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253 :君の隣・1 :2006/01/03(火) 05:15:28 ID:HXlACTK1

 恋人とする事。それは手を繋いで歩いたり、一緒に何処かに出かけたりする事。
 それ位しか考えた事も無かった。
 だから、彼女と付き合いだして一ヶ月。
 まさか、こんな状況に陥るなんて、私は想像する事すら出来なかった。


「せ、聖奈さん?あ、あの、これは、一体…?」
 私は半ば混乱していた。
 どうしてこうなっているのか。
 どうしてこんな状況になったのか。
 動揺を隠すような余裕すらない。
 目の前にいる彼女とは、まるで正反対だ。
「奈々穂さんたら…そんなに怯えなくても…」
 余裕のある表情で笑いかけられると、こっちの力も抜けてくる。
「いや、そうじゃなくて、ですね…」
「いいじゃないですかぁ、恋人同士なんですし」
「えぇ…!?」
 いつもの笑顔を保ったまま腕を伸ばし、その手で私の頬に触れた。
「せ、聖奈さん!?な、何を!?」
「何って…恋人同士がする事ですよ?」
「い、いや、そうじゃなくて」
「もぉ、奈々穂さん。いいから私に任せて下さい」
 柔らかいソファーの上で、私は聖奈さんに組敷かれていた。


254 :君の隣・2 :2006/01/03(火) 05:16:37 ID:HXlACTK1

 此処は聖奈さんの自室で、みなもはりのの部屋に遊びに行っている。
 私はそれを知った上で此処にいた。
 聖奈さんと付き合い始めて早一ヶ月。最近は特に忙しくて、ゆっくり二人で話も出来なかった。
 だから、久し振りに会話が出来ると、私は少し浮かれたまま、聖奈さんの部屋を訪ねた。
 始めは取り留めの無い会話をして、聖奈さんが淹れてくれた紅茶を飲んで、二人でまったりとした時間を過ごしていた。
 同じソファーに腰掛けて、直ぐ近くに好きな人が存在する事を実感して、私は幸福な気持ちでいっぱいだった。
 だから、気付けなかった。
 互いの距離が少しずつ無くなっていた事に。
 気付いた時には、聖奈さんの綺麗な顔が、息の掛かる程近くにあった。
 それに驚いて、思わず後ろに下がったところを、そのまま押し倒されてしまった。
 相手がいくら自分の恋人とは言え、遊撃のトップである私が、こうも簡単に組敷かれるなんて。
 心の中で軽く舌打ちしながら、聖奈さんを見上げていた。

「せ、聖奈さん!ちょっ、待って下さい!」
「…奈々穂さぁん…いい加減、観念して下さいね?」
 同じような押し問答を何度も繰り返す私に呆れてきたのか、聖奈さんの声は最初よりも力が無かった。
 それとも、腕二本で身体を支えるこの体勢に疲れているのかもしれない。
 しかし、私にはどうしようもないのだ。
「…奈々穂さん…私の事、好きですか?」
「え?」
 優しい瞳で私を見つめたまま、そんな事を言った。
「…も、もちろん…好き、です」
 自分の顔が熱くなっていくのがはっきりと分かった。
 私の答えに満足したのか、にっこりと微笑んで、再び私の頬に触れた。
「奈々穂さん…」
「……」
 ゆっくりと近付く笑顔。この後どうなるのか、鈍った思考で漸く理解した。
 だからもう、抵抗なんてしない。
 私は目を閉じて、温かい唇の感触を受け入れた。


255 :君の隣・3 :2006/01/03(火) 05:17:51 ID:HXlACTK1

 そっと触れるだけの口付け。けれど私の心拍数を上げるのには充分だった。
 初めてのキスは、柔らかくて、温かくて、少し甘かった。
「…ん…」
 聖奈さんの温もりが離れたと同時に、私はぎゅっと閉じていた瞳を開けた。
 見ると、聖奈さんの頬も、ほんのり紅く染まっていた。
「…聖奈、さん…」
「…怖がらないで…私に任せて下さい…」
 そして、また口付けられた。
 角度を変えて、何度も啄ばむ様な触れ合い。それが私の緊張を少しずつ和らげていった。
 身体を硬くしていた力が段々抜けていったのが聖奈さんにも分かったのか。
 何度目かの口付けで、唇以外の温かいものが私のそれに触れた。
「…ん…ふぅ…?」
 生温かく湿ったものが、唇を這うように動く。
 僅かに離れていった隙に、ちらりと見ると、それは聖奈さんの紅い舌だった。
「…っはぁ…」
 私が一つ一つの行為に慣れるまで、同じ動きを繰り返そうとしてくれるのか、聖奈さんはそれ以上の事はしてこない。
 嬉しい反面、何故か歯痒くて、私は口を開けて、聖奈さんの舌を口内に招き入れた。
「ん…」
「…っん…む…」
 いきなりの行動に僅かに動揺しながらも、私の気持ちを汲み取ってくれたのか、聖奈さんはそのまま、私の中に深く侵入してきた。
 奥で縮こまっている私の舌を見つけると、それに絡みつくような動きをした。
「…んっはぁ…」
 私は無意識に、両手を聖奈さんの背中に回していた。
 

 互いの唾液を交換し合い、何度も唇を重ねていた。
 すると、聖奈さんは次の行為に進むかのように、優しく私の制服に手を掛けた。
 脱がされた上着とセーターが床に落ちて、ドサッとした音が何だか恥ずかしかった。
「…うー…ん。やっぱり、少し小さめですね」
「え?」
 聖奈さんの視線を追うと、私の胸に辿り着いた。
「っな!!」
 慌てて両手で隠そうとするが、簡単にそれを阻止された。
 特に自分では気にした事もなかったが、そんなにまじまじと見られると、どうしようもない羞恥心でいっぱいになる。
「そ、そんなに見ないで下さい!」
「あら、どうして?」
「ど、どうしても、です」
「それじゃあ何も出来ないわ」
 苦笑を漏らしながら、今度は首筋にキスをした。
「…っ!」
 まるで電流が流れたように、背筋がゾクッとした。
 そして触れたまま下っていくと、そのまま鎖骨を舐められる。
「んん!」
 意識がそれに集中していた為に、両手はあっさりと取り除かれて、ブラウスの釦を外していった。
 全ての釦が外し、そっと左右に開かれる。
「奈々穂さんの下着、可愛いですねぇ」
 薄いピンク色の生地の下着に手を添えて、楽しそうな声が上から降ってきた。
「…!?」
 隙間から侵入してきた手の温もりが直に伝わってくる。
「…んぅ!」
「…奈々穂さん…可愛いですぅ」
 ふにふにと、柔肌の感触を味わうように揉まれると、今まで感じた事のない感覚に戸惑った。

256 :君の隣・4 :2006/01/03(火) 05:20:23 ID:HXlACTK1

「んんっ!」
「声を出しても大丈夫ですよ」
 頬に軽くキスをしながら下着が剥ぎ取られていった。
 ゆっくりとその輪郭をなぞるように、かと思えば掌全体を使って押し上げたりと、乳房の形を変化させたり。
 代わる代わる襲ってくる刺激に、私の思考は鈍っていった。
「…ん…ふぅ…ッ!」
 自然と漏れる声が、自分のものじゃないような錯覚。
 こんな姿は、他の誰にも見られたくない。
「…奈々穂さん…いいですか?」
「……?」
 何がいいのか、分からなかった。だから取り合えず、頷いた。
 すると胸を弄っていた聖奈さんの手が、下半身の方に伸びていった。
「…っな!?せ、聖奈さん!?」
 スカートのホックを外し、ブラと揃いのショーツを一気に脱がされた。
「ぅわぁっ!?」
「結構、濡れてますねぇ」
 慌てて起き上がろうとするが、直ぐに聖奈さんの身体が覆いかぶさってきた。
 足の間に聖奈さんがいる為に、大事な部分が隠せない。
「聖奈さんっ、ちょっ、待って下さいっ…」
「いいって言ったじゃないですか」
 少しずつ位置を変えながな、なおも私の秘所に近付こうとした。
「奈々穂さんのココ…すごく綺麗…」
「っせッ!んんッ」
 両手で頭を掴んでも、快楽に蝕まれ始めていたこの身体は、最早抵抗する力は殆ど無かった。
 熱い吐息を恥丘で感じるより早く、聖奈さんの湿った舌が膣口に触れた。
「んあぁぁッ!!」
 瞬間、激しい快感で身体が震えた。
「…ん…美味しいですよぉ…奈々穂さんの…」
「っはぁッ」
 顔が益々熱くなる。いや、顔どころか、身体全体が熱い。
 あまりにも強い刺激で、頭が真白になりそうだ。

257 :君の隣・5 :2006/01/03(火) 05:21:31 ID:HXlACTK1

 聖奈さんの舌が割れ目を何度も往復するように動く度に、私の口はとんでもない声を上げてしまう。
「あぁッ、や、んんッ!」
 ぴちゃぴちゃと、厭らしい音が部屋に響いて、思考はどんどんおかしくなっていく。
 やがて私を攻め立てていた舌が、直接膣に入ろうとした。
「ひゃぁっ!?」
 舌の先でちろちろと小さく動きながら、奥にどんどん侵入してくる。
 初めての異物を挿入は、苦痛どころか…。
「ん、はぁ…あぁ…」
「…ん…奈々穂さん、痛くないですか?」
「……」
 痛くなかった。寧ろ、気持ちよかった。
 けれど素直にそんな事は言えなくて、私はその質問には答えなかった。
 そんな私の気持ちを悟ってくれたのか、聖奈さんは何も言わずに微笑むだけだった。
「……」
 この人の笑顔が、好きだ。
 いつも笑ってる、この人が好きだ。
 だから、この人も私を好きだと言った時、本当に嬉しかった。
 奏に、自由にしていいと言われた時の次に、幸せだった。
 だから全てを受け止める、私を求めてくれるなら。
「…せい、な、さん…」
「…奈々穂…」
 頭を掴んでいた私の右手に、聖奈さんは自分の左手を重ねた。
 互いの指を絡めるように、離れないように。
 聖奈さんは流れ続ける愛液を味わうように、再び陰部を口付けた。
「んぁぁっ、は、あ…ッ!」
「…好きよ…奈々穂…」
「んぁ、ふっ…わ、私…も、す…きぃッ…!」
 互いに想いを伝えながら、私はもう限界だった。
「あッせ、せい、なっ、わた、もッんぁッ!」
 上手く言葉が紡げない。それでも聖奈さんは分かってくれた。
「うん…イっていいわよ…奈々穂」
 舌の先で陰核を突かれると、身体が大きく震えながら、私は絶頂に達した。
「んぁッ、あ、ああぁぁぁぁぁぁッ!!」
 甲高い嬌声を、他人事のように耳に入れながら、私はゆっくりと瞳を閉じた。

258 :君の隣・6 :2006/01/03(火) 05:22:45 ID:HXlACTK1

「…ん…」
 ふと目を覚ますと、部屋の明かりは点いていなかった。
 私は何故かパジャマを着ていて、温かい布団の中にいた。
 時計を見ると、先程の行為から小一時間程経過していた。
 此処は聖奈さんの部屋だ。みなもはまだ帰っていない。
「……聖奈、さん?」
 暗い場所に一人でいると、言いようの無い不安感を抱いてしまう。
 最愛の人の名前を呼びながら起き上がると、シーツの隙間から僅かに人の姿が見えた。
「…あ」
 聖奈さんはそこにいた。
 私の身体に寄り添うように、静かに寝息をたてていた。
「…寝顔だけ見たら、結構幼いな」
 起こさないように、その無防備な寝顔を観察する。私は自然と微笑んでいた。
 先程の事を思い出すと、やっぱりまだ気恥ずかしい。
 でも、きっと、今までよりも、もっと彼女に近づけた気がする。
 そして、今までよりも、もっと彼女を好きになっていく。
 もっと彼女を好きになりたい。そして、もっと彼女に好きになって欲しい。
 ずっと彼女の隣にいたい。
 二人の関係が、ずっと続いていくと願いながら、私は隣で眠る恋人の額にそっと口付けて、「おやすみなさい」と呟いた。