remove
powerd by nog twitter
850 :名前:tama ◆KJO3u/qZ5U :2005/11/22(火) 00:43:29 ID:Acpnewii
私・・桂聖奈が、宮上学園を卒業してから2ヶ月が過ぎた。と、言っても、私はシンディさんと共に
宮神学園の特別講師に招かれ、奏は会長から宮神学園理事長へと立場を変えただけで、
特に何かが大きく変貌したわけではないのだけれど。

私自身、宮神学園という「楽園」から卒業して巣立つ、という実感が沸かなかったので、奏が
提案してくれた特別講師への就任というついては微塵の不満もなかった。もちろん、教職という
立場になったので、生徒会の仕事へは直接参加できないし、生徒の時にできたことへの「制約」も
多少増えてしまったけれど、私は今の、−人に自分の持っている学を教える‐、という立場が、
それなりに充実していて楽しいと思っていることは間違いない。

けれども、そんな毎日の中で、私はたった一つ自らうやむやにしていることがあった。
こんな気持ちがあって良いはずがない、間違っている。ただ、そう思っていても、この気持ちを
抑える事も、また忘れ去る事もできないでいる。

男性が女性を愛し、また女性が男性を愛する・・この一般論から外れてしまった心の行為。

そう、私は・・・女性であり親友でもある「神宮寺奏」に恋をしてしまったのだった。


思ってみれば、今まで大して男性と接してきたわけではないのだし、女性に恋をすることは
あながち間違ってはいないのかもしれない、元々宮神学園は完全女子制。もちろん教師には
男性はいたとしても、比較的年配の教師が多いので、特別な人間ではないかぎり、この学校の
男性教師に恋心を持つ人間はいないだろう。逆に言えば、私のように女性を好きになるという
人間の方が多いと聞く。もちろん噂での話しなので真実はうやむやであるけれど。

851 :名前:指きりげんまん・奏×聖奈(百合) :2005/11/22(火) 00:44:27 ID:Acpnewii
・・まぁ、こんなことを考えていても特に解決案になるわけでもない。私はそう考えて、目の前に
ある生徒のテストの答案の解答付けに取り掛かり始める。昨日行われた中間考査のものだ。

マル・・バツ・・マル・・大して面白くない答案の解答付けを黙々とこなす。なるほど、生徒の
時には自分のテストの結果にワクワクしたものだけれど、教師になってみるとそういう感情も
起こらないわけだ。採点される側が採点する側になった結果だということなのだろう。

十数人分のテストの解答付けを行っている途中で、私は軽く体を伸ばした。マルやバツをつけるだけ
なんて簡単なことだと思っていたのに、これは案外神経を使うものなのだと、私は実感した。

そんなことを思っていると、私はふいに奏に会いたいと思った。宮神学園の生徒の時には、寮生活
ということもあり、毎日のように言葉を交わしていた私と奏だけれど、学園長と教師という立場に
なってからは、たまに挨拶を交わす程度で、なかなかゆっくりとは話ができない関係になってしま
っていた。このことが、先ほどの生徒の時できたことへの「制約」の一つでもあるのだ。

別に会いたければ、自分から会いに行くなり、電話なりすれば良いと思うかもしれないが、この
感情に気付いてしまってから、なぜか会いづらくなってしまったのだ。それは、友達の時は問題
なく話せたのに、その相手が恋愛対象になると突然話しかけにくくなる・・と例えれば良いだろう
か。まぁこの例えが、私と奏に面白いくらいぴったりと当てはまるのだけど。

しかしまずい・・先ほどまで、女性同士の恋愛なんておかしい・・なんて思っていたのに、どうに
も私のこの気持ちは、相当危ないところまで来ているようだ・・。会いたいなんて気持ちは忘れてし

まえ、忘れてしまえ、と思っていると、更に会いたいという気持ちが込み上げてきてしまう。


852 :名前:指きりげんまん・奏×聖奈(百合) :2005/11/22(火) 00:44:57 ID:Acpnewii
仕事中にこんなことを考えているなんて不謹慎だなぁ・・なんて思っていると、ふいに後ろから
私を呼ぶ声が聞こえた。

「桂先生・・聞いてらっしゃいますか?」、それはこの学園の中でもかなり高齢の部類に入る、
 非常勤講師として学園に来ている、数学教師の高松先生だった。

「あ、はい、なんでしょう」、私は突然の呼びかけに少し対応が鈍る。

「呆然となさって、体調でも悪いのですか?」、そう心配そうに私に呼びかけてくれた。

「いえ・・大丈夫です、それで何か御用だったでしょうか?」

「あぁ・・はい。先程、学園長が桂先生にお話があるということを伝えて欲しいと伝言を頼まれま
 して・・・時間の都合が合うようならなるべく早く来て欲しいと・・・」

「え・・・?」

その言葉を聞くと同時に、私はかなり動揺した。どういうことなのだろう・・私の
テレパシーが通じた・・?いや、そんな冗談を考えている場合じゃない。私の心音は高まってい 

くばかりだ。

「桂先生・・?」、高松先生が私の顔をのぞきこむ。

「ひぁ!はい・・・今丁度手が空いてますので行って来ます!」、思わず私は大声で高松先生の呼び

 かけに答えてしまった。途端に周りの教師の視線が私と高松先生に集まる。

「あ・・はい、それでは伝言はお伝えしたので私はこれで・・」、そういうと高松先生は自分の机に
 向かって歩いていった。私のせいで少し恥をかかせてしまった気がして、とても申し訳ない気持ち

 になってしまった。

ただ、とにかく奏が私を呼んでいることは間違いないのだ。そして、会いたい気持ちは私も一緒な
のだから、このチャンスを逃す手はない。

そう思い、私は職員室の扉を開けて、学園長室へと向かっていった。職員室内に、私の大声を聞い 

て小さく笑う他の教師の声と、中途半端にやっていないテストの答案用紙を残して・・。


853 :名前:指きりげんまん・奏×聖奈(百合) :2005/11/22(火) 00:45:53 ID:Acpnewii
学園長室へと向かう道を歩いていると、途中で 奈々穂さんに出会った。この前会ったりのちゃんの

話によると、生徒会長になった 奈々穂さんは、奏会長の穴を埋めるべく、久遠さんとのコンビで、
しっかりと生徒会の仕事をこなしているようだ。「相変わらず予算は多く使いますけど」、と・・
りのちゃんは笑っていたっけ。

「あら、 奈々穂さん、ごきげんようー」、私は昔のように軽い雰囲気で 奈々穂さんに話しかけた。
 さすがに教師になったために、最近では比較的社会人のようなしっかりとした受け答えをしている
 のだけれど、昔からの付き合いである生徒会のメンバーには、生徒のような口調で振る舞うことに
 している。

「お久しぶりです・・・聖奈さん」、私の口調とは違い、少し重い雰囲気で 奈々穂さんは私に会釈を
 返しくれた。

「本当に久しぶりねー、だけどごめんなさい、私これから学園長室に用事があるから、また今度お話
 しましょうねー」

そう言って私は 奈々穂さんを通り過ぎようとする。

「待ってください、聖奈さん・・・いえ、聖奈先生」、そう言うと 奈々穂さんは、私の行く道を
 さえぎる。

「あら〜、何か御用があったのかしら?」

「はい、少しお話が・・ただここではお話しにくい事ですので、少し中庭に移動したいのですが」

「あらあらー、でも私これからねー・・」、そう言葉を言い終わる前に、 奈々穂さんは私にいつも
 より低い声でこう呟く。

「お断りするのでしたら・・・力ずくでもついてに来ていただきますが・・・?」、そう答えた奈々

 穂さんの右手の指には、彼女の昔からの武器であるヨーヨーの糸が結び付けられていた。


854 :名前:指きりげんまん・奏×聖奈(百合) :2005/11/22(火) 00:46:40 ID:Acpnewii
「うーん・・・困ったわねぇ・・・まぁ何か大事な用があるみたいだし、中庭に行きましょう」

「ありがとうございます・・」、奈々穂さんは少し笑みを浮かべて私にお礼を返しくれる。

「だからそのヨーヨーはしまって、ね?」

そう言って、奈々穂さんの脅しに近い要求に応じた。奏に早く会いたい気持ちはあったけれど、 

別に時間を指定されているわけでもないし、なによりもここで奈々穂さんの要求に応じずに、何  か

しらのトラブルがあってしまってはいけない・・そう思って私は 奈々穂さんの意見を飲むこと
にした。

「はい・・それでは中庭に行きましょう」、そう指についているヨーヨーの糸を外しながら、 奈々穂

 さんは私の前に立ち中庭への道へ進んでいく。
 
「はいはい〜」、そう明るく言葉を返して、私は奈々穂さんの後をついていった。
 
・・そもそも私は分かっていた。奈々穂さんとは偶然会ったわけではない、明らかに奈々穂さんは

私が生徒会室へ続くこの道へやってくるのを待っていた。私だって伊達に生徒会の隠密をやってい た

わけではない。小さい気配ではあったが、職員室から出るあたりから何者かの気配を感じとって いた

。ただ・・さすがに誰が私を影から見ていたかまでは分からなかったけれど・・・。
 
 
そんなことを思っていると、いつの間にか私たちは中庭にまでやってきていた。定期的に業者が手

入れをしている中庭の木や草花は、伸び伸びと天に向かってに自らの体を伸ばしている。

「それで・・・私になんの用かしら、奈々穂さん?」、私はさっきとは違う、少し強めの口調で
 奈々穂さんにそう問いかけた。ヨーヨーの件にしても、あまり温和な話の内容ではないことは
 容易に想像できたから。

「はい・・手短にお話します」

「えぇ、どうぞ」

「聖奈さん・・・私は奏理事長・・いえ、奏が好きです」

「・・・え?」

私は彼女が言った言葉の意味が分からなかった。彼女が奏さんの事が好きなことなど、生徒会時代

の彼女の様子から見ても容易に想像できる。そしてわざわざ呼び出してまで言う事でもなかった。

「奈々穂さん、そんな事を言うためにわざわざ私を?」

「いえ・・この事について聖奈さんとハッキリさせておこうと思ったんです」

そういうと彼女は、私が予想していなかった言葉を口にする。

「聖奈さん・・あなたも私と同様に、奏の事が好きですね?」

855 :名前:指きりげんまん・奏×聖奈(百合) :2005/11/22(火) 00:47:18 ID:Acpnewii
「・・・・!?」

私は動揺した。奏の事が好きだという事が分かる仕草など、今まで本人、ましてや人前でした
記憶がないから。しかし良く考えてみたら、ただ単純に「LIKE」の表現として奏の事を好き
なのかと私に言っているのかもしれない、当然、こんなところまでつれてきて、さすがにそんな 

ことはないとは思うけれど・・下手な誤解をしてしまってもいけないと私は思った。

「奏理事長の事は大好きよ〜、どうしたのそんな事を突然?」

「・・そういう冗談事みたいな物言いは必要ありません」

そしてとうとう、彼女は話の核心に迫る。

「聖奈先生・・あなたは奏会長の事を愛している・・異性を愛する事を同じくらいに」

「・・・そうね・・・その通りだわ・・・」

私はそれ以上何も言えなかった。その様子を見て、淡々と彼女は言葉の数を増やしていく。

「自分以外にも同性愛者がいて驚きましたが・・・今はそんなことはどうでも良いです。だけど・・
 ただ一つ・・ただ一つ言えることは・・」

「あなたに奏を渡したくない!!」

そう叫ぶと、奈々穂は瞬時にヨーヨーを右手の指に装着した。そして私にこう言い放つ。

「聖奈先生・・いえ、聖奈さん・・・勝負です」

「奈々穂さん・・この勝負に何の意味があるの?」、私は少し冷たく言葉を発する。

「意味ですか・・・?」

「そう・・・私が勝ってもあなたが勝っても、それが奏を愛する事とどう関係するのか、私には全く
 分からないのだけど」

「そうですね・・・確かに奏自身には関係の無い事かもしれません・・けれど・・・」

「私はあなたに・・・奏を守る力も・・・奏を想う気持ちも負けたくないんです!!」


856 :名前:指きりげんまん・奏×聖奈(百合) :2005/11/22(火) 00:47:54 ID:Acpnewii
そう再び叫ぶと、彼女はヨーヨーを勢い良く私に向かって飛ばしてきた。ヨーヨーは彼女の意志と
同じように、なんのためらいもなく私に向かって真っ直ぐ向かってくる。

「・・・くっ・・!!」、私はギリギリのラインでヨーヨーを軌道をかわす。しかし彼女は戻って 

きたヨーヨーを手のひらに戻すと、すぐにまたヨーヨーを私に向かって放つ。

様々な軌道を描きながら飛んでくるヨーヨーを寸でのところでかわしながら、私は何もできないで

いた。未だにこの戦いの真意が掴めていないせいもあるのだと思う。そして何よりも相手が、今ま で

奏と同じくらい信用し、共に助け合って来た奈々穂だったから。

「どうしたんですか聖奈さん、私とは本気で戦えませんか?」、ヨーヨーを自在に操りながら、彼女
 は私に挑発に近い言葉を浴びせてくる。

「っ・・・!」

「本気で戦ってください!!でないと・・私はあなたを認められない!!」

「・・・何を認めるっていうの?」、私は相変わらず寸でのラインでヨーヨーをかわしながら、彼女
 にそう言葉を返した。

「それは・・私を倒せば分かる事です」

「・・そうなの・・・分かったわ」

そう言うと私は、彼女と少し距離をとる。未だに戦う理由は分からないけれど、彼女の言った
「認められない」という言葉の真意を知りたくなったから・・・それが彼女・・・奈々穂さんが
私に戦いを挑んだ「答え」のような気がしたから。

「奈々穂さん、私も本気で戦います。ただ・・・」

「ただ・・・なんです?」

「戦いは一瞬で終わるわ」

「ほぅ・・それは楽しみですね。ただ素手では心もとないでしょう。何か武器を使って頂いても結構
 ですよ、突然の事でしたし、持っていないのなら取りに行ってくれても構いません」

 公平な戦いが好きそうな奈々穂さんらしい言葉・・・けれど私にはそれは必要なかった。

「いえ・・私の武器は・・私自身だから」

「そうですか・・・では始めましょう」

「そうね・・・そうしましょう」、そう言うと、私は自分の右手にそっと口付けをする。すると
 私の右手全体に、白いオーラ状のようなものが浮かび上がる。

「・・・それは・・!?」

「大丈夫よ・・一瞬だから・・何もかもが」

857 :名前:指きりげんまん・奏×聖奈(百合) :2005/11/22(火) 00:49:10 ID:Acpnewii
そうそっと呟くと私は、彼女が目で追えないくらいの速さで彼女のふところに入る。そしてそのま

ま彼女の首元に手を突き入れた・・けれど、ギリギリ1センチほど首に当たらない位置で止める。

「・・・本当に一瞬でしたね」、彼女はそう小さく呟く。額からは冷や汗のようなものが出ている。

「そうね・・動かない方が良いわ。命を落とすから」

「聖奈さん・・その右手から出ているものは・・・?」

「これね・・・神宮寺の人間すら知らないのだけど、私は自分の体へ口付けをすると、そこに風を
 集める事ができるの。かなり現実離れしているけどね」

「風・・・?」

「そう、風よ。ただの風と思ってしまえばそれまでだけれど、使い方によっては、刃物なんか比べ
 物にならないくらい鋭利な風も作れてしまうの、ほら、こんな感じに」

そういうと私は、すぐ側に生えていた大きな木の枝に向かって、右手を鋭く振り下ろした。
すると簡単に、10センチほどの太さはある木の枝が、あっさりと切れ落ちて地面に落ちる。

「・・・」

彼女は夢でも見ているかのように呆然としていた。しかし、私は彼女にさっきの言葉
の答えを求めた。

「それで奈々穂さん・・・私を認められない、って言う話し・・あれはなんだったの?」

「・・・それを話すのは、まずは聖奈さんが理事長室に行ってからにしましょう。お手間をかけさせ

 てすいませんでした」

「いえ、気にしないで。答えは気になるけれど、奈々穂さんの言うとおり、まずは理事長室に行かな

いと。それに、答えはいつでも聞けるしね」

そう言うと、私はまた理事長室に向かって歩き出した、そして背を向けながら、最後に奈々穂さん

へこう言葉を残した。

「奈々穂さん・・・私はあなたの事、いつまでも友達だと思っているからね」
 
奈々穂さんからの返事はなかった。けれど、私は答えを待たずに、そのまま目的地へ向かっていっ

た。


・・・しばらく奈々穂はその場を動けずにいた。そしてやっと、先程の恐怖が軽減し始め、奈々穂は
自分の体を中庭の草むらに沈めた。

「・・認められない・・・?認めようとできない私が悪いんじゃないか・・・」

「分かってた・・・奏が誰が好きなのかも・・・奏が・・」

「聖奈さんの事が好きだって事なんて・・・とっくにっ・・!!」

全てを悟っていた彼女は、声を押し殺して独り言のようにそう呟いた。 

彼女が涙を流したことを知っているのは、彼女自身と中庭の自然だけだった。


858 :名前:指きりげんまん・奏×聖奈(百合) :2005/11/22(火) 00:49:50 ID:Acpnewii
「失礼します、桂聖奈です」、私はそう理事長室の前で言葉を発した。

すると、部屋の中から久しぶりに聞く声がした。

「えぇ、入ってください聖奈先生」

私は高鳴る心を抑えられなくなってきていた。まさか声だけでここまで胸が苦しくなるなんて。
そう思いながら私は扉を開け、奏の待つ部屋へと入っていった。

「久しぶりね、聖奈先生・・いえ、ここでは聖奈と呼んだほうが気が楽よね」

そう優しく笑いながら私にそう言葉をかける。確かに先生と呼ばれるよりもずっと安心する。

「本当に久しぶり・・と言っても、たまに校内で会っているような気もするけど」

「それは・・−すれ違った−だけでしょう?」

奏は言葉を続けた。

「それは・・−会った−と言う事にはならないと私は思うの」

と、奏は少し苦笑をして私にそう答えた。なるほど、奏にとっては、入学式以来・・つまり
約二ヶ月ぶりに私と再会したという気持ちらしい・・・確かに校内で偶然会っても、自分の
奏へ対する気持ちに気付き始めていた私は、せいぜい挨拶くらいしかできなかったんだっけ。

「なるほどね・・・確かにそうかも」

そう言いながら、私は奏につられて笑った。なんとなくぎこちない笑顔になってしまった気も
するけれど。

そう軽い挨拶を交わしたあと、私は本題に入ることにした。このまま雑談にふけっても良いとも
考えたが、奏の顔を見るだけで、心の制御が出来なくなりそうだと思ったから。

「それで奏、私に何の用だったの?・・神宮寺がまた何か?」

「大丈夫よ聖奈・・神宮寺の件は何も関係ないわ、ただ・・」

「あなたに伝えたい事があったから呼んだのよ」

そう奏は私につぶやいた。わざわざ学園長室に呼んだのだからそれなりに大事な話なのだろう。
ただ神宮寺の件ではないとすれば一体・・・。

859 :名前:指きりげんまん・奏×聖奈(百合) :2005/11/22(火) 00:50:24 ID:Acpnewii
そう私が頭の中で考えている最中に、奏は私にその「伝えたい事」を言葉にした。
その言葉はあまりにも唐突であったと同時に、私の思考をあっという間に失わせた。

「私は聖奈を愛してるの・・だから聖奈に会いたかった」

そう奏は私につぶやいた。二人しかいない学園長室に、その言葉は不思議と大きく響いて聞こえた 

気がした。

「え・・・?」

「私は聖奈が大好きなの・・愛してる」

「えっと・・それはLIKEって事?」

「いいえ、LOVEの方・・・意中の人としてよ」

「あはは、ごめんなさい・・突然だからびっくりしちゃった・・コントみたいになっちゃったね」

「ふふ、本当に・・勘弁して欲しいわ、聖奈ったら」

そう笑いながらも、奏の顔は見て分かるくらいに紅潮していた。だけどそれは私も同じのはずだ。
きっと奏にも分かるくらいに。

私は今、この状況を夢だと思っているのかもしれない。何せあまりにも不都合なく事が進んで
しまっているから・・奏の前でなければ、頬でもつねっているかもしれない。

けれど間違いなくこれは現実。だったら答えは簡単・・学生時代に受けたテストの選択問題で
表せば・・いや表す必要も無い。答えはたった一つしかないのだから。

「そうなの・・奏もそうだったのかぁ・・良かった」

そう言った後、私も素直な気持ちをぶつけた。

「私も・・・奏に会いたかったよ、だって私も奏を愛してるんだもの」

そうつぶやいた後、私は奏の唇にそっと口付ける。 


今まで言えなかった気持ちは・・言葉にしてみると、とても簡単な事だった。

860 :名前:指きりげんまん・奏×聖奈(百合) :2005/11/22(火) 00:52:17 ID:Acpnewii
「聖奈・・・ん・・・」

「大丈夫・・・んっ・・私がリードするから身を任せて」

さっきまでとは比べ物にならないくらい、私たちのキスは、深く・・互いの全てを愛し合うように
貧欲なものへと変わっていた。私も奏も、思いの丈が大きかった分、互いを開放しあうまでに、
さほど時間はかからなかった。

長いディープキスを終えた後、私は奏の着ているスーツを脱がす、そしてそのままシャツも取り払
うと、奏の下着に隠れた上半身が露になる。

「聖奈・・恥ずかしい」

「大丈夫・・大丈夫だから」
 そう言いながら、私は奏の下着もそっと脱がす。そこに姿をあらわした二つの桜色の突起を、私は
 壊れ物を扱うように弄び始める。

「ふあぁ・・・!・・くっ・・・ふぅん・・・・!!」
 少し弄んだだけなのに、面白いように奏はかわいらしい反応を見せる。

「奏・・気持ちよい・・・?」

「んん・・・良く・・分からないわ・・」

「そう・・ならもっと気持ちよいって、分かるようにしてあげるね」

そう言いながら、私は顔を奏の胸にうずめるようにして、奏の右胸を舐め始めた。

「ふあぁぁぁぁぁぁ!・・・聖奈・・そこ・・変な感じ・・に・・なる・・」
 さっき以上の反応をする奏を見て、私の性欲感は更に高まる。気を良くした私は、舐め上げる
 右胸を休めるどころか、余っている左手で、胸を露にした時よりも更に突起した左胸の乳首を
 軽くつまみあげ、軽く四方に転がし始めた。

「あっ・・・はぁ・・・あぁぁ・・ダメ・・おかしくなっちゃ・・・」
 言葉にならない奏の声、かなり感度が良いほうなのだろうか、相当の快感を感じているように
 見える。

「奏・・イきそう?」
 私は不意にそう尋ねた。

「イく・・・?分からないわ・・・」
 奏は顔を赤くしながら私から目をそらす。

「そっか・・・じゃあイかせてあげる。嫌でも分かるように」
 そう言った後に、私は奏の右胸の突起を甘噛みする。

「んくぅぅぅぅ!・・ちょ・・聖奈・・・は・・・ん・・・」
 
「もうちょっとね・・じゃあ少しだけ・・・」
 そう言いながら私は、奏の下腹部へと指を伸ばす。そして、生暖かさを感じるショーツの上から、
 奏の陰部を擦り上げ始めた。

861 :名前:指きりげんまん・奏×聖奈(百合) :2005/11/22(火) 00:52:47 ID:Acpnewii
「ふくぅぅぅぅぅ!・・ダメ・・聖奈・・おかしく・・なっちゃううぅ・・・」
 胸以上の感度を見せた奏は、後一歩で達してしまいそうな声を出す。そこで私は、一度奏を
 イかせてしまうために、そっと自分の右手の中指に口付けをする。

「もう・・イかせてあげるからね・・・」
 私はそうつぶやいた。

「ふぇ・・・・?・・あ・・・」
 ただでさえ快楽に酔っている奏は、突然の私の言葉にろくな反応ができない。そして・・。

「・・ほら・・イっちゃいなさい」
 私は中指に微弱な風の力を集めて、少し強めに奏のショーツに中指を擦り付けた。微弱な風の
 力は、細かな振動を与え、まるでバイブレータの様な役割を奏の秘所に与えた。

「な・・なにかぁ・・きちゃう・・・きちゃう・・・はぁ・・あ・・・んんんんんんん・・・!!」
 その時、奏の性は解き放たれた。

「くぅぅぅ・・・はんっ・・・・・いやぁ・・・あぁぁぁぁぁぁ・・!」
 外に声が漏れないか心配になるくらいの嬌声を奏は発し、そして達した。

「はぁ・・はぁ・・・くぅ・・ふ・・ん・・・聖奈・・・」
 艶のある声を出しながら、奏は私の名前を呼ぶ。その声を聞いて、自らの秘所が湿る感触を
 私は感じた。

「気持ちよかった・・奏・・?」

「う・・ん・・どうにか・・なっちゃいそうだったわ・・」
 まだ絶頂の快楽が抜け切らないのか、奏はぼんやりとそうつぶやいた。

「ふふ・・奏って結構エッチなんだね・・ほら・・」
 私はそう笑いながら声をかけて、そっと奏のショーツの中に手を入れる。

「ん・・・っ・・聖奈・・何を・・?」
 敏感になっている部分を触られて、奏は軽く体をこわばせる。

「あ、ごめんね。だけど・・・ほら・・奏の大事な部分から出た・・奏、エッチだね・・」
 そう言って私は、奏の秘所から溢れ出た液体をそっと自分の舐め上げる。すこし酸味のかかった
 それは、今まで味わった事の無い魅力的なものを感じた。

「聖奈・・そんなの・・汚いわ・・」
 自らの恥液を見せられた上、舐めとられるという行為を目の当たりにした奏は、今まで以上に
 顔を赤らめた。

「大丈夫よ・・全然汚いなんて感じないわ・・・ほら、奏も味わってみて」
 私はそう奏に告げ、奏にも味あわせようと、奏へ口付けると同時に、口の中に残した恥液を
 奏の口の中で分け合う。

862 :名前:指きりげんまん・奏×聖奈(百合) :2005/11/22(火) 00:53:58 ID:Acpnewii
「んっ・・・はっ・・・ん・・ちゅ・・ん・・・」
 少し強引に自らの恥液を味あわされた奏だったが、さっきまでの性への刺激のせいか、予想してい たよりも強く、私とのディープキスを味わい始める。

「分かる・・?・・これが奏の味よ・・」

「ん・・・なんか・・変な感じ・・・」
 そう言いながら奏は、なおも私の口内を貧欲にむさぼった。数分続いたディープキスが続いた
 せいで、ついに私も理性のたがが外れた。

「ん・・奏・・私も一緒に気持ちよくなりたいな・・・」
 そうつぶやきながら、私は気持ちを高ぶらせながら自分のショーツを取り払った。奏が恥ずかしい
 と思っていた意味が良く分かるくらい、この行為は相当の羞恥を感じることに気付く。

「うん・・・聖奈・・一緒に気持ちよくなりましょう・・」
 そうゆっくりと言葉を紡ぎ、奏は自分の秘所を私の前に晒し出す。さっきまでは指で弄んでいたの で秘所の部分を見ていなかった私は、奏の桜色の秘所を見て思わず息を呑んだ。

「それじゃあ・・・いくね・・・」
 そう奏に告げて私は、ゆっくりと奏の秘所と自分の秘所を近づけていった。さっきの前戯によって
 奏の秘所は恥液を光らせている。そして私も、奏の体を貪っていたためか、いつの間にかショーツ に大きな染みができあがるほどに秘所を湿らせていた。

「ん・・・・・」

「あっ・・・・」
 互いの秘所が重なった瞬間、互いに声が漏れる。まるで磁石のように、互いの秘所が互いを求め 
 あう感触を感じる。

「んっ・・・あっ・・はっ・・・」

「くっ・・・ん・・・はぅ・・・・あっ・・・」
 ゆっくりと、時間をかけて秘所を擦りあう速度が上げっていく。

「あぁ・・奏・・・気持ち・・良いよぉ・・・」

「私も・・・聖奈の大事なところ・・感じるわ・・・」
 私と奏は、更に快感を求めるために速度を高める。同時に恥液の音も大きくなっていき、その音
 が部屋の中で艶かしく響く。

863 :名前:指きりげんまん・奏×聖奈(百合) :2005/11/22(火) 00:54:30 ID:Acpnewii
「んっ・・あっ・・はぁ・・あぁ・・・奏・・私・・・」

「聖奈・・・っ・・好き・・・大好きぃ・・・」

「私も・・・奏の事・・愛してる・・大好きだよ・・」

「あっ・・・うれ・・しい・・・ん・・・あっ・・!」
 体と言葉で愛を感じあう私たち、そして互いに快感への限界点を感じ始めていた。

「あっ・・・奏・・・きちゃう・・・わた・・しぃ・・イっちゃうよぉ・・!」

「わたし・・・もぉ・・・聖奈・・・いっ・・しょに・・・ふたり・・でぇ・・!!」

「うん・・・はぁ・・あっ・・・もう・・ダメぇ・・・・!!」

「んっ・・・あぁぁぁぁ・・・・」
 限界まで高みにきた私と奏、そして糸が切れるように、私たちははじけた。

「んっ・・かな・・でぇ・・・あぁっ・・・んんんんん・・・・あぁ・・・!!」

「はぁ・・・あぁ・・ぁぁん・・・せい・・なぁ・・・好きぃぃ・・・・!」


私たちは、最後まで互いの名前を呼び合って、絶頂の余韻を残しそのまま倒れこんだ。
名前を呼ぶことだけで、互いの存在の大きさを感じるように・・。


864 :名前:指きりげんまん・奏×聖奈(百合) :2005/11/22(火) 00:54:56 ID:Acpnewii

「気持ち・・よかったね」
 私は体を交わらせたままの奏にそうつぶやいた。

「えぇ・・・でもさっきの聖奈、ちょっと意地悪だったわ」
 
そう言いながら、奏は少し顔を膨らませた。容姿に似合わないその仕草が、私にはとても
かわいらしく見えた。

「あはは、ごめんね・・・だけど・・・今日は人生で最良の日だと思う」

「あら聖奈ったら・・同じ事考えてたのね・・私もよ」
 そう言って、奏は笑った。

この笑顔を私のためだけに向けてくれている・・言いようの無い喜びが私を包み込んだ。
この気持ちは、やはりどんな言葉にもできそうにない。

「聖奈・・これからはもっと一杯お話しましょう。楽しかった事、嫌だった事、辛い事・・なんだ
って良いわ、私は今まで以上にあなたの事が知りたいの」

「そうね・・・じゃあ奏も教えてね。私も今までよりも、ずっとずっと奏の事を知りたくなっちゃっ た・・・約束ね?」

「えぇ・・・じゃあ、指きりしましょう」
  
そう言って、奏はそっと小指を私の前に出した。

「指きり?ちょっと古い感じがするけど」
 そう言って私は笑った。

「そう?でも私はこれで約束したいわ」
 そう奏は私に言った。確かに指きりの方が、互いの指同士を触れ合って・・何かかわいらしくて
 優しいものを感じる気もする。

「そうね。じゃあ、指きりにしようかな」
 私は奏が出した小指に、そっと自分の小指を絡めた。

「ふふ、ありがとう・・・」
 奏は優しい笑顔を私に向けた。思わず私も笑顔になってしまう。

「それじゃあ」

「せーの」
 私たちは声を合わせた。そして。

「指きりげんまん・・」

 二人だけの部屋で、そっと秘密の呪文が流れ始めた。
                            -END-