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554 :奈々穂×まゆら 百合(1/4) :2006/02/11(土) 13:27:11 ID:5MAblAaB
視線が交差し、空をさまよう。見つめた先の天井に見つけた染みの跡。
他愛のない、些細なことばかりに目がいく。いや、意図的にそうしているのかもしれない。
心の中にたまったもやを払うには、心を無にするしかなかった。
定時報告を告げる生徒会メンバーの声が、耳を通りすぎていく。
一方では、滝のように脳裏を流れる言葉が、まゆらの頭を揺らしてやまない。
嫌な汗が額ににじみ、喉元がつかえるのをくっとこらえた。
「・・・どうしよう・・・」
何度目かのため息。
細かな数字の羅列を目で追いかけながら、赤い罫線を引く。
「収入・支出」と書かれた枠をかこみながら、ペン先が紙の繊維にひっかかって滲んだ。

『奈々穂さん、かわいい・・・』

「っ!!」
ボキッ、と音がして思わず身を引く。
気づけば、赤い滲みはインクだまりを作っていた。
「・・・何やってるんだろう、私」
既に先端が折れ、使えそうにないボールペンを前にして、小さくため息をついた。


「まゆら先輩〜、どうしたんですかぁ?」
会議後になって、りのが駆け寄ってくる。
「とことこ」と擬音が聞こえそうな小走りで。
「え・・・なに、りの?」
「いえ、いつになく静かだったから・・・」
『つーか、"予算がない〜"っていうお決まりの言葉がなかったもんなぁ』
すかさず入るプッチャンの苦言に、つい顔をしかめた。
「別に、いつも予算がないわけじゃないわよ。・・・でもありがとね、りの」
「え?」
「心配してくれたんでしょ? 私なら、大丈夫だからね」
微笑みかけると、りのの顔がみるみるほころんでいく。
花びらが咲くようだ、と思った。
「まゆら先輩・・・分かりましたぁ!でもっ、何かあったら相談してくださいね!」
『りのに解決できるといいけどな』
「むー〜・・・ひどいよぉプッチャン!」

555 :奈々穂×まゆら 百合(1/4) :2006/02/11(土) 13:28:32 ID:5MAblAaB
(・・・・・・って、言えるわけないじゃない! あんなことっ!)

先日の一件からすでに数日。
あの時の自分は本当に自分だったのか、定かではない。
偶然町で出会った奈々穂をカラオケに誘い、アイドルの歌を熱唱。
はしゃぎあい、盛り上がるうちに、無意識のうちに奈々穂を羽交い締めにしていた。
そしてあろうことか、貞操を奪うような真似をしたのだから。
普段ならば失わないはずの理性を、あっさりと奪い去った密室での一時間。
その原因は自分でも分からない。
ただ奈々穂のことを可愛いと、抱きしめたいと、疚しい思いを持ったのは事実。
そしてその後悔が、数日してから現れたのだった。
甘く誘うようなあの時の自分の声が、頭の中でリバウンドし、ハウリングし、どうあがいても離れない。
指先を濡らしたあの感触も、息もつけないほどの熱気も、全てがはっきりと残っていた。
そして止まない胸の動悸がなにより痛い。
(こんな状態で、どんな顔して逢えばいいのよぉ・・・)



「まゆら。ちょっと話があるんだが」
「・・・奈々穂さん」
「今、いいか?」
放課後、人もまばらになりだした頃。
まゆらの目の前に、一番逢いたくなかった彼女が現れた。
同級生とはいえ、二人が個人的に会話を交わすことはあまりない。所属も違い、クラスも違うからだ。
この数日は、むしろそれが隠れ蓑になっていたのだが。
とはいえ、いつまでも現状を維持できるはずもない。
どんな非難を受けるのだろうか。胃の痛みを感じながら、まゆらは廊下に出た。
「おまえに手紙が来ていたんだ」
「へっ?」
予想だにしない普通の発言だった。
「なんだ、心外そうな顔をして」
髪を何度も掻き分けながら、それを受け取った。
「あ、いえ別に・・・だ、だれからなんですか?」
「まあ、読めば分かるさ」
訝しい。そう想いながらも、まゆらは皺の多い封書を開いた。
そこに書かれていた内容を目で追う。
「拝啓、市川まゆら様・・・」


『史門からいつも話は聞いていました。生徒会の財政を一手に担う、会計であらせられるまゆらさん。
君の瞳を見つめていたい、君の使う帳簿で殴られたい、 つーかとにかくハァハァ』



556 :奈々穂×まゆら 百合(1/4) :2006/02/11(土) 13:31:55 ID:5MAblAaB
以下、同じような文体が延々と、何枚にもわたって綴られる。
「・・・なんですかこの適当で低俗な手紙」
「例の、栗栖史門絡みなんだがな・・・周りにもお前の事を吹聴していたらしい。都合のいい事ばかり言っていたそうだ」
「ぁぁ・・・あの人ですか」
以前まゆらの友人につきまとい、仲裁に入ったまゆらにもちょっかいをかけた曲者、栗栖史門。
軟派で低俗、生徒会にも接近しようとした四門に、極上一同、直々に制裁を加えたのはつい最近。
以来彼は決してまゆらに連絡をとることもなく、友人とも別れたという。
「類は友を呼ぶ、ってやつですかね。・・・この人、学園に押しかけてきたんですか?」
「いや。今のところはその手紙だけだ。ただ、奴の友人である以上、警戒すべきだ」
身の危険もありかねない、と付け加えた奈々穂に、まゆらはため息で返事をかえす。
「・・・正直言うと、もう史門くんに関わりたくはないです。でも、こんなアホが訪ねてきて放置しておくのも嫌です。
・・・あーっ、もう! どうしたらいいのよぉ」
「そこで、一つ提案がある」
「え?? なんですか?」
「演技をするんだ。こいつが訪ねてきた時、まゆらには恋人がいる、と見せかける。それなら奴も諦める」
「ハァ・・・そうでしょうか? 大体誰が恋人になるんでしょうか」
「私だ」

・・・・・・小1時間ほど時が止まるように思えた。
「はぁっ!? な、なななっ、なななな!??!?」
「奈々穂だ」
「いや、そーじゃなくって! なんで奈々穂さんが、私の恋人になるんですかぁ!?」
「ふ、ふりだと言っているだろう! こういうものは適材適所なんだ!」
「た、たしかに。ってちがーう! それじゃあ奈々穂さんも危険じゃないですか!」
「そんなこと分かっている。・・・ただ、やりきれないんだ!」
「え?」
まゆらは顔を上げて奈々穂を見る。
「・・・・・おまえを守れなかった」
奈々穂の瞳が淡く揺れている。
「私の栗栖への対応が不充分であったから、このような手紙が来たのだ。
極上はまだ舐められている。だから私たちの恋人ぶりを見せつけて、追いかえしてやろう」
「・・・・・・それ、だれに入れ智恵されました?」


557 :奈々穂×まゆら 百合(4/4) :2006/02/11(土) 13:34:05 ID:5MAblAaB
兎にも角にも、二人は『恋人』を演じることになった。
だが、片や会計予算一筋、片や生真面目一筋の少女二人にとって、「恋愛」は到底扱いづらい。
強気に宣言したとはいえ、若葉マークの初心者なのである。
「しかし、恋人とはいえ、何をすればいいのか」
「ドラマなんかでは・・・腕組んだり、抱き合ったり、・・・あと、キス、とか・・・あるいは、それ以上。とか」
言いながら、恥ずかしそうに顔を俯けるまゆら。
「そ、そうか・・・なら、そうするのがいいんだろうな」
奈々穂も口元に手を当てて、何か困惑した表情を浮かべていた。
やはり恥ずかしいのだろうか、と思うと、まゆらも苦笑するしかない。
「わ、わかりました。じゃあ、特訓しましょう!」
拳を握り、息を呑む。その時、以前までの臆病な動悸は消えていた。
「ン・・・では、やるとするか」
奈々穂がそっと、腕を前に回した。
「ひゃっ!? ちょ、ななほさん!?」
突然の衝撃に抗議するが、奈々穂は辞さない。
「ち、ちょっと黙っていろっ」
「は! はいっ」
そのまま、まゆらの胸のあたりに腕が押し込まれる。そして交差し、身体を持ち上げるように抱き寄せた。
「あ、あの・・・奈々穂さん。これ、って・・・恋人同士でやることじゃないんですか」
「だから・・・やったんじゃないか」
柔らかな腕にはさまれて、胸元が抑えつけられる。
身体の内から熱を灯されたように、だんだんと脈拍が上がっていく。
手のひらが熱い。
少し骨ばんで、それでも当然柔らかい手の感触が、痛いくらいに伝わる。
「でででもっ・・・演技なんですよね? こんな、ことっ・・・」
後ろを振り向いて、まゆらは息を呑んだ。
奈々穂の顔は驚くほどに真っ赤で、まゆらの瞳を直ぐに見据えていた。
それが何かを訴えるようで、目が離せない。
「奈々穂さん・・・」
ひたいをかきあげ、奈々穂が小さく口付ける。
数日前と同じぎこちなさで、唇が肌に触れた。逆にそれが心地よかった。
「ぁ・・・」
もれた吐息が熱く感じる。
「ぁ、うぁ・・・んっ!」
もう一度キスを、今度は頬に受ける。
「まゆら・・・お前が好きだ」

それも、演技なのか。不意にそんなことを考え、頬が熱さを増していく。
だが、断る理由などない。

「私も・・・好き、です。奈々穂さんが」
かみ締めながら声にすると、自分自身、上唇が震えているのに気づいた。
字面で見ればたったの二文字。それが声にすれば、焼けつくほどの熱さをして、身を焦がす。
これが恋人同士というならば、永遠に手紙の主が来なくてもいいとさえ思った。
そうすればいつまでも奈々穂と一緒に居られる。奈々穂の傍に居られるのだから。
あるいは、奏すらも超えて、傍に?  そこまで考えてまゆらは自嘲気味に笑った。
自分らしくもない、と自戒しながらも、まゆらの熱は冷めなかった。

つづく

673 :ちー ◆Hv5XuDAMuo :2006/02/26(日) 22:45:32 ID:8K3y39f0

やっぱり投下してみます。

「まゆら・・・」
奈々穂の指がまゆらのリボンを解き、シャツの中に這うようにして忍びこむ。
「んっ・・・くぅっ・・・」
息を潜めて、そのくすぐったさに耐えた。妙な声が出てしまう。
奈々穂は乳房を押し上げて突起に触れる。
「ひぁっ、何ッ!? 奈々穂さん、なにしてるんですかぁっ」
「なっ・・・! これが恋人なんだろう? 先日、おまえが私にしたように」
その言葉に顔面蒼白、まゆらは顔を蒼くした。
「・・・・・・やっぱり、根にもってたんですね、この前のこと」
「そんなことはない。ただ、嬉しかったんだ。・・・あの日から、おまえの事ばかり考えていた。
もっとおまえと一緒にいたいと思う。・・・これが恋だろうか」
かみ締めるような一言ひとことが深く突き刺さる。
だが、次の瞬間あっさりと崩れ落ちた。
「・・・だから不本意ではあるが、少々謀らせてもらった」
「謀った・・・? っって、じゃあこの手紙は・・・!」
「ああ、自作自演だ」
最も文章を書いたのは別人だがな、と付け加える。
まゆらは世界が終わるように、目の前が暗転していくのを感じた。
宮神学園の予算1年分をわずか1分で使い果たされたような、そんな絶望が襲来する。
「続けよう、まゆら」
何事もなかったかのごとく、奈々穂はまた胸に触れた。快感の波が再び始まる。
「ちょ・・・! 奈々穂さ、んっ、ハァっ…!」
「まゆら、どうした? 震えてるぞ」
天然だ、絶対。その予感が次の瞬間確信に変わった。
「イヤならやめるか」
奈々穂はまゆらの中心に触れずに、固くなった乳房を掴んでこね回す。
最初は乱暴に、次第に壊れ物を取り扱うように。
だが焦らすだけの手つきが物足りなく、イライラが募った。
今ここで、イエスと答えるわけはない。
「どうした? 先日はあんなに乗り気だったじゃないか」
「だって・・・よく考えたら恥ずかしいじゃないですか! あ、あんなこと」
今でも過ぎる、あの日の自分の挙動と言動。それらを思い出し、まゆらは語尾をにごらせた。
だが、奈々穂は微笑を返してまゆらを抱きしめた。
「確かに、あの時は戸惑ったが・・・今では、嬉しいんだ。同じ二期生とはいえ、私たちはあまり
接したことがないだろう? だから、もっとまゆらのことを知りたいんだ。
それとも・・・お前は私とするのが嫌か?」
優しく、だが確かに、しっかりと。奈々穂の指が、まゆらの身体を捕らえている。
心臓の音がはっきりと耳元に迫り、喉元まで込み上げる何かがこらえ切れない。
今ここで、ノーと答える選択肢など、ある訳がない。
「・・・イヤじゃないです! でもっ、そんな自分がイヤなんですぅ〜!!」
まゆらは奈々穂の手をとると、ぎゅっと自分のほうへ引き寄せる。
「しましょう・・・いえ、したいんです、奈々穂さんと。こ、こういうことを」
はにかみながら、目線を合わせた。
「・・・・・・ありがとう」

674 :奈々穂×まゆら 2/3 :2006/02/26(日) 22:47:50 ID:8K3y39f0
奈々穂はまゆらを壁際に押しつけると、スカートのホックをずり下げ、既に染みついた下着に触れた。
「ぁあ・・・こんなに」
冷静な声が、僅かに震えているように思われた。奈々穂は指を割れ目に挿し入れる。
布越しといえど、陰毛に覆われた核には感覚がよくつたわってくる。
そのまま指を動かす。ぐちゅ、ぐちゅと響く淫猥な擬音に、まゆらは思わずいやいやをした。
「やっ、あんっ・・・やだ、あつい・・・」
「へ、変な声を出すな・・・」
まゆらはうっすらと目を開けて、熱っぽい身体をゆすった。
自身から溢れたものが滴っていくのを、ただ呆然として見つめる。
奈々穂の指先が、濡れて浮きだつまゆらの割れ目をなぞり、液体をすくいあげて垂らしていく。
「んっ・・・ん、ぁはぁっ!」
ビクン、と太ももが震えた。内側から断続的に押し寄せる波が、胸の辺りでうごめいていた。
奈々穂はその下肢をやんわりと撫でながら、唇を胸元へ寄せる。
そして紅色に染まった乳首を舌で絡めとり、粘液を擦りつけた。
あの時、まゆらがしたことを、今度はされている。その現実、その恥辱。
「まゆら、その・・・脚を開いてくれないか」
言われるがままに下肢を開くと、粘液が零れ落ちて溜りを作っていく。
奈々穂はその中心に指を押し当てると、滑り気を探り、指の腹でなぞった。
「んぁあっ!」
走る戦慄に身がしなり、はしたなく声が漏れる。
「あ・・・まゆらぁ・・・気持ちいいか?」
「んっ・・・いいですぅ・・・ん、ぁぁっ!」
しかし奈々穂は休むことなく、指を動かしていく。
第二関節が襞に触れる。粘った感触が絡みついて、爪の中までも満たしていく。
まゆらも身体をすり寄せて、奈々穂に小さくキスをした。
そして、腕を自然と絡ませる。
唾液の垂れた舌を合わせて、吐息を、心臓の鼓動を直に感じていた。
「は・・・ぁ・・・んっ」
奈々穂のこめかみがピクリと動く。そして、少し戸惑ったように、おずおずと舌を絡ませた。
ピチュ・・・ピチュと歯列をなぞり、お互い指を何度も絡ませあう。
それは存在の確認であると同時に、愛しさをかみ締めるための自然な衝動だった。
特別な理由などなく、ただ傍で、ぬくもりを感じていたい。その想いが衝動となる。
甘く長いキスの果てに、まゆらは奈々穂の胸元に舌を寄せた。
はだけたシャツからのぞく鎖骨、そのラインの延長上に在る隆起が、赤みを帯びて震えていた。
「やっぱり・・・奈々穂さん、かわいい」
「っ・・・まゆら・・・」
乳首を指のはらで擦りあげる。証を刻み込むように爪を立て、舌の上で転がした。
「あっ、ふぁぁっんっ! あぁっ!」
身体が大きくのけぞって、奈々穂自身も嬌声を上げた。汗ばんだシャツが肌に張り付き、呼吸の度擦れる。
「奈々穂さんも、脚、開いてください・・・一緒に、気持ちよくなりましょう?」
その誘いに、奈々穂は、苦笑がちに身体を許した。
奈々穂のほうも、下着の隙間から愛液が零れ落ちてきている。
張り付いた薄布の隙間に手を入れ、まゆらは陰核をすくいあげる。
「ひゃっ!」
退きそうになる奈々穂の身体を押さえつけて、そのまま秘所に舌をつける。
襞を指で広げて、溢れる蜜を絡めとって口にふくんだ。
「ぁっ・・・まゆらっ、ぁ・・・! ぁぁぁっ!」
「奈々穂さんったら、そんな声出さないでくださいよぉ! は、恥ずかしい・・・」
「おっ・・・お前もなっ・・・」
言うやいなや、奈々穂はまゆらの秘所にも手をやる。同じように、音を立てて指を入れた。
「やっっ! うぅ・・・そんないきなりっ・・・」
ぐちゅぐちゅぐちゅ・・・とお互いをすり合う音、荒い息遣い。
「わ、私たち・・・すっごく、いけないことしてますよね・・・」
「ぁ、ああ・・・全くだな・・・っ。でも、・・・悪くない」

675 :奈々穂×まゆら 2/3 :2006/02/26(日) 22:49:06 ID:8K3y39f0
ふふ、と笑いあう。
奈々穂は、まゆらの前髪を留めるピンを外し、額に口付けを落とした。
「・・・・・・好きだ」
囁いた声は静かな空間に響いて、互いの胸を熱くしてやまない。
「好き・・・です」
短く答え、この言葉の持つ意味を思い、気恥ずかしさに俯く。
たらたらとこぼれる液体を擦り付けるように、身体をあわせた。
にちゅり、と大きくなる水音に、いっそう快感が増すのを感じる。
「あぁ、ぁ〜っっ! 奈々穂さんっ・・・もっと、もっと、ほしいよぉっ・・・!」
「まゆらっ・・・私も・・・ぁ、ふぁぁ・・・っ」
ピクン、と身体の深くが震えて、限界を提示した。
それに合わせ、奈々穂はさらに腰を動かした。
次第に、宙に浮くように何かに飲み込まれていく。
このまま溶けてしまえるなら、二人で、一緒に。その想いで、まゆらは奈々穂の指をきゅっと握った。
「くぅ・・・んっ! やぁ、ぁ、ぁぁあぁぁっ!!」
握った指の熱に、互いの存在を強く確信して、二人は果てた。


「ぁあ〜! 廊下でなんて・・・廊下で如何わしいことをやるなんて・・・」
「流れだったんだ、仕方ないだろう!」
うわ言のように繰り返しながら、まゆらは涙していた。
終わってみれば、あたりに広がる夕暮れの橙も濃く。
静まり返った廊下には、二人の行為の跡だけが刻み込まれていた。
まゆらの悲嘆の最中、下校を告げるチャイムが鳴る。そして一つ、また一つ明かりが消えた。
「流れってなんですかぁ! 公共の! 学校で! だれか通ってたらどうするんですか!」
「それなら大丈夫だ。人払いをしておいたからな。代価はおやつ1週間分だ」
「・・・もう、人が信じられない」
あっさりと。簡単に。こうやっていつも、奈々穂はまゆらの訴えを交わしてしまう。
叶わないのだろうか。この人にも、極上生徒会にも。
「それなら、これから信じていけばいい。そうだろう?」
そして簡単に、固定観念を覆してしまう。
けれど、悪くはない。
「これからもよろしくな、まゆら」
差し出された手と、向けられた微笑。
見つけたただ一つの居場所は温かくて、くすぐったかった。
まゆらはぎこちなく右手を差し出す。
そのとき、ふいに思い出した、"自分たちは二期生"という事実。
思い出して、そして、言葉にした。
「…うん。よろしくね、奈々穂」
しっかりと手のひらを握って、笑顔を返した。

おわり