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454 :続・君と私を繋ぐモノ・1 :2006/01/22(日) 14:40:14 ID:/w41H483

「……」
「……」
 私と奈々穂さんは、二人きりの部屋のベッドの上に、向かい合って正座していた。
 一言も無く、かといって見つめ合う事もなく、ただ時間だけが過ぎていった。
 夜の闇は深まり、日付はとっくに変わっていた。
 何故、私達がこの状況にいるのかは、一時間程前に副会長が言った言葉から始まった…。

―――午後十一時八分、私はいつものように奈々穂さんの自室にいた。
 二人の関係が恋人というものに変わってから、日課のように此処を訪れるようになった。
 皆が寝静まってからの逢瀬は、私にとって何よりも幸せだった。
 特に話をする訳ではない。
 ただ、隣に寄り添って、互いの温もりを感じて、その存在を確かめて。
 たまに目が合うと、触れるだけのキスをして。
 そうして数十分過ごしてから、私は自分の眠る場所に戻った。
 この日もそうして終わるのだろうと、奈々穂さんの隣に腰掛けたその時、扉が突然開かれた。
「!」
 慌てて立ち上がると、そこにはパジャマを着た副会長がいた。
「な、何だ、久遠か」
 奈々穂さんも慌てていたのか、振り向くとベッドの隅に移動していた。
 私達の関係は、周囲の人間には秘密にしていた。私が隠密という事もあるが、同性同士で付き合っていると知られれば、これ以上ない騒ぎになってしまう。
 恐らく、二人の関係を知っているのは副会長だけだろう。
 私達の想いに気付き、二人が恋人になった切っ掛けをくれたのも副会長だった。
 直接報告はしなかったが、彼女の事だから言わなくても分かっているのだろう。
 その副会長は、扉に背を預け、呆れた表情で私達を見下ろしていた。
「な、何だ、久遠。私達に何か用か?」
 恐る恐る私の方に近付きながら、奈々穂さんが口を開いた。
 確かに、こんな時間に起きている副会長は珍しい。普段は美容に悪いと、誰よりも早く眠ってしまうのに。
 何か急用でもあるのだろうか。まさか、隠密の任務でも?
「……」
「何か言ったらどうだ?」
 何も言おうとしない副会長に痺れを切らしたのか、奈々穂さんは少し苛々しだした。
 すると、副会長は溜息を一つ吐いて、何かを呟いた。
「……いですわ…」
「ん?」
「え?」
 何を言ったのか聞き取れず、奈々穂さんと私はおかしな返事をしてしまった。
「…久遠、今、何て――」
「じれったい、と言ったんですわ」


455 :続・君と私を繋ぐモノ・2 :2006/01/22(日) 14:41:32 ID:/w41H483

 じれったい…。どうしてもっと速く解決、若しくは実現出来ないのかと思って、落ち着いて事の成り行きを見ていられない気持ち…。
 辞書に書かれたままの通りを頭の中で復唱しながら、副会長が何を言わんとしているのかを考えた。が、分からなかった。
 奈々穂さんも同じだったのか、まるで分からないといった顔で副会長を見ていた。
「じれ…久遠、それは一体どういう意味だ?」
「どういう意味も何も、そのままですわよ、奈々穂さん」
「?」
 すると副会長はつかつかと私達の所まで歩き、正面に仁王像の如く立ち、そして見下ろされる。
 その出で立ちは少し、いや、かなり怖い。
「まだお分かりにならないのかしら…琴葉」
「は、はい」
 名前を呼ばれて、反射的に背筋を伸ばす。副会長は私の肩を掴んでベッドに座るように促された。
 そして、僅かに微笑む。
「奈々穂さんと琴葉が恋人になってから、どの位かしら?」
「えっと…二週間程ですが…」
 正直に話してしまったのは、やはりこの人が上司だからだろうか。私の言葉を聞くと、副会長はまたも溜息を吐いた。
「…!何だ、言いたい事があるなら言え!」
 その事に文句があるのかと思ったのか、奈々穂さんは少し声を荒げた。
「大きな声を出したら、他の皆さんが起きてしまいますわよ」
 奈々穂さんを一言で制して、副会長は腕を組み、目を閉じて静かに話した。
「恋人になって二週間…それなのにまだキスだけ…」
「!!」
 二人の顔が一気に赤くなる。それは本当の事だけど、改めて口にされると恥ずかしくなる。というか、この人はどこまで知っているのだろうか。
「深夜、皆さんが寝静まった頃に逢引するのは構いませんが、そろそろ次の段階に上がってもよろしいのではなくて?」
「…次の…」
「…段階?」
 鸚鵡返しをする二人を尻目に、副会長は更に続けた。
「そろそろ、エッチの一つや二つ、してもよろしいのでは?」
「―――っ!?」


456 :続・君と私を繋ぐモノ・3 :2006/01/22(日) 14:42:59 ID:/w41H483

 そして、現在に至る。
 副会長は言いたい事だけ口にすると、「今夜はまゆらさんのところにお邪魔しますので、どうぞごゆっくり」と言って部屋を後にした。
 何だか無責任な人だ。この状況をどうすればいいのだろう。
 奈々穂さんはあれから何も喋らない。真っ赤な顔で俯くだけだ。
 副会長の言う事は理解できる。しかし私にとっては付き合いだして、まだ、二週間だ。いつかはそうなる事も考えるけれど、まだ早い気がする。
 それに、私はまだ中学生。それなりの知識は持っていても、そんな事を出来るはずがない。
 かといっても、いつまでもこのままじゃ時間が無駄に過ぎるだけだ。
 キスだけで真っ赤になる奈々穂さん。彼女にもまだ早いと思う。
 誰に何を言われても、二人の気持ちが変わらなければそれでいいのではないのだろうか。
 何も無理して背伸びする必要はない。
 時間も時間だ。今日はもう帰ろう。そう思って、奈々穂さんに声を掛けた。
「…奈々穂さん」
 ただ名前を呼んだだけなのに、奈々穂さんはビクッと身体を大きく震わせた。
 気持ちは分かるが、そんなに過剰反応しなくてもいいような気がする。私自身が拒絶されたみたいで悲しくなる。
「…あの」
 今日はもう帰りますと、そう言おうとした。けれど、言えなかった。
 いつもよりも強い力で、奈々穂さんに抱き締められたから。
 肩口に顔を埋められている為、表情は分からなかった。けれど、髪に見え隠れする耳の色から、きっと真っ赤になっているのが予想出来た。
「な、奈々穂、さん…?」
 突然の行動に思わず戸惑う。私の顔も紅くなっていく。
「…こ、琴葉は、いいのか…?」
「え?」
 ゆっくりと身体を離され、真っ直ぐな瞳に見つめられる。
 真剣な眼差し。それは今まで、奏さまにしか向けられなかったもの。
「…わ、私は、その…琴葉だったら…い、いい…ぞ?」
 それは、副会長の提案を受け入れるという意味なのだろうか。
「……奈々穂さん」
 心臓が激しく動き出す。
「私は、琴葉が好きだ…だから…」
 頬を紅く染めたまま、上目遣いで見ないで欲しい。
 そんな可愛い顔をされたら、どうしていいか分からなくなるじゃないですか。
 言葉の変わりに、唇に触れて返事をした。
「…こ、琴葉…」
「…私も好きです…奈々穂さん…」
 副会長に促される形になってしまったのが少しだけ引っかかるけれど、いつかはこうなる事が自然だと言い聞かせよう。


457 :続・君と私を繋ぐモノ・4 :2006/01/22(日) 14:44:07 ID:/w41H483

 正座の姿勢を崩さないまま、向き合って。
「…よろしくお願いします」
 と、互いに頭を深々と下げてから、再び向き合う。
「………」
 この場合、どうすればいいのだろうか。
 一応、基本的な知識は持ち合わせているが、お互いに経験はないから、どちらかがアクションを起こさなければ先程から進展はないだろう。
 ここは、年上である奈々穂さんに任せるべきなのだろうか。
 そんな事を考えていると、奈々穂さんが口を開いた。
「…あ、そ、そういえば、聞いた話によるとだな」
 どこからか情報を入手していた奈々穂さんは、少し早口になった。
 恥ずかしい時の癖。そんな些細な行動の一つ一つが愛おしい。
「す、する方よりも、される方のが負担が掛かるらしいんだ…だから…」
「……?」
「琴葉はまだ、中学生だし、というか、中学生相手にこんな事していいのか…じゃなくて!」
 独り言のような自問自答を聴きながら、次の言葉を静かに待った。
「…だから…琴葉には…負担を掛けたくないから…」
 奈々穂さんが何を言おうとしているのが分かった。
 私に負担を掛けたくないというその気持ちが嬉しい。自分の事を想ってくれているという実感を覚える。
 紅潮した頬に手を添えて、微笑む事で答えた。
「分かりました。私が奈々穂さんを抱けばいいのですね?」
「…っ!!バッ、バカ!!ストレートに言うな!!」
「す、すみません…」
 私は何か間違った言い方をしたのだろうか。取り合えず小さく謝り、奈々穂さんに口付けた。
「……ん」
 触れるだけのキスはもう何度もしているのに、この恋人は未だに慣れてくれない。
 もちろん、私だって緊張するし、ドキドキする。けれど、ここまで身体を硬くする事はない。
 一度離れて、もう一度口付ける。
 何度も啄ばみ、角度を変えたり、ゆっくりと緊張を解いていく。
 やがて熱を帯びた吐息が互いの唇を濡らし、それが小さな水音を立てていく。
「ん…ふ…ぅん…」
 悩ましげな奈々穂さんのこもった声が、脳を痺れさせる。
 頭の中の性知識を総動員させて、次はどうすればいいのかを思案する。けれど次第に麻痺していく思考の中では、そうやることすら出来なくさせた。
 自然に身体が動いていく。私はそれに逆らわず、本能のままに任せた。


458 :続・君と私を繋ぐモノ・5 :2006/01/22(日) 14:45:29 ID:/w41H483

 吐息で濡れた唇の輪郭を舌でなぞると、奈々穂さんの身体がびくっと反応した。
 片手を背中に回して、優しく抱き締める。怖くないと、言葉の代わりに。
「ん…んぁ…」
 下唇を舐めると、その口が僅かに開かれた。その隙間に舌を滑らせ、口腔内に侵入する。
「んんっ!!」
 舌先で軽く歯を撫でる。奈々穂さんの唾液を舌に絡めながら、その奥に縮こまったままの舌を見つける。
 ざらつく感触を楽しみながら、奈々穂さんの舌を絡め取ろうとするが、なかなか動いてくれない。
 仕方なく、私は中に溜まった唾液を吸い込み、それを呑み込んだ。ゴクッと咽喉を通る音が部屋に響いた気がした。
「…っはぁ…はぁ…」
 想像以上に興奮していたのか、自分の息が荒くなっているのに気付いた。
 当たり前だ。好きな人に触れているのだ。興奮しない方がおかしい。
 一度深く息を吐いて、また奈々穂さんに口付けしようとしたその時。
 奈々穂さんは両手を私の背中に回して、誘うように口を開いた。
 その行為が、私の理性を壊そうとする。
 誘われるまま、舌を入れると、奈々穂さんもおずおずと舌を伸ばし、私のそれと絡まろうとした。
「ん…んぁ…む…」
「んっ…ぅん…」
 次第に大胆になっていく動き。混ざり合った互いの唾液が、口の端から零れて、奈々穂さんの顎を、咽喉を濡らした。
 息をする事も忘れてしまいそうになる程、その行為に酔い痴れていた。
 深く口付け合ったまま、私はゆっくりと奈々穂さんの身体を押し倒した。乱暴にしないように、優しく。
 体勢が変わり、重力がある事も相まって、二人の唾液が今度は奈々穂さんに飲まれていく。
「ん…んく……っはっ、はぁ…」
 呑み込まれなかった唾液が、とろりとした糸のように二人の唇を繋げていた。
 見つめる瞳は、潤んでいた。
「…お、おい、琴葉…」
「はい…?」
 荒い息を吐きながら、奈々穂さんが言葉を発した。
「は、初めて…だよな…?」
「…?…はい…」
 何故そんな事を疑うのだろうか。そう訊ねると、何でもないと苦笑していた。
 問題がないのなら構わないと思う一方で、次はどうしようと考えていた。
 次の行為に進むには、まずこの寝間着を脱がせなければならない。
 私は奈々穂さんの服に手を掛けて伺いを立てた。
「…脱がしていいですか?」
「だっ、だからどうしてお前は一々そうストレートなんだ!!」
 私はまた間違えてしまったらしい。


459 :続・君と私を繋ぐモノ・6 :2006/01/22(日) 14:46:45 ID:/w41H483

 今夜の寝間着は普通のパジャマだった。ジャージだったり、ネグリジェだったりと、その日の気分によって違う。
 個人的にはネグリジェが良かったなどと、どうでもいい事を考えながら、ボタンを一つずつ外していった。
 全てを外し左右に開くと、下着を付けていなかったのか、形のいい胸が露わになった。
「…っ!」
 奈々穂さん自身も忘れていたのか、慌てて両手で隠してきた。
 それじゃあ何も出来ないと、胸を覆い隠す手に自らの手を重ねた。
「…隠さないで下さい…」
「そ、そんな事言っても…恥ずかしい…じゃないか…」
 だから、そんな潤んだ瞳で見ないで下さい。これ以上理性が破壊されたら、何をするか分かりませんよ?
 私はゆっくり奈々穂さんに覆いかぶさって、首筋に顔を埋めた。
 少し上を向いて、軽く耳に口付けし、そのまま唇を滑らせていく。首、鎖骨、肩と、剥き出しになった素肌に唇が触れると、頭上から妖しい吐息が零れる。
「ん…ふ…」
 重ねていた手の力が緩むのを感じて、その手を左右に持っていく。
 豊かという訳ではないが、特別小さくも無い胸。程好く締まった身体の線があまりにも綺麗で、思わず感慨の溜息を零した。
「あ、あまり…見るな…」
 恥ずかしくて堪らないのか、奈々穂さんは顔を背けた。そんな仕草でさえも、私を悦ばせるだけだとは気付いていないらしい。
「…綺麗です…奈々穂さん…」
 素直な気持ちを伝えて、私はその柔らかい胸に触れる。
「…っ!」
 軽く揉んだだけで反応を見せる。胸の谷間を舌で舐めると、汗が滲んでいたのか、僅かな塩味がした。
 肌は益々上気し、互いの呼吸も乱れてくる。
 片手で円を描くように乳房を弄りながら、空いた一方の乳房を舌で弄った。
「んぁっ!」
 初めての、はっきりとした嬌声を聴いて、私の興奮は頂点に達した。
 いつもよりも高い声。女の声だった。
 その声をもっと聴きたくて、聴かせて欲しくて。手と舌の動きを激しくさせる。
 強弱をつけて乳房を揉み、次第に硬くなってきた先端の突起を、親指と人差し指で摘まむと、クリクリと擦るように弄る。
 もう一つの方は舌で輪郭をなぞるように、円を描きながら乳首に近付く。やがて辿り着くと、そのまま口に含んで舌で転がす。
「ん、ふぅっ、あっ…!」
 一度出てしまったら抑えられないのか、それとも無意識に漏れてしまうのか。奈々穂さんの口からは甘い声が奏でられる。
 この声を聴く事の出来るのは私だけだ。
 彼女を蕩けさせているのは私だけだ。
 他のメンバーも、奏さまだって知らない金城奈々穂を、知っているのは私だけだ。
 意味の無い勝利を宣言し、私は更に愛する人を知る為に、その手を下に伸ばした。


460 :続・君と私を繋ぐモノ・7 :2006/01/22(日) 14:47:53 ID:/w41H483

 躊躇する力も抜けたのか、下半身を覆うものは何の抵抗も無くすんなりと脱がせる事が出来た。
 脚の間に身体を入れて、少しずつ開いていく。
 荒い息を抑えられず、私は奈々穂さんの中心に瞳を奪われる。
 薄いショーツの中心は、汗と、汗とは違うもので湿っていた。
「っ…こ、琴葉…」
 位置をずらした私の頭を、奈々穂さんは両手でそっと掴んだ。
 瞳からは、今にも涙が零れ落ちそうになっていた。
「…嫌なら、これ以上触りません」
 いくら欲情しているとはいえ、好きな人を傷つけたくは無い。
 ましてや、これから触れようとしている場所は、女性にとって一番大事な場所だ。
 だから、奈々穂さんが嫌だといえば、それ以上の事はするつもりはなかった。
 私の言葉に対して、奈々穂さんは首を左右に振った。
「…い、嫌じゃない…それは、本当だ…ただ…」
「…怖い、ですか?」
 奈々穂さんは小さく、けれどはっきりと頷いた。
 処女にとって未知の場所。恐怖を感じるのも分かる。触れる私でさえ、怖いから。
 けれど、このまま中断しても、快感を感じている彼女にとっても辛い事。嫌でないのなら、高みに昇らせなければならない。
 額の汗で張り付く前髪を梳いて、頬に優しく口付ける。
「…琴葉…」
 私の名前を紡ぐ唇にも触れてから、下の方に移動した。
 優しくショーツを脱がしていくと、とろとろとした愛液が付着しているのが目に付いた。
 今までの愛撫が想像以上に彼女を感じさせていたようで安心する。
 秘所が濡れていれば、痛みも減るだろう。
「…奈々穂さん…」
 綺麗に生え揃った恥毛を掻き分けて、その割れ目を指で上下になぞる。
「んぁっ!あ、はぁっ、こ、とは…!」
 厭らしい水音が、部屋に響く。その音に羞恥を感じているのだろうか、奈々穂さんは目をぎゅっと瞑っていた。
 何度か往復させていると、膣に溜まっていた愛液が零れ落ち、私の指を更に濡らしていく。
「怖がらないで下さい…奈々穂さん…」
 貴女を傷つける事はしないから。
「…んっ、こ、こと、はぁ…」
 少しだけ開かれた瞳。目尻に流れた涙を舌で拭うと、奈々穂さんは私の背中に手を回した。
「…奈々穂さん」
 呼び掛けると、奈々穂さんは一つ頷いた。心の準備が出来た事を教えてくれたのだろうか。
 どちらともなく口付けを交わして、私はゆっくりと奈々穂さんの膣に指を沈めた。


461 :続・君と私を繋ぐモノ・8 :2006/01/22(日) 14:49:05 ID:/w41H483

「んんっ、いっ、んあぁッ!!」
 指の先端を挿入し、ゆっくりと肉壁を解していく。
 膣内は熱く、まるで指が溶けてしまいそうだった。
 奈々穂さんは背中を反らし、痛みに耐えるような表情をした。
「…痛いですか?」
 一度動きを止める。その間も、愛液は絶えず分泌し続けていた。
「へ、平気、だ…っん…」
 その言葉を信じて、再び指を動かす。今度は先程よりも深く挿入する。
「ん…く…あ、や…」
 指を強く締め付けられ、このまま動くと益々痛みを与えてしまう。
「奈々穂さん、力を抜いて下さい…」
 それ以上の侵入を止めて、もう一度入り口付近を撫でた。
 息を整えながら、奈々穂さんは私の身体をきつく抱き締めた。
「琴葉…大丈夫だ…だ、だから…続けてくれ…」
 掠れる声に思わず震えながら、私は行為を再開した。
 大分刺激に慣れたのか、指は奥まで入れる事が出来た。
「はぁっ、あ、ぅ…」
「…動かしますよ…奈々穂さん…」
 前後に出し入れを繰り返し、奈々穂さんの表情と声に神経を集中させる。これ以上痛がらせる訳にはいかない。
 そのどんな些細な変化も見逃さないようにと。
 しかし、予想と反して、奈々穂さんの表情と声は、次第に艶を帯びていた。
「ん、ん…あっ、はぁん…!」
 痛みが快感に変わっていったのだろうか。指の動きを速くすると、その声は高く、大きくなった。
「あぁっ、や、あん…あッ!」
「…気持ちいいですか?」
「だっ、から…訊く、な…ば、かぁ…っ!」
 私はやっぱり何かを間違えているのだろうか。何がいけないのかが分からない。今度、副会長に訊いてみよう。
 上下、前後に動かして、絶えず刺激を与え続ける。
 背中に置かれた手に力が込められ爪が食い込む感触を感じた。
 跳ねる奈々穂の身体を半ば押さえつけるように抱き、秘所の上にある陰核を親指で擦った。
「あぁんッ、あ、やぁっ、こ、はぁ…!」
「奈々穂さん…っはぁ……奈々穂さん」
「や、ら…なん、か、あ…くるっ…!くる、よぉ…ことはぁ…!」
 それは絶頂の合図だろうか。
 私は固く勃起した乳首を甘噛みし、指の動きの速度を速めた。
「ふぅッ…!あ、あ、ん、あん!んあぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
 泉の湧き水のように愛液を溢れさせながら、奈々穂さんは絶頂に達した。


462 :続・君と私を繋ぐモノ・9 :2006/01/22(日) 14:50:16 ID:/w41H483

 荒い息を整えながら、何度も口付けを交わした。
 そのまま私は身体を奈々穂さんの隣に、寄り添うように寝転がった。
「…琴葉…初めて…だよな…?」
「……はい…」
 どうしてこうも疑り深いのだろうか。
「いや、その…初めてなのに…その…何て言うか…」
「…上手に出来ましたか?」
「――っ!だから、どうして平然とそういう事が言えるんだ、お前はっ!!」
「…すみません」
 どうやら私は最後の最後まで何かを間違えてしまったらしい。その事に少し不安になる。
 すると、奈々穂さんは優しく私の髪を指で梳かしながら、微笑んでいた。
「……正直癪だが…久遠には感謝しなくてはいけないな…」
「え?」
「久遠のお陰でお前と…その、こうしていられるし…」
 腕を引き寄せられて、温かい温もりに包まれる。
「…奈々穂さん…」
「私はお前が好きだ…だから…」
 身体に僅かな隙間を空けて、互いの瞳を見つめ合う。
 吸い込まれそうな、綺麗な瞳。
「ずっと…傍にいてくれるか…?」
 そんな事、訊かなくても分かっているくせに。
 本当にこの人は疑り深い。
 耳に唇を寄せて、素直な気持ちを囁いた。
「…私は、あなたを愛しています…」
「琴葉…」
「傍にいます…ずっと…」
 信じて欲しい。偽りの無い、この想いを。
 あなたの気持ちが変わらない限り、私はあなたの傍を離れる事はないのだから…。