- 639 :名前:もしも、私が前触れもなく死んでしまったら・・・。 :2005/11/03(木) 07:26:19
ID:BNsTY1Z2
- ある冬の寒い日、私達は近くの海辺を散歩した。
「寒いな」
という奈々穂さん。
「えぇ」
私はそれに答える。
海を見たい。
そう我侭をいったのはわたし、なのに奈々穂さんはこころよく受け入れてくれた。
あの時も、あの日も、そうだった。
出会った時から好きだった、だから告白した。
彼女はその時も私を受け入れてくれた。
私がどんな醜い欲望を持ってるか知らずに。
彼女の瞳はとても魅力的に見えた、私に比べ純粋で、美しくて。
何でだろ、本当のあなたを見たくなる。
ううん、本当ではなく、本能と言ったほういいかもしれない。
「ねぇ、奈々穂さん」
「んっ?なんだ、久遠。」
「もし、もしですわよ」
「あぁ、なんだ?」
「私が明日、いきなり死んでしまったら、どうしますか?」
私は知っている、あなたは私に関しては弱いから、こんな事を言ってしまえばあなたが怒る事を。
「な、何言ってんだ!久遠!馬鹿な事を言うな!」
「真剣に聞いているのですわ、答えてください」
しばらく奈々穂さんはだって、こう言った。
「もう、二度と人を愛する事が出来なくなる、もう、二度とな・・・。」
じゃあ、遠い未来までの呪縛となる約束を今しよう。
私は奈々穂さんの顔を引き寄せて、唇に軽く口付けをした。
「な、なななな、なにするんだ!」
640 :名前:もしも、私が前触れもなく死んでしまったら・・・。2 :2005/11/03(木) 07:28:53
ID:BNsTY1Z2
- ふふ、相変わらず不意打ちに弱いんですね。
「本当にそうなったら、骨になった私でもいい。そばにいて欲しい。私の体の一部を奈々穂さんが持って
「久遠・・・。」
「なんですか?」
奈々穂さんは真剣な顔をして私を見てくれている。
それだけでも幸せだった。
「もしかしたら、私が先に死ぬかもしれないんだぞ」
あぁ、そうでしたわ、そんな事考えもしませんでしたわ。
「明日、いきなり死ぬかもしれないんだぞ、そしたらどうするんだ」
「さっき、奈々穂さんに言った事を私がしますわ。
奈々穂さんの体の一部を後生大事にお持ちしますわ」
「・・・久遠」
その真剣な眼差し、そう、束縛されているのは私のほう、あなたには罪はないけど、その眼差しが私を傷つける。
でも、そんなの私が勝手に思うこと、だったら、いつか逆にしてしまえばいい。
私の眼差しであなたを傷つけてみせる・・・・。