いた。
 引き抜いた拍子に、とろりとした愛液が絡まって、親指と膣を結んでいた。
 白濁した粘着液の感触を確かめるように、指を擦り合わせた。
「…ぁ…はぁ…」
 上気する肌、普段よりも高い声、乱れる呼吸音に悩ましげな表情。
 見た事ない久遠の姿に、奈々穂は益々煽られる。
「…久遠…」
「はぁ…ん…な、奈々穂さん」
「ん、何だ?」
「そ、その…」
 何かを告げようとするが、久遠は何故か口籠っていた。
「どうした?どこか痛いのか?」
 心配そうに久遠の顔を見つめる奈々穂。
 そんな奈々穂に久遠は言った。
「その…く、口でして戴けますかしら…?」
「へ?」
 恥ずかしがる久遠の言葉を理解出来ず、奈々穂は暫し動きを止めた。
 口でして…?何だ、それは。どういう意味だ?
 一瞬の逡巡の後、奈々穂はその言葉の真意を理解した。
 それは今まで自分のした事を思い出せば簡単な事だ。
 指でしていた愛撫を、今度は口でして欲しい。久遠はきっとそう言っているのだろう。
 そんな事か、と理解したその一秒後、奈々穂の動きはまたも止まった。


286 :華麗なる陰謀・13:2006/05/01(月) 17:32:52 ID:qraO2moP

「…えっと…」
「…奈々穂さん?」
「あ、あぁ…いや…く、口ですればいいんだな?」
「嫌なら別に構いませんわよ?」
 久遠としてはどちらでも構わなかったが、先程、乳房を愛撫された時に奈々穂の指を見ると、爪が若干長かったのだ。
 その指が膣壁を引っ掻いて、万が一にでも傷がついたら、と久遠は危惧していたのだ。
 初めてなら、尚更だ。
 そう思って口にしたのだが、初めての相手に口でしてと言うのも少々無理があったかもしれない。
 けれど、奈々穂は久遠の願いを聞き入れようとしていた。
 顔を、久遠の中心にゆっくりと埋めていく。
「なな、ほさ…」
「い、いくぞ、久遠…」
 白く輝く太腿は、甘い淫臭を放っていて、しとどに濡れた蜜壷が露わになる。
 ヒクヒクと蠢く陰唇に、ふっと息を吹き掛けると、膣口は窄んだ。
「…ん…ふ…」
 その様子を見ながら、奈々穂は躊躇わずに開いた口から紅い舌を伸ばした。
 的に矢を射る時のような集中力と緊張感を漂わせながら、伸ばした舌が久遠の膣に触れた。
「あっ…」
 舌先を押し付けながら、上下を舐め上げる。
 そして、両手の親指を使って、その亀裂を限界まで広げた。
「うっ…んっ」
 分泌された愛液が流れる穴が、呼吸をするように小さく開閉している。
 入り口を更に広げるように、舌をぐりぐりと押し付け、捩じ込んでいく。
「あぁっ!ん、ぁっ、はぁんっ!」
 酸味がかった愛液を味わうように、更に深く挿入する。
 何ともいえない圧迫快感を感じながら、奈々穂は出没運動を始めた。
「あっ、ん、やぁっ!あ、奈々穂っさ…あ、い、いいっ!」
 淫靡な水音が部屋中に響く。
 久遠は奈々穂の頭を掴み、股間を押し付けるような行動を取っていた。
 奈々穂の舌は、より深く膣内に吸い込まれる。
 秘所を口で覆うほど舌が入り込む。
 その口許から、溢れる愛液が滴り落ちて、奈々穂の顎を流れ、首筋を濡らした。
「んっ!あぁ…そこ…ん…あ、はぁっ!」
 美しく長い久遠の髪は振り乱れ、汗ばむ身体が快感に軋んでいく。
 奈々穂の前歯が、勃起した陰核に初めて触れたその時、久遠の身体が痙攣したかのように大きく震えた。
「あっ、ん、ぁっ、あっ、やっもぅ…イッ…!!」
 白い頤を大きく反らし、久遠は絶頂に達した。


287 :華麗なる陰謀・14:2006/05/01(月) 17:33:47 ID:qraO2moP

 奈々穂はベッドの上で体育座りをしながら、制服を正す久遠を見つめていた。
 リボンを結び終え、視線を感じて振り向くと、目が合った瞬間に奈々穂は顔を反らした。
「…奈々穂さん?」
 呼んでみるが、返事はない。
 サイドの髪に隠れた耳は赤かった。
「…何も無視しなくても…」
 溜め息を吐きながら、久遠は呟いた。
 少し強引過ぎただろうか。しかし、これも勝負の為。謝罪は来月にしよう。
 そこで久遠は思い悩んだ。
 この勝負に関して、久遠は落とすメンバーを琴葉と奈々穂しか決めていなかった。
 ここで問題が出てくる。二人が思った以上に順調に行き過ぎたのかもしれない。
 他のメンバーに対して、久遠は何の策略を練っていなかった。
 全員を落とすのは至難の業。勝負の結末が見えない今は、取り敢えず次の標的を定めるしかない。
 そして、聖奈はどこから攻めているのだろう。それによって久遠の行動も変わっていく。
 隠密の歩にいくか、遊撃にいくか。それとも執行部から攻めるべきか。
 考え込む久遠の背中に、不意に声を掛けられた。
「く、久遠!」
「何ですの、奈々穂さん?」
「…そ、その…」
 恥ずかしいのか、奈々穂は顔を俯かせていた。声も心なしか小さい。
「す…す、す…」
「…す?」
「すっ…き、だ…」
「……は?」
「すっ、好きだと言ったんだっ!!」
 奈々穂の叫びに、久遠は呆然とした。
「……奈々穂さん?」
「お、お前があんなに可愛いとは思わなかった…」
「はい?」
「だ、だから…その…つ、付き合ってくれっ!!」
「………」
 どうやら、奈々穂を完全に落としてしまったらしい。
 しかし、久遠にはもう琴葉と言う可愛い恋人がいる。
 ……いるけれど…。
「…えぇ、喜んで」
 奈々穂に極上の微笑みを見せると、奈々穂は嬉しそうに笑った。
 琴葉も好きだが、奈々穂を振るのも惜しい。
 双方にばれなければ問題はないだろう。知らなければなかった事になる。
 次の標的を考えながら、久遠は本妻と愛人を得たのだった。

 二兎追う者は一兎も得ず。そんな諺は久遠の辞書には載っていなかった…。