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834 :名前:The world in which you are not present is my world :2005/11/21(月) 06:38:16 ID:qlKmJwEe
暗い部屋、ここで二人の少女の影がひとつに重なっていた。

「…んっ…あっ、はぁっ!」


声がかすれる、視界が痺れる。
目は自然と愛しい人の姿を追う。
この艶やかしい声が自分の声なんて信じられない。

「―――まゆら、気持ち、いい?」


聖奈はまゆらがもう声を出しづらくなっているのを知って、そうゆう質問をする。
聖奈も感じていた、こうやってまゆらを攻めていても、まゆらの喘ぎ声を聞くだけで濡れていた。

まゆらが目を開くと、聖奈の優しい笑顔があった。
この笑顔は優しいけれど、時に卑猥にも感じられた。
いつもなら、この笑顔の前では羞恥心が呼び起こされ、乱された体を隠すところだけれど、今夜は違う、そのまま見つめた。


「どうした?まゆら。」

付き合う前は「まゆらさん」だったのに付き合い始めて、二人っきりの時は「まゆら」って呼ぶようになった。
わたしも「聖奈さん」から「聖奈」と呼ぶようになった。
恋人同士だから、それが理由だった

まゆらが笑うと、聖奈も笑う。

聖奈は今度は何だか困ったように。

「どうした、私の顔になんかついてる?」

「ううん……――― ねぇ、聖奈。」

まゆらも笑ったまま。

「やっぱり聖奈が卒業した後は、こうやって会える事も少なくなるよね。」




835 :名前:The world in which you are not present is my world :2005/11/21(月) 06:38:40 ID:qlKmJwEe
まゆらの目は泳いでいた。

「そうね。………卒業したら、少なくなるわね。」

同じ寮内に住んでいたから、毎晩と言っていいほど愛し合えた。

「私、欲求不満で死んじゃうかも。」

聖奈はそう言って、苦笑いをする。

(そばにいて欲しい、どこにも行かないで)

そう言いたい。
ずっと傍にいたいから。
あなたが何に耐え、何に苦しみ、何と戦ってきたのか。
そして何処を目指し、何を思って、そこへ歩き始めるのか。
知っているつもりだから。
知っている、と思うから。



まゆらは、身を起こして、夜気にさらされている聖奈の裸体の胸元へ口付け。
鎖骨を舐めあげ、吸い、紅き跡を残していく。
聖奈の身体を自分の身体中で包み込む。


837 :名前:The world in which you are not present is my world :2005/11/21(月) 22:04:33 ID:qlKmJwEe
835の続きです。



「……んっ、まゆら、またするの……?」

「うん。今度は私が聖奈を気持ちよくしてあげる。」


聖奈はすこし溜息をついた。
まゆらはこの聖奈がまゆらに身を預ける瞬間のその深い吐息が好き。
キスをせがむ子供のような声と、濡れた淫らな視線にゾクゾクする。
まゆらもまた興奮していた。

「ちょっ、待っ……あっ。」

「何?」

柔らかな内股をそっと舐め上げると聖奈は切なそうな声をだす。

「まゆらは、そんなこと、しちゃ、ダメ……」

「だって、いつも聖奈はしてくれるっしょ?」

「――――― ぃ、っ……あっ」

聖奈の声はなんだか寂しそうだった。
まゆらもその理由を知っていた。

どんなに一緒にいたって、どんなに抱き合ったって、同じにはなれない事をしっている。
でも、こうして、愛しい人と共に入れることだけでも幸せだった。
でも、もしかしたら、これは幻想かもしれない、もしかしたら朝起きたら、聖奈がいないかもしれない。


「っ―――― …まっ……ゆら!!」

でも、今は愛しき人が目の前にいる、それだけでいいのかもしれない。





こうやって、凍える子供みたいに抱き合って何度眠ったろう。
行為のあと、まゆらと聖奈はベットの中で抱き合っていた。
聖奈の腕の中。
まゆらの腕の中。

「ごめん、ね?」

聖奈はまゆらに優しい口付けをした後、つぶやくように笑った。








838 :名前:The world in which you are not present is my world :2005/11/21(月) 22:04:55 ID:qlKmJwEe
「な、なんであやまるの、聖奈?」

「なんか、時々思うの。こうやって、まゆらを束縛してるんじゃないかって。」

「へ?」

「もうすぐ、卒業しちゃうのに、こんな事して大丈夫なのかなって」

そういうと聖奈はそっとまゆらの鎖骨のあたりにつけた赤い跡を指でなぞる。
普段大人っぽい聖奈の子供っぽいしぐさ、これをまゆらは聖奈を可愛く思えた。
まゆらは聖奈の髪をそっとなで、耳元でこう囁いた。

「好きですよ」

「え?」

「だから、私は聖奈が大好きで、それでいいんじゃないかな?私は聖奈が好きだから、いくら束縛されたって構わない。
それに、私も聖奈を独占したくてたまらない、誰にも取られたくないって気持ちはたくさんあるんだから」

二人は見つめあいクスッとわらうと。

「寝ましょうか。」

「はい!」



私達の恋は普通じゃないかもしれない。
でも、この愛しき人といる時間は本当にかけがえのない時間だとおもう。

私達はこれからも愛を奏で続ける。

こんなにも、好きだという気持ちを。















後日談

聖奈が宮神学園の特別教師になると聞いた時、それはそれは怒ったそうです。