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473 :敏腕会計士の受難・1 :2006/01/24(火) 14:01:00 ID:lkHgqIK2

「あれ、久遠さん。こんな時間にどうしたんですか?」
 来月の予算編成の作業中、部屋の扉をノックする音がした。
 時計を見るとあと一時間足らずで明日になる頃合。こんな深夜に一体誰だろうと思いながら、私は玄関に向かった。
 扉を開いた先には、副会長の久遠さんがいて、私は少し驚いた。
 普段から夜更かしは美容の敵だと豪語する久遠さんが、こんな時間まで起きている事。
 そして何より、久遠さんは滅多に私の部屋には来ないから。
「こんな時間に申し訳ありません。実は、部屋の暖房の調子が悪くて、まゆらさんの部屋に一晩泊めていただこうと思いまして…」
 寝間着姿の久遠さんは、僅かに身体を震わせていた。
 真冬の廊下は寒い。しかも今は深夜。このまま立っていたら私の身体も冷えてしまう。
 詳しい事は中で訊く事にしよう。
「あ、取り合えず入って下さい」
 「お邪魔しますわ」と言って、久遠さんは部屋の中に入っていった。

 話を聞くと、同室の奈々穂さんは既に眠ってしまっているらしく、一人部屋の私のところにやって来たらしい。
 確かに、他のメンバーは相部屋で、一人部屋は私とシンディさん位だ。もっとも、シンディさんは普段、車の中で過ごしているから、部屋がないのとほぼ同じだ。
 消去法の選択なら納得のいく事で、私はそれを快く了承した。
「そういう事情ならいいですけど、暖房、壊れちゃったんですか?」
「え?」
「具体的にどういう状況なのかによって、修理代の計算が…」
 言いながら算盤を持ち出すと、久遠さんは少し慌てた様子でそれを遮った。
「そ、それは明日、きちんと調べますわ。もう夜も遅いですし、まゆらさんもお疲れでしょう?」
 何だかはぐらかされたような気がしたが、確かに今日はもう遅い。
 幸い、明日は土曜日。学校は休みだから、作業の続きは明日に回した方がいいかもしれない。暖房の方も、明日きちんと調べよう。
「う…ん、そうですね、明日にしましょうか」
 そう言って椅子から立ち上がり、二人で寝室に向かってから、私はある事に気付いた。
 この部屋は元々一人部屋の造りになっている。だからベッドも当然シングルサイズが一つしかない。
「…えっとぉ…」
 何となく躊躇している私を置いて、久遠さんはとっととベッドの中に入っていった。
「まゆらさん、どうしたんですの?」
 布団の中に潜り込み、我が物顔でベッドの中心に身体を横たえる久遠さん。いつの間にか手に取っていたリモコンで暖房をつけ、温度操作とタイマーをセットしていた。
 此処、一応私の部屋なんですけど…。


474 :敏腕会計士の受難・2 :2006/01/24(火) 14:02:23 ID:lkHgqIK2

「寝ないんですの?」
 何時までもベッドの前に立ち尽くす私に訝しげな視線を送る久遠さん。
 シングルサイズのベッドが一つしかないのだから、一緒に寝るのは必然になる。
 夏だったらソファーで眠る事も出来るが、こんな真冬でそんな選択肢はありえない。
「やっぱり、一緒に寝るしかないんですよね…」
 そんな私の呟きが聴こえたのか、久遠さんはクスッと笑った。
「女の子同士ですもの、何か問題でも?」
 そんな言い方をされると、自分が変な想像をしているみたいで恥ずかしくなる。
「な、何もありませんけど…」
「なら、早くなさって、まゆらさん。布団が冷たくなってしまいますわ」
「………」
 一応、と言うか、確実にこの部屋の主は私なのに。

 久遠さんはベッドの真ん中辺りに身体を陣取っていた。
 サイズ的に二人で寝るのは厳しいのだから、もう少し壁際に寄ってくれてもいいのに。
 かといって私の方が隅に寄れば、ベッドから落ちてしまう。
 私は仕方なく、久遠さんの身体に密着する姿勢で布団の中に潜り込んだ。
 久遠さんに背中を向けて、リモコン操作で部屋の明かりを消した。
 その瞬間、久遠さんの腕が私の身体に巻きつくように回された。
「く、久遠さん!?」
 驚いて、思わず大きな声を出してしまう。
「ごめんなさい、まゆらさん。でも、寒くて…」
 言いながら、更に身体を密着させてくる。背中に、柔らかい感触を感じた。
「ちょ、ちょっと久遠さん!その、胸が…!」
 気付けば羽交い絞めされているような格好になっていた為に、後ろを振り返る事も出来なかった。
「胸が、どうかしまして?」
 笑みを含んだ声。言いながら、なおも胸を押し付けるように身体を寄せてくる。
 この人、絶対確信犯だ。
 これ以上何かされないうちに離れようと身を捩るけど、しっかりと抱き締められているから、小さくもがく事しか出来なかった。
「…まゆらさん…すごくドキドキしていますわ」
「ひゃぁっ!?」
 突然、胸の辺りを触られた。
 久遠さんは私の胸を両の掌で覆うようにすると、耳元に息を吹きかけた。ゾクッとしたものが背筋を駆け抜ける。
「んっ!」
「ふふ…まゆらさんは、耳が弱いんですのね…」
 囁きながら、その手を更に揉むように動かしてくる。
「ちっ、ちょっと、久遠さん…冗談キツイですよぉ…」
「あら、冗談でこんな事は出来ませんわ」
 服の隙間から、少しずつ指を入れてくる。
「えぇっ!?じゃ、じゃぁ…本気なんですかぁ?」
「ふふ…さぁ…どうかしら…」


475 :敏腕会計士の受難・3 :2006/01/24(火) 14:04:51 ID:lkHgqIK2

 何か含みのある笑みを漏らしながら、ボタンを一つずつ外してくる。
 未だ動く事もままならない私は、されるがままになってしまう。
 上のボタンを三つ程外したところで、久遠さんの手が素肌に触れる。
 胸に触れたその手の冷たさと、撫でるようなその動きに、身体がビクリと反応する。
「んっ…!」
「可愛いですわ…まゆらさん」
 肌蹴たところから、ゆっくりと寝間着を剥ぎ取られていく。
 露わになった素肌に、温かく湿った何かが這っていく。
「ん、ぁ…」
 首から肩にかけて滑るそれが、久遠さんの舌だと分かった頃には、私の思考は熱に浮かされ始めていた。
 背中を舐めながら、流れるように移動する手。私が気付かない程自然な動きで、あっという間に上半身を裸にされた。
「っはぁ…はぁ…く、おんさん…」
 いつの間にか荒くなった息遣い。仰向けにされた身体に、久遠さんは覆いかぶさってきた。
「まゆらさんの肌、綺麗ですわね…とっても滑々してますわ…」
 久遠さんは一度起き上がり、自分の上着に手を掛けた。
 その隙に逃げる事も出来たのに、抗う力が抜けた身体は思うように動かなかった。
 パジャマを脱いだ久遠さんの身体は、薄暗い部屋の中でも分かるほど、白くて、眩しくて、綺麗だった。
「う……」
 そして、嫌でも目が胸にいってしまう。一つ下のはずなのに、何だか不公平な気がする。
「どうかしまして?」
 小さく首を傾げた姿が、不覚にも可愛いと思ってしまった。
 もうこの行為から、というか久遠さんからは逃げられないと判断した私は、そっとその手を伸ばし、豊かな乳房に触れた。
「あんっ!ん、まゆらさん…」
「久遠さんの方が綺麗じゃないですかぁ」
 普段から人一倍美容に気を使っているだけある。吸い付くような滑らかな肌は、触れている私も気持ちが良かった。
 素肌の感触を楽しみながら、指と手で胸を揉んでいく。
「ん…あ、まゆらさ、ん…」
 艶を帯びた声が上から降ってくる。それが私を興奮させる。
 いつも予算を好き勝手使う久遠さんに、細やかな仕返しとばかりに胸を弄んだ。
「あぁっ、や、まゆらさんっ、ぁん!」
 やがて私の手の上に、久遠さんは手を重ねて動きを止めると、そのまま胸から剥がして、私の顔の両脇に落とした。
「…もう…まゆらさんたら…酷いですわ」
 妖艶な微笑みを浮かべながら、ゆっくりと私の顔に近付いてくる。私は咄嗟に目を閉じた。


476 :敏腕会計士の受難・4 :2006/01/24(火) 14:06:18 ID:lkHgqIK2

「ん…」
 久遠さんの柔らかい唇が私のそれに重なって、小さな水音を立てた。
 一度離れたと思うと、今度は舌で唇をなぞられ、徐々に口腔内に侵入しようとしてくる。
 私は僅かに口を開いて、その舌を招き入れた。
 熱い舌が、歯列をなぞり、歯と歯茎の境目を突っつくように動く。
 呼吸をする隙を突いて、私も舌を伸ばし、久遠さんのそれに絡みついた。
「んぁ…ぅむ…ん」
「ん…ちゅ…」
 互いの唾液を交換するように、何度も深く口付け合う。
 私の手は無意識に、久遠さんの背中に回していた。
 やがて久遠さんの唇が離れたかと思うと、濡れたその唇は、今度は私の胸に触れた。
「あんっ!」
「まゆらさんたら、意外とエッチですのね…もうこんなに硬くして…」
 胸に唇を触れさせながらそう言って、胸の先端を指で摘ままれる。
「あ、んっ!」
 クリクリと指で擦り、かと思うと指で弾かれたり。反対側の乳首は、口に含んで、先程のキスのように、巧みな舌の動きで刺激を与えられる。
 同時に違う快感を感じて、私は悲鳴に似た嬌声を上げてしまう。
「ん、あぁっ、や、久遠さ、そこっ…やぁ!」
 声を抑える事が出来ない。
「気持ちいいでしょう?…まゆらさん…」
「ん、そ、それは…」
 気持ちいい。けどそれを素直に伝えるのは何だか癪で、私は顔を背けた。
「…まゆらさんたら、素直じゃありませんのね…でしたら…」
 言いながら、久遠さんは下の方へ移動した。
 そして素早くズボンを脱がし、脚の間に身体を入れる。
「や、ちょっと、久遠さんっ!?」
 慌てて脚を閉じようとするけれど、既に身体を入れられていた為、その抵抗は無駄に終わった。
「もうこんなに濡れていますのに、気持ちいいと認めませんの?」
 ショーツの上から割れ目を撫でられると、くちゅっと厭らしい摩擦音がした。
「んくっ!」
 上下を何度も往復し、分泌され続ける愛液が更にショーツを汚していく。
 久遠さんの指は、やがてそのライン上にある一点に中指を突きたてた。
「あぁんッ!!」
 その場所を小刻みに動かして、細かく振動させると、身体が痙攣するように大きく震えた。


477 :敏腕会計士の受難・5 :2006/01/24(火) 14:08:45 ID:lkHgqIK2

 ショーツ越しに陰核を刺激され、下着はもうその役割を放棄する程に愛液で濡れている。
 ぬるぬるとした感触に、羞恥と嫌悪感を覚えた。
「まゆらさん、気持ちいいでしょう?」
「あっ、あっ、やぁっ、んぁっ!」
「正直に言っていただけたら、もっと気持ちよくさせてあげますわよ?」
 そう言って、ぐちゅぐちゅとワザと大きな音を立ててくる。
 思考は既に快楽に侵されて、まともな判断が出来なくなっていたばかりか、更なる快感を得たいという本能が口を開かせた。
「あっ、いい、で、すっ!んっ気持ち、いッ!」
「ふふふ…厭らしいですわね、まゆらさん…」
 久遠さんはショーツに手を掛けて、一気にそれを下ろすと、愛液に塗れた秘所に躊躇無く指を突き立てた。
「ああぁぁぁっ!!」
 激しい快感の波が一気に押し寄せ、私は軽く絶頂に達してしまった。
 それに気付いているのかいないのか、久遠さんは指の数を増やし、更に刺激を加え続ける。
 膣に指を出し入れする度に蠢く膣口の動きと、溢れる愛液を久遠さんは笑顔で眺めていた。
「んっふぅッ、う、あぁんッ!」
「可愛い声…そんなに気持ちいいんですの?」
「あ、あぁんっ、いいっ、すご、いいッ!!」
「…ふふ…」
 私の腰が無意識に揺れ、その動きに久遠さんは満足するような笑顔を浮かべた。
 親指を剥き出しになった陰核にあてがって、擦るように弄られる。
 再び訪れる絶頂の気配を感じて、それを必死に久遠さんに伝えた。
「あっ、くお、んさんッ!わたっ、し、…もぉっ、イッ…!」
「いいですわよ…どうぞイッて下さい、まゆらさん」
「あ、あっんぁっ、あ、あぁぁぁぁぁッ!!」
 背中を反らし、二、三度大きく痙攣させながら絶頂に達した。
「っはぁっ、はぁ、ん、っは…」
 息を荒げ、ベッドに深く身体を沈める私を見下ろしながら、久遠さんも下半身の衣服を脱ぎ捨てた。
「…まゆらさん…私にも…」
 妖しく揺らめく瞳に抗えず、私は頷き、久遠さんの肢体に手を伸ばした……。


478 :敏腕会計士の受難・6 :2006/01/24(火) 14:10:02 ID:lkHgqIK2

「……ん…」
 ふと目を覚ますと、時計はもう昼過ぎを指していた。
 あれから何度も受け攻めを繰り返し、気付けば朝になっていた。
 私と久遠さんは抱き合いながら乱れるシーツに包まっていた。
 身体がだるい。腰が重い。動きたくない。何でこんな事になったのだろうと、いくら考えても良く分からない。
 こんな事になった元凶は、未だに夢の中。穏やかな顔で静かに寝息を立てていた。
 寝顔だけ見れば、まだ少し幼げで可愛いのにと思いながら、床に散らばった寝間着を手に取る。
 気だるい身体を無理矢理起こし、軽く身支度を整えると、扉を叩く音がした。
「…誰だろ…」
 のろのろと身体を動かし、扉を開けると奈々穂さんが立っていた。
「…奈々穂さん?あ、おはようございます…」
「あぁ、おはよう、と言ってももう昼過ぎだがな」
 そう苦笑すると、「久遠はいるか?」と尋ねてくる。
「えっ!?く、久遠さん、ですか…?」
 いる。いるけど今はまずい。何故なら久遠さんはまだ裸のまま眠っているのだ。下手に昨日の事を知られると、非常にまずい気がする。
「…い、いや、それがまだ……あれ?」
 そこでふとした疑問が浮かんだ。
「どうして久遠さんが此処にいるって知ってるんですか?」
「え?いや、久遠が昨夜…あ、そ、その…まゆらの部屋に行くと…」
 奈々穂さんは何だか顔を赤らめてもじもじしながら言った。
「え…?」
 何だか辻褄が合わない。久遠さんは昨夜、此処に来た時に奈々穂さんは既に寝ていたと言っていたような…。
「…久遠さん…部屋の暖房が壊れたからって…」
「暖房?何の事だ?」
 不思議そうな顔をする奈々穂さんを放置して、私は寝室に駆け足で戻った。
「ちょっと、久遠さん!」
 勢いで名前を呼ぶと、いつの間にか起きていたのか、久遠さんは上着に腕を通していた。
「あら、まゆらさん。おはようございます」
「おはようございますじゃないですよ!どういう事ですか!?」
 すると久遠さんは立ち上がって玄関にいる奈々穂さんの方を見てから「あぁ」と呟いた。
「もうばれてしまいましたのね」
「ばれたって…じゃあ部屋の暖房が壊れたっていうのは…」
「嘘ですわよ」
 しれっと言いのける。
「えぇ〜!?な、ちょ、ちょっと、久遠さん!?」
「いつも会計の仕事に追われているまゆらさんの心身の疲れとストレスを癒そうと思いまして、一策練ったんですのよ」
「何ですか、それぇ…もう、余計に疲れましたよぉ…」
 それならもっと別の方法はなかったのだろうか。というか、いつも会計の仕事を増やしてるのは久遠さんじゃないですか。
「あら、それは申し訳ありませんわ。何でしたら、今夜も…」
「もう結構ですぅー!!」
 
 久遠の真意は謎に包まれたまま、まゆらの悲痛な叫びは、極上寮に響いていった。
 その夜、まゆらの部屋に久遠が訪れたのかどうかは、また別の話……。