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163 :素晴らしく冴えた計画・1:2006/04/15(土) 00:32:19 ID:babUYGmo
 日曜日の昼下がり、琴葉は久遠の部屋にいた。
 二人掛けのソファーに腰掛け、隣り合ったまま紅茶を飲んでいた。
「………」
 琴葉は思う。何故、自分は此処でまったりと紅茶を飲んでいるのだろう、と。
 そもそも、隠密である琴葉が何故、極上寮にいるのか。
 話は今日の早朝に遡る。

 朝早くに琴葉は久遠に電話で起こされた。話の内容は、昼頃に部屋に来て欲しいと。
 大方、いつものように隠密の任務であろうと考えた琴葉は、十二時を少し過ぎた頃にこの部屋にやって来た。
 休日だと言うのに制服を着ている琴葉に、久遠は呆れたような溜息を吐いた。
 久遠の顔を見るなり、琴葉は仕事の話かと問うと、久遠は苦笑し、ソファーに腰を掛けるように促した。
 琴葉がそれに素直に従うと、久遠は予め用意していた紅茶をカップに注いだ。
 テーブルの上には二つのティーカップが置かれていて、一つには既に琥珀色の液体が淹れられていた。
 琴葉が来る前に一人で飲んでいたのだろう。僅かに湯気が立っていた。
 新たに紅茶を注げれたカップを渡されてから、琴葉は話を切り出した。
「副会長、お話とは何でしょうか?」
 すると、久遠は優雅に微笑んだ
「あら、私は話があるなんて一言も言っていませんわよ?」
「え?」
「電話で言ったでしょう?此処に来てって…」
 そう言って、久遠は自分のカップを手にした。
 カップを傾けて、紅茶を飲む。片手はきちんとソーサーを持って。
 ただお茶を飲む仕草が、ここまで絵になる人もいないだろう。
 一瞬の動作に見とれていた琴葉だったが、直ぐに思考を切り替えて話を続けた。
「…で、ですが…」
「ですが、何?」
「仕事の話でなければ、私に一体何の用が…?」
 カップをテーブルに戻して、久遠は琴葉に向き合った。
「用がなければ、琴葉を呼んではいけないのかしら?」
「い、いえ、そう言う訳では…」
「なら、いいじゃありませんの」
 たまにはこんな日も。そう言って、久遠は再びカップを口につけた。
「………」
 それでも、琴葉は紅茶に手を出さなかった。
 何かちゃんとした理由でも無い限り、納得する事が出来ない。
 久遠が何を考えているのかが分からず、琴葉は俯くだけだった。
 いつまで経っても動かない琴葉に溜息を吐いて、久遠は口を開いた。
「琴葉はいつも仕事ばかりしているでしょう?」
「…え…」
「任務がある時は仕方ないけれど、そうじゃない時は何処にいるか分かりませんし…」
「…はぁ…」
「仕事の指示を出しているのは私ですけど、たまの休日くらいはきちんと休んだ方がよろしいですわ」
「…副会長」
「だから、たまにはこんな風に二人でお茶をするのも、悪くないでしょう?」
 そう言って久遠は綺麗な微笑みを見せた。
 そんな顔を見たら、それ以上何も言えなくて、琴葉は小さく苦笑しながら、冷めかけた紅茶を口にした。

 

164 :素晴らしく冴えた計画・2:2006/04/15(土) 00:33:34 ID:babUYGmo


 たまにはこんな風にゆっくりとした時間を過ごすのも悪くない。
 そう思う事は出来たが、未だに頭の片隅に疑問が浮かぶ。
 それは、互いの立場の事を考えているからだろうか。
 神宮司のお庭番である琴葉と、神宮司を探る組織に属する久遠。
 一時は対立したが、今はもう和解している。
 しかし、どんなに状況が変わっても、久遠の立場が変わる事はない。
 今でも二人は敵同士。ならば、こんな風に二人でゆっくりと紅茶を飲んでいるのはどこかおかしいのではないだろうか。
 いや、もしかしたらそんな事はどうでもいいのかもしれない。
 琴葉の中で渦巻く複雑な感情は、もっと深いところにあるのだ。
 久遠が優雅な一時を愛しているのは知っている。それも、誰にも邪魔されないような環境の中での時間だと言う事を。
 そんな穏やかな時間を、自分なんかと過ごしてもいいのだろうか。
「………」
 琴葉は久遠に惹かれていた。それはきっと、出逢った頃から。
 少しずつ大きくなる想いに戸惑いながらも、琴葉はそれを自覚していた。
 だから、久遠と二人きりでいるこの現実は、琴葉にとってこれ以上に嬉しい事はない。
 それなら、久遠はどうなのだろう。
 久遠は自分の事をどう想っているのだろう。
 この人はきっと、心を許す相手でなければ、休日にわざわざ呼び出したりもしないだろう。
 だから、自惚れてしまう。自分は久遠に心を許されているのではないか、と。
 だからこそ、久遠の気持ちが知りたかった。
 これはたんなる気まぐれなのか。それとも別の何かなのか。
 どちらにしても、琴葉にそれを確かめる術はない。
 久遠の隣にいられる事だけで、充分だったから。
 甘い芳香を味わって、カップをソーサーに戻すと、小さく陶器のぶつかる音がした。
 空になったカップを見て、久遠はまだ温かいティーポットに手を伸ばした。
「御代りはまだありますわよ」
 言うが早いか、久遠は琴葉のカップに紅茶を注いだ。
「あ、副会長。自分でします」
「いいから。今日はお客様ですもの」
 何度目かの笑顔を見ながら、きっとこの笑顔には一生敵わないのだろうと思った。
 湯気が立ち昇る紅茶を注いでから、久遠はポットを持ったまま立ち上がった。
「少なくなりましたわね。新しいのを淹れてきますわ」
 そんな言葉を残して、久遠は部屋を出て行った。
 僅かに開かれた扉の奥から、水の流れる音が聞こえた。
「……ふぅ…」
 温かい飲み物を飲んだせいか、身体が熱い。
 思わず吐いた溜息さえも熱を感じる。季節はもう冬だと言うのに。
 それとも、久遠と一緒にいる事で、身体の奥から熱が湧き上がっているのだろうか。
 窓の外に目を向けると、冷たく乾いた風が、森の木々を揺らしていた。

 
165 :素晴らしく冴えた計画・3:2006/04/15(土) 00:34:40 ID:babUYGmo
 久遠が新しく紅茶を淹れて来てから、数分が過ぎた頃だった。
 琴葉の身体は益々熱に浮かされていく。
「……はぁ…」
 気のせいか、息遣いまで荒くなったように感じる。
 心臓が激しく脈を打つ。
 頭がぼんやりしてきて、身体が浮遊しているような感覚。
 何かおかしい。
 鈍り始めた思考でそう判断した琴葉は、隣りに座る久遠を見つめる。
 いつの間に瞳が潤んでいたのか、久遠の表情が滲んで見えた。
「…あ、あの…副会長…」
「何かしら?」
 自分とは対照的に涼しい顔をしているのが、曇った視界からでも確認出来た。
 脳は相変わらずフワフワしているけれど、一つだけ、分かった事がある。
 異変が起きているのは自分だけだ。
 そして、この部屋に来てから琴葉がした事は、久遠が淹れた紅茶を飲んだ事。
 それに気付き、まさかと思いながら、恐る恐る久遠に訊ねた。
「ふ、副会長…こ、紅茶に、何か…?」
 すると久遠はふっと微笑み、琴葉の紅い頬に触れた。
「私がいつも飲むように、ブランデーを少し入れてみましたわ」
「ブ、ブランデー…?」
 そう言えば、どこかで聞いた事がある。
 紅茶に少量のブランデーを入れると、香りが良くなる、とか。
 冬の時期は、冷えた身体を温める作用もある、とか。
 琴葉は冴えない思考から、何とか一般的な知識を搾り出した。
 つまり、今、体内には微量のアルコールが入っている。
 しかし、それだけで、こんなにも影響があるのだろうか。
「で、ですが…」
「もっとも、いつもの量よりは少し多くしましたけれど」
 久遠は琴葉の紅潮した肌の上を、撫でるように滑らせた。
「ど、どの位、入れたのですか…?」
 流れる血液の音が分かる位、心臓が激しく動いている。
 どうしてこんなになるまで、自分は気付かなかったのだろう。匂いで分かれば事前に回避出来たのに。
「きちんと計った訳ではありませんけど、そうですわね…ちょっと酔っ払う位かしら」
 曖昧な返答をする久遠に、琴葉は思わず顔を顰めた。
 もっとも、久遠は自分のカップには一滴もブランデーを入れていない。酔い始めたのは琴葉だけだった。
「あら、怖い顔」
「…はぁ…あなたが何を考えているのか全然分かりません」
 琴葉は頭を抱えた。何を目的にしているのか、琴葉には理解出来なかった。
 自分を酔わせてどうする気なのだろう。
「…こうでもしないと、琴葉が大人しく甘えてくれないと思って」
「え…?」
 その声は、いつになく優しい音を奏でていた。

 
166 :素晴らしく冴えた計画・4:2006/04/15(土) 00:35:33 ID:babUYGmo
「いらっしゃい、琴葉」
 そう言って、久遠は両手を広げた。
 アルコールを含んでいる琴葉は、いつもと違って大人しくそれに従うように久遠に近付いた。
 冷静な判断が出来ないのだろう。
 自分の言葉に従順な琴葉に微笑しながら、久遠は琴葉を抱き上げて、膝の上に座らせた。
 いつも見下ろす琴葉の顔を見上げる、いつもと違う景色に、久遠は楽しげに笑った。
「副会長…」
 久遠の太腿に跨って、姿勢を安定させる為に、両手を久遠の両肩に添える。
「琴葉はいつも一人でいるから…こんな風に、誰かと触れ合った事もないでしょう?」
 久遠の言葉に、琴葉は何も言わずに俯いた。
「年下なんですもの。もっと甘えてくれていいんですのよ?」
 そう言って、久遠は琴葉の背中や腰に手を滑らせた。
 そっと抱き締め、その形を確かめるように優しく撫でる。
 それは、琴葉が今まで感じた事のない温もりだった。
 物心がつく前から、琴葉はずっと一人でいた。
 与えられた任務を忠実にこなし、誰にも頼らずにいた。
 誰かに甘えた事などない。だから、甘え方なんて知らない。
 それでも、琴葉はまだ幼い少女に過ぎない。
 本当は、ずっと誰かに甘えたかったのかもしれない。
 久遠の言葉に何も言わなかったけれど、琴葉は僅かにその身を寄せた。
 琴葉が素直な想いを曝け出したのは、アルコールのせいでも何でもない。
 相手が、他ならぬ久遠だからだろう。
 つまり、アルコールで騙す事などしなくても、琴葉は大人しく甘えたに違いないのだ。
 それをきっと、久遠も心のどこかで分かっている。
 それでも、二人はそれがアルコールによるものだと思ってしまう。
 想いを伝えるのが不器用な二人は、何かを利用しないと触れ合えない。
 こんな形でしか示せない、愛情もあるのだ。
 互いの距離を縮めるごとに、鼻腔を擽る僅かな酒気に嫌悪感は感じない。
 そればかりか、熱を帯びた吐息が首筋を掠める度に、久遠の気持ちもまた、高ぶっていった。
「副会長…あの、お、重くないですか?」
 久遠の太腿に乗る形になっているから、足が痺れたりしないだろうか、と心配そうに言った。
「大丈夫ですわよ」
 そう言って、琴葉を安心させるように笑顔を見せる。
 それから久遠は、制服の上から琴葉の胸に顔を埋めた。
「ふぇっ!?」
 久遠の突然の行動に、思わず悲鳴のような声が上がる。
「あ、あの、ふ、副会長…?」
 琴葉の声に顔を上げた久遠は、不思議な顔をしていた。
「何?」
「な、何って…それは私の科白です。何をしているのですか?」
「何って…甘えて、って言ったでしょう?」
 そう言って、久遠は再び琴葉の胸に顔を沈める。
 
167 :素晴らしく冴えた計画・5:2006/04/15(土) 00:36:24 ID:babUYGmo
「ちょ…!副会長!」
 琴葉は身体を離そうとするが、久遠の手に抱き締められている為に、それは叶わなかった。
 柔らかな檻に捕らわれて、身動きが出来ない。
 身を捩る動きは、意に反して久遠に擦り寄るような形になり、琴葉はどうしていいのか分からなくなる。
 そして、アルコールが身体全体に回ってきたのか、動きに力は無くなっていく。
「…っ」
 拒もうとする琴葉の身体に、久遠は刺激を与え続ける。
 腰に回した手を胸元に添え、円を描くように動かした。
「ふぁっ!」
 久遠は琴葉の胸の高まりを軽く噛んで、背中を撫でていた手で下着のホックを外した。
 制服の中でずれる下着の感触に、琴葉は少し戸惑った。
「ふ、ふくかいちょ…」
 呂律の回らない言葉がもどかしい。
 普段よりも高く、甘えるような声色に、久遠の鼓動が小さく跳ねた。
「…琴葉…」
 紅潮した肌。
 潤んだ瞳。
 その姿は、いつも冷徹で無表情な彼女からは想像出来ないほど可愛らしかった。
 こんな姿を、誰も見た事がないだろう。
 こんな姿を知っているのは自分だけだと思うと、久遠は上手く言葉に出来ないような優越感を感じた。
 琴葉の制服に手を掛けて、丁寧に釦を外していく。
 一枚一枚脱がされて、琴葉の裸体が曝け出されていく。
 息苦しさと、湧き上がる熱に苛まれ、抵抗する力が出てこない。
 上半身を露わにすると、久遠は床に制服と下着を落とし、琴葉の気分を高めるように、白い肌に手を這わす。
「んんっ!」
 熱い自分の肌とは対照的に冷たい久遠の手が触れて、琴葉は身を震わせた。
「可愛いですわよ…琴葉…」
 歳相応といった小さな胸に直接触れて、高鳴る鼓動を確かめる。
「っ…やぁ…」
 以前、大浴場で裸を見られた事もあるが、今とは状況が違いすぎる。
 休日の昼下がりの明るい部屋で裸を見られている事が恥ずかしくて堪らない琴葉は、瞳を硬く閉じた。
 久遠は琴葉の乳首を口唇で挟み、その先端を舌先で突っついた。
「ふ、あっ!」
 そして更に深く咥え込んで吸い込むと、琴葉の口から小さな嬌声が上がる。
「あっ…やぁ…」
「…うふふ…敏感ですのね、琴葉は」
 琴葉の反応を楽しむように、久遠はもう片方の乳房にも手を伸ばした。
 左手で器用に胸を揉みしだきながら、鎖骨をなぞるように舌を這わす。
 柔らかく湿った舌で身体を舐められ、その何とも言えない感触に、琴葉の身体はビクリと震える。
 琴葉は思わず肩を掴んでいた両手を、しがみ付くように久遠の首に回した。

 
168 :素晴らしく冴えた計画・6:2006/04/15(土) 00:38:17 ID:babUYGmo
 不意に久遠の動きが止まり、琴葉は思わず目を開いた。
 すると、見下ろしたすぐそこに、久遠の綺麗な顔があり、琴葉の顔は益々紅くなる。
「…あ…」
「…琴葉…キス、してもいい?」
 キス以上の事を先にしておいて、今更確認するのもどこかおかしいと思いながらも、琴葉は小さく頷いた。
 アルコールの効果なのか、それとも初めての快楽に身体と思考が支配され始めたからなのか、琴葉はそれを受け入れようとしていた。
 ゆっくりと近付いてくる久遠の顔を、目を反らさずに見つめていると、互いの息を感じる程の距離になって久遠が苦笑する。
「キスをする時は、目を閉じるものですわよ」
 言われてすぐに瞳を閉じると、一秒後には、久遠の口唇が琴葉のそれに触れた。
「…ん」
 静かに触れた後、反射的に離れようとする琴葉の口唇を追いかけるように口唇を重ねる。
 そのまま角度を変えて、もう一度口付ける。
 生まれて初めてのキスは、とても甘い味がした。
 微かに紅茶の残り香を感じながら、琴葉はされるがままになる。
「…ん…ふ…」
「ん、ぁ…」
 柔らかな琴葉の口唇から、アルコールが仄かに匂い、それで自分も酔ってしまったような感覚。
 それとも、琴葉の口唇に酔っているのだろうか。
 舌で口を割り開き、紅い舌が琴葉の中に入っていく。
 熱い口内を舌で味わうように、深くなる口付け。
 重なり合った色彩から、淫らな水音が零れ始める。
「んぁ…はっ…ん…」
「ぁ…んむ…ん…ちゅ…」
 呼吸をするのも忘れて、互いの口唇を求め合う。
 久遠は、琴葉の口内に溜まった唾液を吸い上げ、自分のそれと交じり合わせて嚥下する。
 ゴクリ、と言う音が、琴葉の耳にやけに大きく聴こえた。
 やがて息苦しさを感じ、やっとで二人の口唇は離れていった。
 酸欠からくるものか、琴葉の頭は益々ぼんやりしていた。
「…はぁ…ん…はぁ…」
「はぁ…っは…」
 乱れる呼吸はどちらのものか。
 久遠は琴葉の身体に触れていた手を再び動かし、汗ばんできた肌に舌を這わせた。
「んぁっ!」
 身体の中心から発せられる熱に抗えず、琴葉は無意識に声を上げた。
 久遠は上から降り注がれる嬌声に満足げな笑みを浮かべ、脇腹を揉むように撫でた。
「…っ…」
 そのまま手を下降させ、スカートのホックを外し、腰を浮かせて剥ぎ取っていく。
 白いショーツが目に映ると、久遠は思わず、可愛い、と呟いた。
 久遠は琴葉をソファーに膝で立たせて、最後の一枚を脱がしていく。

 
169 :素晴らしく冴えた計画・7:2006/04/15(土) 00:39:23 ID:babUYGmo
 明るい部屋に、琴葉の裸体が眩しく映える。
 下から上へと視線を巡らせ、綺麗な肢体を眺めていると、琴葉は片手を使って久遠の瞳を隠した。
「…琴葉、これじゃあ何も見えませんわよ?」
「あ、あまり…見ないで下さいっ…!」
 自分の身体だけ丸裸にされて、琴葉は羞恥心でいっぱいだ。
 琴葉は顔を真っ赤にして俯いた。
 両目を覆う手を剥がし、久遠は琴葉の脚の間に手を入れた。
「っ!?…あ、やっ!」
 股間の中心をそっと撫でると、微かに粘着質を含んだ水音がした。
「…濡れてますわね…」
 秘所の割れ目をなぞるように動かすと、零れていた愛液が指に絡まる。
「あ…やっ…ふ、かいちょ…!」
「嫌?何が嫌なの?ちゃんと言わないと分かりませんわよ、琴葉?」
「ん、あぁ…や、ら…!」
 意地悪な問い掛けに、呂律の回らない舌が邪魔して、上手く伝える事が出来ない。
 膝立ちになっている為に、脚を閉じる事も叶わず、身体は益々開かれていく。
 経験した事もない快感に抗うように、琴葉は必死に声を押し殺した。
「ふ…う、ん…」
 久遠は秘所を攻める指を速め、強弱をつけるようなストロークを繰り返す。
 愛液を纏った指が滑り、指先が僅かに膣に入ると、琴葉は背中を反らした。
「っあ、ぅ…!」
 痺れるような刺激に膝が震え、その振動でソファーが軋む。
 久遠は琴葉の反応を見ながら、ゆっくりと、焦らすように指を動かす。
 すると、その指を追うように、琴葉の腰が微かに揺れた。
 そっと中指の先端を膣口に添えて、第一関節を小刻みに動かして、微かな振動を与えると、ヌルリとした体液が溢れ出す。
「…はぁ…は…あ…」
 上を見上げると、悩ましげな琴葉の顔が目に映る。
 涙を浮かべて潤んだ瞳。
 経験がなくとも、すっかり快楽の虜になったようだ。
 一種の支配欲にも似た感情が満たされ、久遠の口角が僅かに上がる。
「…どうして欲しいの?」
 久遠の質問に、琴葉は何も答えない。
 真っ赤な顔で、無言で久遠を見つめるだけだった。
 瞬きをした拍子に、目尻に溜まった涙が一粒、頬を流れると、久遠は空いた左手で琴葉の腰を掴んだ。
 これ以上虐めたら、もっと泣いてしまうだろう。
 少し不満な点もあるけれど、今は琴葉を満足させる事を優先させた。

 
170 :素晴らしく冴えた計画・8:2006/04/15(土) 00:42:25 ID:babUYGmo

 膣口に中指をあてがったまま、掴んだ腰をゆっくりと沈める。
「ふ、ぁっ!…あぁ…!」
 淫靡な水音を立てながら、指が徐々に琴葉の中に入っていく。
「いっ…ぁ、ぅぐ…」
 内壁は初めての侵入者を拒むように閉ざすような動きをみせる。
 姿勢は先程のように、久遠の膝に乗る体勢に戻った。
 完全に中指が膣に埋まり、肉壁に締め付けられる痛みと、高鳴る鼓動の速さを感じていた。
「…痛い?」
 優しい音程に、琴葉は弱々しく首を横に振った。
「…あ…は、ぁ…」
 身体の奥の異物感に慣れ始め、呼吸を整えようとする琴葉。
 その呼吸に合わせるように、 優しく指を動かしていく。
「うっ、あ…!…ん…や…!」
 膣に浅く、深く出し入れを繰り返し、膣に溜まった愛液を掻き出すと、水音は更に大きくなる。
 他の指が秘所の突起に触れると、少しずつ硬くなるのが分かった。
 部屋に響く水音と、ソファーの軋む音、動物のような息遣いが、まるで一つの音楽のように奏でられる。
 厭らしい体液を塗し、滑りの良くなった指で、より深い場所に挿入する。
 指が激しく動く毎に、膣がひくひくと痙攣する。
「気持ちいい、琴葉?」
「あ、う…そ、んな…わ、かんなっ…!」
 口から熱い息を吐き出しながら、琴葉は頭が真っ白になりそうだった。
「は、ん…ん、ぁ…あぁ!」
「もっと甘えていいんですのよ」
 最早、甘えると言う行為ではないだろう。
 それでも琴葉はその言葉を聴いて、強く久遠を抱き締める。
「あ、あ…ふ…かい、ちょ…!」
「…こんな時は、名前で呼んで欲しいですわ」
「ぅんっ、く、ぁ…く、おん、さ…」
 吐息に途切れる言葉を必死に紡いで、琴葉は久遠の名前をよんだ。
「んぁ…久遠、さ…おんさん…!」
 小さな声で、琴葉は何度も久遠を呼んだ。
 名前を紡がれる度に、久遠の心の中で、不思議な気持ちが溢れてくる。
 湧き上がる優しい気持ちを、きっと愛しいと言うのだろう。
 久遠は微笑みを浮かべて、琴葉の耳元に口唇を寄せた。
「もっと、呼んで…」
 そのまま耳朶を甘噛みし、舌で耳の後ろを舐め上げる。
「ん、あぁっ!ふ、くお、ん…さん、あ、はぁっ!やぁ…!」
 今までで一番高い声。息は益々荒くなり、出てくる言葉は最早意味すら持たない。
 乱れ狂う琴葉の姿に、久遠も興奮を覚えていく。
「あぁ…とても可愛いですわよ、琴葉…」
「あっ!ん…くぅ…はぁっ…あぁ…んぁ、あ、あ!」
 喘ぐ声の感覚が短くなって、久遠は琴葉の限界が近い事が分かった。
 

171 :素晴らしく冴えた計画・9:2006/04/15(土) 00:44:10 ID:babUYGmo


 久遠は琴葉の中に入れる指の数を増やし、三つの指を不規則に動かした。
 膣を激しく掻き乱されて、琴葉の声も大きくなる。
 嬌声を抑える術はもう、ない。
 与えられる強い快感を、琴葉は受け入れる事しか出来なかった。
「あぁッ!は、あ…ふ…ん、んぁッ!や…!」
「嫌ならここで止めますわよ?」
「やぁっ!や、ら…らめ…やめ、ちゃ…ん…やっ!」
「うふふふ…我儘ですわね…琴葉は」
 揺れる腰を押さえ付けて、久遠は掌で陰核を覆った。
 勃起した陰核を掌で刺激を加えて、琴葉を絶頂へと導いていく。
「あぁっ!!あ、ん、あ…やぁっ!は、あ、あ、んッ!」
「琴葉…琴葉…」
「あ、あ、ん、はぁ、あぁッ!ん、ぅ、あ、あぁぁッ!!」
 頤を上げ、白い咽喉を後ろに大きく反らし、琴葉は絶頂に達した。
 強く指を締め付ける肉壁の力が弱まったのを見計らって、久遠は指を引き抜いた。
「ん、あ…はぁ…はぁ…」
 熱い息を吐く口許に、透明な唾液が垂れている。
 久遠はそれを舌で舐めながら、琴葉の口唇をなぞるように舌を這わした。
「…はぁ…は…あ、ん…」
 口唇同士を触れ合わせると、琴葉も舌を伸ばし、久遠の口唇を味わった。
 身体に力が入らずに、琴葉は久遠に寄り掛かる。
 抱き締めていた腕は力なく垂れ下がり、未だに荒い呼吸を整えようと意識する。
 背中を擦りながら、琴葉を抱き締めると、二人の汗の匂いが鼻腔を掠める。
 久遠は琴葉の愛液が付着した指を躊躇無く口に入れ、味わいながら、その全てを綺麗に舐め取ろうとする。
 目の前で行われる久遠の行為に、琴葉の顔が再び羞恥に染まる。
「…あ…く、久遠さん…」
 自分の体液を舐められて、汚いと思う反面、どこか嬉しくて、琴葉は複雑な表情をした。
「とても美味しいですわよ…琴葉の…」
 妖艶に揺れる瞳に、琴葉の頭はおかしくなりそうだった。
 久遠は琴葉の瞳を見つめながら、わざと音を立てる。
 濡れていく久遠の口唇に、琴葉の欲情が高ぶっていく。
「…久遠、さん…」
 一度だけ名前を囁いて、琴葉は両手を久遠の胸元に伸ばした。
 淡い水色のシャツの釦を、震える指で一つずつ外していく。
 拙い琴葉の指先の動きに、久遠は笑顔を浮かべ、それを黙って見つめていた。
 少しずつ肌蹴る衣の隙間から、久遠の素肌が現れる。
 透き通るような綺麗な肌に指が触れると、久遠の身体が小さく反応する。
「…久遠さん…」
 服を左右に開きながら、窺う様な視線を送る。
 琴葉の気持ちを掬い上げるように、久遠は頷いた。
「いいですわよ…触って…琴葉…」


172 :素晴らしく冴えた計画・10:2006/04/15(土) 00:45:36 ID:babUYGmo


 久遠の言葉が耳に届いてから、琴葉は右手で豊かな胸に触れた。
「ん…」
 吐息混じりの籠もった声が、久遠の口許から漏れた。
 黒い下着の硬い生地の上から、優しい力で揉んでいく。
 生地越しからでも、久遠の乳房の柔らかい感触が掌に伝わってくる。
 握るように指を動かし、掌全体を使って揺さぶる。
 熱に浮かされ続ける思考の中で、先程久遠にされた事を思い出しながら、琴葉は手を動かした。
 親指で下着を上にずらし、触れていた久遠の左の乳房に直に触れた。
 しっとりと汗ばむ肌に、掌が張り付いていく。
 五本の指を這わせながら、少しずつ中心に近づけさせる。
 淡い桃色の突起に触れると、久遠の身体が微かに震えた。
 急所を見つけた琴葉は、その場所に顔を寄せ、ふっと息を吹き掛けた。
 そして、舌を伸ばしてその突起をぺろりと舐め取る。
 そのまま舌先で、おずおずと触れていく。
「…はぁ…ん…」
 不慣れな琴葉の愛撫に、久遠はもどかしさを感じ、僅かに身を捩る。
 唾液で濡れた乳首を口唇で挟み、ちゅっ、と音を立てて吸う。
 豊かな白い乳房に顔を埋めて、子供のように乳首を吸い込む。
「…ん…ん、んむ…」
「…ん…まるで、赤ちゃんみたいですわね…」
 久遠は、母親の母乳を求める赤ん坊のように乳首を咥える琴葉の頭をそっと撫でた。
 拙い琴葉の愛撫だったが、少しずつ、けれど確実に久遠に快感を与えていた。
 その証拠とでも言うように、久遠は背中をソファーの背から浮かし、自ら乳房を琴葉に押し付けるように姿勢を変えた。
 すぐ傍にある久遠の表情は紅潮し、呼吸は不規則に乱れていった。
 性的な知識の乏しい琴葉でも、自分は久遠に快感を与えられてると分かり、琴葉は少し嬉しくなる。
 そして、もっと気持ちよくなってもらおうと、口の中で硬くしこる乳首を吸い、舌で扱く。
「ん、あぁ…はぁ…」
 髪を撫でていた手が、少し乱暴になる。
 小さな琴葉の頭を掴むように、今度は両手で抱き締める。
 片方の乳首をしゃぶったままに、もう片方の乳房にも刺激を与えようと手を伸ばす。
 すると、右の乳房にはまだ触れてもいないのに、先端はその存在を主張していた。
 親指と人差し指で乳首を摘まみ、残りの指と掌で乳房全体を揉み解す。
「あ…ん…ぁ…いいですわ…琴葉…」
 異なる刺激が同時に与えられ、久遠の口からは嬌声が零れる。
「あ…ことは…ん…そこ…」
 気持ちのいい場所を示されて、琴葉はそのまま強く吸い上げた。
「いっ!」
「あ、す、すみませんっ!」
 強く吸った弾みで、乳首を軽く噛んでしまい、琴葉は慌てて口を離した。
 狼狽する琴葉を安心させるように微笑んだ。
「大丈夫…続けて…?」
 両手で琴葉の顔を挟んで、鼻先にそっと口付けた。

173 :素晴らしく冴えた計画・11:2006/04/15(土) 00:46:37 ID:babUYGmo

 噛んでしまった場所を、癒すように舌で舐め上げる。
 軽く歯で乳首を挟み、優しく吸い上げ、舌で扱く。
 久遠の悩ましげな吐息に身を震わせながら、懸命に乳房を愛撫する。
「あぁ…ん…はぅ…」
 一度口唇を離し、充血して尖った先端を、琴葉はうっとりとした気持ちで眺めてから、舌で転がすように嬲った。
「ん…あ…もう…ダメ…」
 疼く身体の震えを抑えながら、久遠は琴葉を抱き締めた。
 琴葉の肩口に顔を埋め、そのままスペースの広い自分の右側に傾いて、琴葉をソファーに組み敷いた。
「く、久遠さん?」
 突然の行動に、半ば混乱する琴葉。
 そんな琴葉を構う余裕すら無くした久遠は、乱れた服をそのままに、スカートの中に手を差し入れてショーツだけを脱ぎ捨てた。
 全部脱ぐのももどかしく、片方の足に引っ掛けたまま、久遠は琴葉の脚を開かせる。
「っ!?あ、久遠さ、ん?」
 久遠もまた、脚を開き、互いの脚を交差させ、十字路のように絡ませた。
 腰を下ろすと、互いの秘所が重なり合う。
 まだ潤いを保つ琴葉の秘部に、久遠の愛液が滴り落ちる。
「あ、つっい…」
 久遠の熱い愛液を肌で感じ、琴葉は思わず声を上げる。
「…は…はぁ…こと、は…」
 僅かに身体を屈めると、二人の身体がぴったりと重なり合う。
「あぁ…あ…く、おん…さ…」
 琴葉は左手を伸ばすと、同じように近付いた久遠の右手を掴み、そっとその手を繋いだ。
 もう片方の手で互いの身体を抱き締め、口唇を深く重ねた。
「んぁ…ん…む…」
 口唇と舌で求め合いながら、久遠はゆっくりと身体を動かした。
 膣同士が、陰核同士が擦り合い、ぐちゅぐちゅとした大きな水音が、部屋中に響き渡る。
 強い快感と、愛液が混ざり合う音が、二人の性的な欲望を満たしていく。
「あぁ、んぁッ!あ、ぅ、はぁっ!」
「あぁ…あ!…ん…琴葉…あ…すご…いっ!」
 情欲した獣のように激しく腰を振り、ソファーがギシギシと軋む。
 襲い掛かる快感の波に、互いの姿がはぐれないように、繋いだ手の指を絡めた。
 ヒクヒクと膣が痙攣し、愛液は絶えず分泌をし続ける。
「んっあ、は…も、あ…や…あ、ん、あぁッ!」
「あんッ!あ…わたし、も…もぅ…あぁっこと、は!い、一緒にッ…!」
 限界が近付き、二人で高みに昇ろうと、更に激しく腰を振ると、潰し合う陰核が、二人に強い刺激を与えた。
「あ、ん、あ、あぁッ、ぅ、あ、あぁぁぁぁッ!!」
「はぁッあ、ん、あ、あっ、んぁあぁぁぁッ!!」
 爪先から脳天をかけて電流のような快感が走り、二人は同時に絶頂に達した。
 心も身体も溶け合うような幸福感に包まれて、二人はどちらとも無く口付けを交わした。
 荒い息を吐き、痙攣する身体を横たえたまま、琴葉の意識は白く染まっていった。
 

174 :素晴らしく冴えた計画・12:2006/04/15(土) 00:48:10 ID:babUYGmo

 それから、どれ位の時間が過ぎただろう。
 シーツに包まりながら目を覚ました琴葉の瞳には、見慣れない天井が映し出された。
「…あ、れ…?」
 体勢を変えずに窓の方に目を向けると、閉ざされたカーテンの隙間から、茜色に染まる空が見えた。
「…夕方?……痛っ!?」
 時間の経過に驚いて、反射的に起き上がると、頭に強い衝撃が走った。
 咄嗟に頭を押さえると、掛けられていたシーツが捲り上がり、自分の裸体が視界に入った。
「……っ!?」
 慌ててシーツを拾い上げ、さらさらとした布で身体を隠す。顔が一気に真っ赤になった。
「な、何故、私はこんな格好を…っ!?」
 必死になって思い出そうとするが、痛みが邪魔をして、何も思い出せない。
「お、落ち着け!確か私は、副会長に呼ばれて…それから…?」
 久遠に呼ばれ、この部屋に来た後の事を思い出せない。
 混乱する中、必死に今の状況を冷静に分析しようとするが、鈍る身体に残った疲労感しか分からない。
「こ、これはどういう事だ!?一体、私は何を…?」
「あら、目が覚めましたの?」
「副会長!!」
 扉の向こうから現れた、バスローブ姿の久遠を見て、琴葉は思わず叫んでしまった。
 シャワーを浴びていたのだろうか。久遠は濡れた髪を掻き上げながら、ゆっくりと琴葉に近付いた。
「ふ、副会長!これは、一体!?」
 自分の身に何が起きたのかを訊ねると、久遠は悲しげな表情を見せた。
「…何も、憶えていないんですの?」
「ふぇ?」
「酷いですわっ!二人であんなに激しく愛し合いましたのに…!」
「は?」
 久遠は自分の身体を抱き締め、大袈裟なリアクションを起こした。
「愛してるって何度も言ってくれたのに、あれは全部嘘だったんですのね!?」
「あ、あの…副会長…?」
「行為の最中は、ずっと久遠、って呼んでくれたのに…!」
 久遠の言葉と、今の二人の状況から推理を広げ、まさかと思いつつも、琴葉は事実を確かめようと勇気を出した。
「……ま、まさか…そ、その…私は、ふ、副会長…と…?」
「えぇ、しましたわよ。エッチ」
「――ッ!!!?」
 身体中の血液が、一斉に沸騰し、琴葉の身体がこれ以上無いという程、朱に染まる。
 まったく何も憶えておらず、思い出そうとすると頭痛がした。
「え?え?え?」
 痛む頭を押さえる琴葉の隣りに歩み寄り、混乱する姿を見下ろしながら、久遠は口を開いた。
「ですから、責任取って頂けますわね?」
「せ、責任?」
「えぇ。責任を取って、私の恋人になって頂きますわ」
 そう言って久遠はしゃがみ、琴葉にそっと口付けた。
 久遠の口唇が触れて、その感触にどこか憶えのある琴葉は、久遠の言葉が真実だと思い知った。
「…なって頂けますわよね?」
「…あ……は、はい」
 未だに混乱しながらも、琴葉は久遠の言葉に頷いた。
 事情は後で思い出す事にして、今は久遠の言葉に従おう。
 どんな経緯があったにしろ、久遠の恋人になれるなら、今はどうでもいい、と琴葉は思った。

 全ては久遠の計画の一つにしか過ぎない事を、この時の琴葉は、まだ何も知らなかった……。